ポムペオ来週に訪朝、新任の北朝鮮問題特別代表も同行 (2018年8月23日 「米国務省」)
23日、ポムペオが来週(8月26日からの週)に訪朝し、新任の北朝鮮問題特別代表も同行すると発表した。
新任の北朝鮮問題特別代表は、スティーブ・ビガン(Steve Biegun)で、フォード自動車国際部副社長、G.W.ブッシュ時代にはNSCの上級補佐官などを歴任した人物。北朝鮮問題を直接的に担当したことはない。
ポムペオは、ビガンが「トランプ大統領のゴールである、金委員長により合意されたFFVD(Final, Fully, Verified Denuclearization)へと導く」とした上で、ビガンが来週の訪朝に同行し「その目的に向けて外交的進展を実現する」としている。
そして、ビガンが「米国人の未来の安全を保障し、我々が願っているように、朝鮮人民のさらに明るい未来」を実現するであろうとポムペオは言っている。
ビガンは、北朝鮮との交渉は厳しいであろうが、「全ての機会を掴んで、北朝鮮の人々の平和な未来のためのビジョンを実現する」とした上で、ポムペオ同様、「金正恩委員長がシンガポールでのトランプ大統領との首脳会談で合意したFFVDが始まり」と、「元帥様」がFFVDに「合意した」ことを強調している。
2人は、記者からの質問を受け付けることなく立ち去ったが、その後に行われた国務省報道官とのやりとりでポムペオ訪朝などに関する質問が出された。
その中で、北朝鮮に詳しい日程は確定していない、現状では、「元帥様」との会見は予定されていないことなどが明らかにされた。ポムペオと「元帥様」との会見は非常に重要で、これが実現するか否かで今後の流れが決まっていく。「元帥様」との会見があれば、北南首脳会談は順調に行われ、国連総会で形式的であれ「終戦宣言」があり、場合によっては「元帥様」の演説、さらには、ホワイトハウスでトランプ-金正恩会談が開催される流れもあり得る。
ポムペオが何を持って北朝鮮に行くのかにもよるが、9月9日を前に形式的であれ「終戦宣言」という米国からの譲歩を引き出し、「新たな戦略的路線」の正当性と成功を「元帥様」としては宣言したいところであろう。ポムペオ訪朝は、そのギリギリのタイミングを狙ったものであり、「終戦宣言」に対する北朝鮮からの譲歩を引き出す目的もあるのだろう。
トランプとて、米国の国内政治で窮状に陥っているので、北朝鮮非核化で11月の中間選挙前に何か「分かりやすい」成果を出したいところであろう。実質的には、北朝鮮からの「核申告」を得ることであるが、北朝鮮は最初からそれには応じないであろうし、ましてや米国民には分かりにくい。さらにいえば、「申告」内容が正確であるのかについて、「検証」が必要になり、そのためには長い時間を要する。そうなると、「火星-15」と核爆弾をセットにして北朝鮮から搬出するという「儀式」を行うことになるのではないだろうか。搬出先を米国にすることを北朝鮮が認めるのかどうかも問題となる。米国にすれば、北朝鮮の核・ミサイル技術の全貌が米国に知れてしまい、「実は、大したことはなかった」と判断されれば、北朝鮮にとっては不利な状況になる。それを防ぐために、北朝鮮は中国かロシアを指定してくる可能性がある。
米国務省報道官の記者会見では、最後の方で、「ポムペオは、北朝鮮にロケット・マンのCDを持参するのか」という冗談めいた質問が出されている。これに対して報道官も冗談半分で、「私は、Flat Stanleyの本を北朝鮮に持って行く」と答えている。記者は「金正恩はStanleyを自分のことだと思うんじゃないのか?」、「金正恩は、あなた(報道官)が何を言いたいのか理解できないのではないのか?」と言っているが、実は、私も理解できない。
Source: Amazon
US Department of State
Remarks on the Appointment of Special Representative for North Korea Stephen Biegun, https://www.state.gov/secretary/remarks/2018/08/285370.htm
Department Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2018/08/285362.htm#NORTHKOREA
