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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

グッバイ、ママ(母の日に想う事)。

2015年05月11日
その他 23
まさえ叔母と

 母の日を迎える度に思い出す、非常に珍しく貴重な写真である。赤ん坊の頃に撮られた写真は、この一枚ともう一枚は叔母に抱かれている写真でまだ歩けない頃のもの。不思議な事に父や母と一緒に写っている写真は一枚もない。
 父と母が結婚したのは昭和29年、最初に住んだのは静岡市八番町。祖母の姉や妹が住んでいた2階に部屋を借り、そこで新婚生活が始まった。祖母の姉は日本舞踊の師匠をやっており、私の幼い記憶の中では、派手な着物と厚化粧で覆われた顔が今でもはっきり残っている。
 妹は商売をやっていた関係で従業員が大勢いた。暫く八番町で暮らした後、藤枝の本家に移ったが、父は結婚する前も後も仕事に就くことはなく、町の不良グループと毎日飲み歩いていた。家計を支えるのは母の仕事。昼は紡績工場で働き、夜はバーのホステスをしていた。
 かなりの美人で評判も高く人気者であった。仕事に忙しい母は育児を実家に頼んでいたようだ。朝は早く夜は帰りが遅い。そんな生活の中で息子を抱く暇もなかったのだろうか?父も家に帰って来るのは金が尽きた時だけ。父と母は顔を合わせる度に喧嘩を繰り返していた。そして3年が経ち、母はいつものように階段を降りて行った。
 私の記憶に残る母の姿がその時の背中である。3歳だった私は歌が好きで当時流行していた石原裕次郎の『俺は待ってるぜ』を毎日母の背中に向かって歌い、仕事に送りだしていた。その日以来、母は戻って来なかった。そしてその数年後、薬を飲んで自殺した。
 母親の愛情を全く知らない私は父親が育児放棄に走ってしまったため、親戚や隣近所、父の友人たちの手によって育てられた。母のいない不憫な子どもという目でみられていたせいか、周りの大人たちは私を甘やかせて育ててしまったため、随分わがままな子どもになってしまったようである。
 大人になった今でもそれを引きずっているため、周りの人たちに迷惑ばかりかけている。どうしようもない男なのである。三輪車と一緒に写っているこの叔母が私を一番可愛がってくれていた。しかし今は行方不明、目を背けたくなるような人生を送っている。

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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント23件

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2015年05月11日 (月) 01:34

sado jo

こんにちわ^^

幸せの形は人それぞれに千差万別ですが、不幸の形はどれもよく似ています。
思えば、人はみんな死ぬ為に産まれて来ます。けれど、死ぬ為に何をするのか?何が出来るのか?
難しい宿題を解いて行かなきゃならない…それが人生なのかな?と思ったりもします^^

2015年05月11日 (月) 14:41

鈴子

こんにちは。

俊チャンさん

こんにちは。
(*^^*) 母の日
貴重なお話を読ませて頂きました。
波乱万丈の人生てしたね。

しかし 今は離れているけれども、
かわいい ご家族もいらっしゃって。
時折 一緒にご飯をしたり、
誕生日をお祝いしたり、
そんな時間が宝物ですよね。

私も 巣立った我が子を思うこと。
それが母としての《宝物》です。
子どもに楽しいことを伝え残していきたいですね。
俊ちゃんは、素晴らしい人だと思いますよ。
いつも 思いやりをありがとうございます。

2015年05月11日 (月) 17:30

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2015年05月11日 (月) 20:35

夏至子

こんばんは!

私も二人の子どもの母です
わが子はかわいいです
宝です

俊樹さんのお母様も同じだったと思います(勝手に決め付けてごめんなさい)

父親の気持ちは分かりませんが、母はおどもの幸せを一番に考えているものです

短い時間でしたけどお母様と共に暮らしていた時間が宝物でありますように

2015年05月11日 (月) 20:55

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2015年05月11日 (月) 21:19

トマトの夢3

こんばんは。

離れてもお母様は俊樹さんを案じていたとことでしょう
そんな風に思います。
親子の写真がないって 寂しいですよね。
私も 一枚もありません・・・。

2015年05月11日 (月) 22:51

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2015年05月12日 (火) 00:16

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2015年05月12日 (火) 15:54

anne

母親

今日は、幼い息子を、マンションから落としたという、母親のニュースがありました。

このお母さんも、息子が憎くて、そうしたのではないと思います。
自分のことで、いっぱいだったのでしょう。

私はたった2人のこの母親ですが、心の底から湧き出る愛しいと思う気持ちもあれば、ため息ばかりの日もありました。

つらいですね。

でも、今を生きていく、前を向くしかないのが人間かな~?
と、大した苦労もせず、変化のない人生を送ってきた甘い考えの私ですが、思っています。

私、何を言いたいのか、わからなくなりましたが
俊樹さんの文章を読ませてもらい、
自然に生きていきたい…生きていきましょう、と生意気にも思ったんだと思います。

ごめんなさい。

2015年05月12日 (火) 20:21

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2015年05月12日 (火) 20:43

ネリム

こんばんわ
お母様は俊樹さんのことを気にかけていたのだと思います。

2015年05月12日 (火) 20:44

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2015年05月12日 (火) 21:48

koyuri

昨日は、何度チャレンジしてもコメントが書き込めませんでした。

今日は、大丈夫でしょうか?

何があっても、子供を置いて自殺したいと思っている親は居ません。

おそらく、お母さんは心の病に負けただけだと思います。

母親の愛情を全く知らないのではナク、小さかったのでまだ判らなかっただけだと思います。

三歳まで子供を育てるのは、それ以後と比べると、本当に大変なコトですから。

2015年05月12日 (火) 23:15

takechan0312

またしばらくお休みだったので心配しておりましたが、
お元気になられたことを願っております。
ご両親の思い出が少ないのは寂しいでしょうね。

私はずっと両親と育ったのですが、
いつも怒られると『本当の両親がどこかに、、、』と思っていました。
それが海外を放浪する第一歩だったのかもしれません。
おばさんがいつか見つかることを願っています。

2015年05月13日 (水) 05:43

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2015年05月13日 (水) 08:18

野津征亨

こんばんは。

記事を拝読して、父も母も揃って健在のわたしは、本当に恵まれた環境で育ったのだなぁと実感しました。
大多数の「当たり前」は、けれど少数の人にとっては「当たり前」ではないことも多々あるのだと、ちゃんと理解しなければいけませんね。

2015年05月13日 (水) 19:37

俊樹

鍵コメ様

12日に鍵コメ頂いたのですが、本文が文字化けして読めませんでした(ーー;)
長い文面だったので気になりました。

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2015年05月15日 (金) 00:46

鈴子

こんにちは。♪( ´▽`)

俊ちゃんさん

そう そう
俊チャンさんが幸せに生きることが
ご両親に対しての恩返しだと思います。
きっと 空から見ていて下さいますよ。
(((o(*゚▽゚*)o)))
だけど お世話になった叔母さまの事は
気がかりですね。
元気で生きていてくれるといいですね。
祈ることしか出来ませんが、
気持ちが通じますように…そして。
私も俊ちゃんさんの幸せを祈っています。

2015年05月15日 (金) 13:30

マムチ

こんばんわ~

何とコメントを残してよいのか・・
でも、人生いろいろ・・ですよね。
私もいろいろ・・です。

俊樹さんの健康と幸せを心よりお祈りしています^^

2015年05月16日 (土) 21:23

小判鮫のコバンちゃん

なんて言っていいか
言葉が見つかりません・・・。

2015年05月17日 (日) 00:00

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2015年05月20日 (水) 00:46