トランプ、ツイート:ポムペオの訪朝中止、中国が原因、金委員長には「よろしく」 (2018年8月25日
25日、トランプが、ツイート。
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私は、ポムペオ長官に、この時点で、北朝鮮に行かないよう頼んだ。私は、朝鮮半島の非核化に関して、大きな進展があるとは感じていない。
それに加えて、我々の中国に対するより厳しい貿易に関するスタンスがある。私は(国連制裁が課されているにもかかわらず)中国がこれまでのように非核化に対して強力ではないと思っている。
ポムペオ長官は、近い将来、我々と中国との貿易関係が解決された後、北朝鮮を訪問することを楽しみにしている。当面、私は金委員長に対して温かい宜しくという言葉を敬意と共に送っておく。私は近々、彼に会うことを楽しみにしている!
Source: Twitter, 2018/08/25
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「またか」という感じである。6月のシンガポール会談の際にも、トランプは会談中止をほのめかした。あの時は、直接の原因が北朝鮮にあるということだったが、今回は北朝鮮ではなく、直接的な原因が「米国と中国との貿易関係にある」としている。北朝鮮の非核化に「大きな進展」がないことも挙げているが、それも中国がバックドアを開けて、国連制裁を充分に履行していないことがその理由であるようなことを言っている。
ポムペオ訪朝は、27日と米国務省が明らかにしているが、25日に訪朝を中止したというメッセージをトランプが発信していることからすれば、ポムペオの移動時間も含めて、27日の訪朝は事実上、不可能になったと見てよいであろう。
北朝鮮がトランプに対して示している「敬意」と同様にトランプも「元帥様」に対しては、敬意を示しているばかりか、「近々、会うことを楽しみにしている」とも言っている。この点からすると、北朝鮮との関係を断ち切るつもりは全くないようで、上に書いたように、シンガポール会談前と同じ状況になっている。
異なるのは、今回は北朝鮮が「詫びを入れる」ことで解決する問題ではなく、中国が絡んでいるし、しかも、北朝鮮とは全く関係ない米中間の貿易問題がその原因となっている。過去記事にしたウェスト・バージニアの政治集会でも、北朝鮮問題と中国を絡めてはいたが、ここまで結びつけてくるとは思わなかった。
中国は、米中貿易問題と北朝鮮の非核化は分けて考えているはずであるし、朝中関係からすれば、一時期のように、米国に協力してバックドアを閉めるということもしないであろう。習近平訪朝が目前に控えているこの時期であればましてやである。
では、トランプのこの作戦をどう読んだらよいのか。表面的には、米朝貿易と北朝鮮非核化の一石二鳥を狙っているようにもみえるが、習近平が訪朝した際に、北朝鮮を説得して非核化を進展させるための圧力ではないだろうか。ただ、トランプがそれを狙っているのであれば、ポムペオが持って行く予定だった米国が北朝鮮にやらせたいことのリストを事前に中国に手渡しておく必要がある。中国がそんな茶番を演じるかどうか。
習近平は、9月9日の共和国創建70周年記念日に合わせて訪朝するとされているが、お祭りの最中でもあるので、もし、米国からの「リスト」を伝達するのであれば、事前に十分な調整をしておく必要がある。そして、それが不調であれば、次には文在寅平壌訪問が控えている。トランプは韓国については言及していないが、当然、文在寅を通して米国の「リスト」を手渡すことも考えているであろうし、平壌に行くことを決めた時点で、文在寅もその覚悟は可能性からして半分ぐらいできていたはずである。文在寅訪朝の日は明らかにされていないが、12日頃と予想されている。
というのは、9月11日から13日まで、ウラジオストックで「東方経済フォーラム」が予定されている。プーチンは「元帥様」をこのフォーラムに招いており、ロシアとの関係からして、「元帥様」はプーチンとの初会談をしたいと考えているはずである。当然、非核化の問題も話し合われるであろう。
そして、トランプが「金委員長と、近々、会うことを楽しみにしている」のが18日から開催される国連総会だとすれば、その間に中国、韓国、ロシアに北朝鮮非核化進展で何らかの進展を出させることを考えているのかも知れない。日本の安倍も「元帥様」と同じ場所には行くが、恐らくは簡単な「米国との共調」を理由に「制裁太鼓」を「東方経済フォーラム」でも叩き続けるだろうから、道化以上の役割は期待できない。
しかして、このようなプランなのか、あるいはシンガポール会談の時のような一時的なブラフなのか。そして、今回は「蚊帳の外」に置かれた感じがある北朝鮮はどのような反応をするのか。
9月の東アジア外交が熱くなりそうだ。
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私は、ポムペオ長官に、この時点で、北朝鮮に行かないよう頼んだ。私は、朝鮮半島の非核化に関して、大きな進展があるとは感じていない。
それに加えて、我々の中国に対するより厳しい貿易に関するスタンスがある。私は(国連制裁が課されているにもかかわらず)中国がこれまでのように非核化に対して強力ではないと思っている。
ポムペオ長官は、近い将来、我々と中国との貿易関係が解決された後、北朝鮮を訪問することを楽しみにしている。当面、私は金委員長に対して温かい宜しくという言葉を敬意と共に送っておく。私は近々、彼に会うことを楽しみにしている!