新任の北朝鮮問題特別代表は、スティーブ・ビガン(Steve Biegun)で、フォード自動車国際部副社長、G.W.ブッシュ時代にはNSCの上級補佐官などを歴任した人物。北朝鮮問題を直接的に担当したことはない。
ポムペオは、ビガンが「トランプ大統領のゴールである、金委員長により合意されたFFVD(Final, Fully, Verified Denuclearization)へと導く」とした上で、ビガンが来週の訪朝に同行し「その目的に向けて外交的進展を実現する」としている。
そして、ビガンが「米国人の未来の安全を保障し、我々が願っているように、朝鮮人民のさらに明るい未来」を実現するであろうとポムペオは言っている。
ビガンは、北朝鮮との交渉は厳しいであろうが、「全ての機会を掴んで、北朝鮮の人々の平和な未来のためのビジョンを実現する」とした上で、ポムペオ同様、「金正恩委員長がシンガポールでのトランプ大統領との首脳会談で合意したFFVDが始まり」と、「元帥様」がFFVDに「合意した」ことを強調している。
2人は、記者からの質問を受け付けることなく立ち去ったが、その後に行われた国務省報道官とのやりとりでポムペオ訪朝などに関する質問が出された。
その中で、北朝鮮に詳しい日程は確定していない、現状では、「元帥様」との会見は予定されていないことなどが明らかにされた。ポムペオと「元帥様」との会見は非常に重要で、これが実現するか否かで今後の流れが決まっていく。「元帥様」との会見があれば、北南首脳会談は順調に行われ、国連総会で形式的であれ「終戦宣言」があり、場合によっては「元帥様」の演説、さらには、ホワイトハウスでトランプ-金正恩会談が開催される流れもあり得る。
ポムペオが何を持って北朝鮮に行くのかにもよるが、9月9日を前に形式的であれ「終戦宣言」という米国からの譲歩を引き出し、「新たな戦略的路線」の正当性と成功を「元帥様」としては宣言したいところであろう。ポムペオ訪朝は、そのギリギリのタイミングを狙ったものであり、「終戦宣言」に対する北朝鮮からの譲歩を引き出す目的もあるのだろう。
トランプとて、米国の国内政治で窮状に陥っているので、北朝鮮非核化で11月の中間選挙前に何か「分かりやすい」成果を出したいところであろう。実質的には、北朝鮮からの「核申告」を得ることであるが、北朝鮮は最初からそれには応じないであろうし、ましてや米国民には分かりにくい。さらにいえば、「申告」内容が正確であるのかについて、「検証」が必要になり、そのためには長い時間を要する。そうなると、「火星-15」と核爆弾をセットにして北朝鮮から搬出するという「儀式」を行うことになるのではないだろうか。搬出先を米国にすることを北朝鮮が認めるのかどうかも問題となる。米国にすれば、北朝鮮の核・ミサイル技術の全貌が米国に知れてしまい、「実は、大したことはなかった」と判断されれば、北朝鮮にとっては不利な状況になる。それを防ぐために、北朝鮮は中国かロシアを指定してくる可能性がある。
米国務省報道官の記者会見では、最後の方で、「ポムペオは、北朝鮮にロケット・マンのCDを持参するのか」という冗談めいた質問が出されている。これに対して報道官も冗談半分で、「私は、Flat Stanleyの本を北朝鮮に持って行く」と答えている。記者は「金正恩はStanleyを自分のことだと思うんじゃないのか?」、「金正恩は、あなた(報道官)が何を言いたいのか理解できないのではないのか?」と言っているが、実は、私も理解できない。
Source: Amazon
US Department of State
Remarks on the Appointment of Special Representative for North Korea Stephen Biegun, https://www.state.gov/secretary/remarks/2018/08/285370.htm
Department Press Briefing, https://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2018/08/285362.htm#NORTHKOREA