2024年問題②
今後は家が建てられなくなる? 建設業界で倒産が急増…人手不足、労働災害 悪循環は断てるのか
https://www.tokyo-np.co.jp/article/285231
『働き方改革で時間外労働の上限規制が猶予されてきた業種への適用が2024年4月に迫っている。建設業界もその一つだが、状況は深刻だ。既に全国で倒産が相次いでおり、民間調査会社からは「家が建てられない」事態になる可能性も指摘される。パビリオン建設が進まない大阪・関西万博を巡っては、自民党内から「超法規的措置」を求める声も上がるなど労働環境の改善の道は険しい。
帝国データバンクは、8月の全国企業倒産集計の中で注目の動向として建設業を取り上げた。1~8月の建設業の倒産は1082件と6年ぶりに1000件を超えた。その後、9月までに1207件となり、昨年1年間の倒産件数1204件を上回った。このままいくと過去5年で最多となることが確実という。
主な要因は物価高の影響だが、職人の高齢化や若手の応募が減少するなど人手不足が背景にある。同社の飯島大介さんは「建築士や施工管理者など業務に不可欠な資格を持つ従業員が離職している。現場での作業員自体も不足しており、中小企業の受注、施工がままならなくなっている」と指摘する。
同社の調査では建設業の68.3%が「人手不足」を感じている状況で、コロナ前の水準を上回る。地方では、災害復旧のための工事入札が不調になるなど既に人手不足の影響が出ているという。飯島さんは「24年以降、残業規制で人手がさらに必要となり、都市部の現場に職人が引き抜かれる。地方では、需要も資材もあるのに『家が建てられない』『道路の修繕ができない』『除雪ができない』といった事態が多発する可能性がある」と警鐘を鳴らす。
特に木造住宅の担い手の大工の減少は著しい。国勢調査では、全国の大工の人数は20年時点で約30万人と20年間で半数以下となり、60歳以上が4割を占める状態だ。芝浦工業大の蟹沢宏剛教授(建築生産システム)は「業界全体ではゼネコンなどが職人の社員化など待遇改善を進めてきたが、大工は『一人親方』と呼ばれる個人事業主が多く、働き方改革から取り残されてきた」と指摘する。
また今月から始まったインボイス(適格請求書)制度が重くのしかかる。「待遇改善のためには職人を社員として雇用し、労働時間と賃金を保証する必要があるのに、事務の負担で高齢の個人事業主の廃業に拍車をかけることになる。後継者も不足しており、職人が圧倒的に足りなくなる」と強調する。
人手不足と合わせて深刻なのは多発する労働災害だ。厚生労働省が公表している労働災害発生状況で、昨年の建設業の労災死者数は21人と2年連続で増加した。今年に入っても7月に、静岡市清水区の国道1号バイパス高架道路の建設工事中に橋桁が落下し、作業員8人が死傷。9月には東京駅近くの複合商業ビルの工事現場で鉄骨が落下し、5人が死傷した。
「経験ある職人が現場に少ないのが事故の要因の一つだろう。24年以降、残業ができなくなれば作業の進行が低下する。今まで通りの工期では作業が雑になり、見直しや検討の時間がなくなり、さらに事故が増える」と建築エコノミストの森山高至さんは指摘する。
懸念されるのは25年の大阪・関西万博の現場だ。特に海外パビリオンの建設が進んでおらず、働き方改革スタートのタイミングで工事が集中する可能性があるため、万博関連工事に限って残業規制の適用除外の検討を求める声も上がっている。これらの動きに森山さんはこうくぎを刺す。「一つの案件のためにルールがないがしろにされるのでは意味がない。労働環境改善につながらず、結局、若者が離れていくことになる」』
https://www.tokyo-np.co.jp/article/285231
『働き方改革で時間外労働の上限規制が猶予されてきた業種への適用が2024年4月に迫っている。建設業界もその一つだが、状況は深刻だ。既に全国で倒産が相次いでおり、民間調査会社からは「家が建てられない」事態になる可能性も指摘される。パビリオン建設が進まない大阪・関西万博を巡っては、自民党内から「超法規的措置」を求める声も上がるなど労働環境の改善の道は険しい。
帝国データバンクは、8月の全国企業倒産集計の中で注目の動向として建設業を取り上げた。1~8月の建設業の倒産は1082件と6年ぶりに1000件を超えた。その後、9月までに1207件となり、昨年1年間の倒産件数1204件を上回った。このままいくと過去5年で最多となることが確実という。