Source: Twitter, 2018/08/25
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「またか」という感じである。6月のシンガポール会談の際にも、トランプは会談中止をほのめかした。あの時は、直接の原因が北朝鮮にあるということだったが、今回は北朝鮮ではなく、直接的な原因が「米国と中国との貿易関係にある」としている。北朝鮮の非核化に「大きな進展」がないことも挙げているが、それも中国がバックドアを開けて、国連制裁を充分に履行していないことがその理由であるようなことを言っている。
ポムペオ訪朝は、27日と米国務省が明らかにしているが、25日に訪朝を中止したというメッセージをトランプが発信していることからすれば、ポムペオの移動時間も含めて、27日の訪朝は事実上、不可能になったと見てよいであろう。
北朝鮮がトランプに対して示している「敬意」と同様にトランプも「元帥様」に対しては、敬意を示しているばかりか、「近々、会うことを楽しみにしている」とも言っている。この点からすると、北朝鮮との関係を断ち切るつもりは全くないようで、上に書いたように、シンガポール会談前と同じ状況になっている。
異なるのは、今回は北朝鮮が「詫びを入れる」ことで解決する問題ではなく、中国が絡んでいるし、しかも、北朝鮮とは全く関係ない米中間の貿易問題がその原因となっている。過去記事にしたウェスト・バージニアの政治集会でも、北朝鮮問題と中国を絡めてはいたが、ここまで結びつけてくるとは思わなかった。
中国は、米中貿易問題と北朝鮮の非核化は分けて考えているはずであるし、朝中関係からすれば、一時期のように、米国に協力してバックドアを閉めるということもしないであろう。習近平訪朝が目前に控えているこの時期であればましてやである。
では、トランプのこの作戦をどう読んだらよいのか。表面的には、米朝貿易と北朝鮮非核化の一石二鳥を狙っているようにもみえるが、習近平が訪朝した際に、北朝鮮を説得して非核化を進展させるための圧力ではないだろうか。ただ、トランプがそれを狙っているのであれば、ポムペオが持って行く予定だった米国が北朝鮮にやらせたいことのリストを事前に中国に手渡しておく必要がある。中国がそんな茶番を演じるかどうか。
習近平は、9月9日の共和国創建70周年記念日に合わせて訪朝するとされているが、お祭りの最中でもあるので、もし、米国からの「リスト」を伝達するのであれば、事前に十分な調整をしておく必要がある。そして、それが不調であれば、次には文在寅平壌訪問が控えている。トランプは韓国については言及していないが、当然、文在寅を通して米国の「リスト」を手渡すことも考えているであろうし、平壌に行くことを決めた時点で、文在寅もその覚悟は可能性からして半分ぐらいできていたはずである。文在寅訪朝の日は明らかにされていないが、12日頃と予想されている。
というのは、9月11日から13日まで、ウラジオストックで「東方経済フォーラム」が予定されている。プーチンは「元帥様」をこのフォーラムに招いており、ロシアとの関係からして、「元帥様」はプーチンとの初会談をしたいと考えているはずである。当然、非核化の問題も話し合われるであろう。
そして、トランプが「金委員長と、近々、会うことを楽しみにしている」のが18日から開催される国連総会だとすれば、その間に中国、韓国、ロシアに北朝鮮非核化進展で何らかの進展を出させることを考えているのかも知れない。日本の安倍も「元帥様」と同じ場所には行くが、恐らくは簡単な「米国との共調」を理由に「制裁太鼓」を「東方経済フォーラム」でも叩き続けるだろうから、道化以上の役割は期待できない。
しかして、このようなプランなのか、あるいはシンガポール会談の時のような一時的なブラフなのか。そして、今回は「蚊帳の外」に置かれた感じがある北朝鮮はどのような反応をするのか。
9月の東アジア外交が熱くなりそうだ。