主な要因は物価高の影響だが、職人の高齢化や若手の応募が減少するなど人手不足が背景にある。同社の飯島大介さんは「建築士や施工管理者など業務に不可欠な資格を持つ従業員が離職している。現場での作業員自体も不足しており、中小企業の受注、施工がままならなくなっている」と指摘する。
同社の調査では建設業の68.3%が「人手不足」を感じている状況で、コロナ前の水準を上回る。地方では、災害復旧のための工事入札が不調になるなど既に人手不足の影響が出ているという。飯島さんは「24年以降、残業規制で人手がさらに必要となり、都市部の現場に職人が引き抜かれる。地方では、需要も資材もあるのに『家が建てられない』『道路の修繕ができない』『除雪ができない』といった事態が多発する可能性がある」と警鐘を鳴らす。
特に木造住宅の担い手の大工の減少は著しい。国勢調査では、全国の大工の人数は20年時点で約30万人と20年間で半数以下となり、60歳以上が4割を占める状態だ。芝浦工業大の蟹沢宏剛教授(建築生産システム)は「業界全体ではゼネコンなどが職人の社員化など待遇改善を進めてきたが、大工は『一人親方』と呼ばれる個人事業主が多く、働き方改革から取り残されてきた」と指摘する。
また今月から始まったインボイス(適格請求書)制度が重くのしかかる。「待遇改善のためには職人を社員として雇用し、労働時間と賃金を保証する必要があるのに、事務の負担で高齢の個人事業主の廃業に拍車をかけることになる。後継者も不足しており、職人が圧倒的に足りなくなる」と強調する。
人手不足と合わせて深刻なのは多発する労働災害だ。厚生労働省が公表している労働災害発生状況で、昨年の建設業の労災死者数は21人と2年連続で増加した。今年に入っても7月に、静岡市清水区の国道1号バイパス高架道路の建設工事中に橋桁が落下し、作業員8人が死傷。9月には東京駅近くの複合商業ビルの工事現場で鉄骨が落下し、5人が死傷した。
「経験ある職人が現場に少ないのが事故の要因の一つだろう。24年以降、残業ができなくなれば作業の進行が低下する。今まで通りの工期では作業が雑になり、見直しや検討の時間がなくなり、さらに事故が増える」と建築エコノミストの森山高至さんは指摘する。
懸念されるのは25年の大阪・関西万博の現場だ。特に海外パビリオンの建設が進んでおらず、働き方改革スタートのタイミングで工事が集中する可能性があるため、万博関連工事に限って残業規制の適用除外の検討を求める声も上がっている。これらの動きに森山さんはこうくぎを刺す。「一つの案件のためにルールがないがしろにされるのでは意味がない。労働環境改善につながらず、結局、若者が離れていくことになる」』
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悪徳不動産業者といったら?
不動産の購入代金として振り込まれた1900万円を横領したとして、不動産仲介会社社長の男が逮捕されました。
業務上横領の疑いで逮捕されたのは、「ピタットハウス阪急三国店」の経営者・徳永淳容疑者(とくながじゅん 44歳 大阪市淀川区新高)です。
徳永容疑者は、兵庫県尼崎市の男性から不動産の購入代金などとして振り込まれた現金約2800万円のうち1900万円を横領した疑いが持たれています。
警察によると、徳永容疑者は横領した金を借金の返済に使っていて、「会社の経営が悪化していた」などと話しているということです。
また、警察は徳永容疑者が経営しているピタットハウスの管理物件を活動拠点としていた特殊詐欺グループのメンバーも逮捕していて、関連を調べています。
業務上横領の疑いで逮捕されたのは、「ピタットハウス阪急三国店」の経営者・徳永淳容疑者(とくながじゅん 44歳 大阪市淀川区新高)です。
徳永容疑者は、兵庫県尼崎市の男性から不動産の購入代金などとして振り込まれた現金約2800万円のうち1900万円を横領した疑いが持たれています。
警察によると、徳永容疑者は横領した金を借金の返済に使っていて、「会社の経営が悪化していた」などと話しているということです。
また、警察は徳永容疑者が経営しているピタットハウスの管理物件を活動拠点としていた特殊詐欺グループのメンバーも逮捕していて、関連を調べています。