「大舞台から転がり落ちても楽しみ続けること、懊悩を飼い慣らしながら名誉を得ること……そのどっちが、音楽人にとって正解なんだろうな?」
「……なぜ音楽を奏でることは、こんなに苦しいのだろう?」
音楽の竜はついに王者に挑む!
アマチュアオーケストララノベ「ドラフィル!」完結巻!
いやぁ今回も良かった。
1巻の心揺さぶられるような演奏シーンはなかったけれど、ここまで読み続けてきたファンを満足させるには十分な1冊でした。
今回のメインテーマは、ヴァイオリン協奏曲の王者、ヴェートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ短調。
あぁ「王者に挑む」ってそういう意味かと納得しながら、Youtubeでこの曲を流しつつ読み進めました。
いつもの通り前半にちょっとした短編をはさみ、「ドラフィル」という物語のまとめとなる後編へ。
話の中心はもちろん七緒。
決して弱さを見せずに皆をぐいぐい引っ張っていく彼女も、強いばかりではない。
指揮棒を白旗に例える七緒。
音楽から逃げた結果事故で手足を不自由にし、これまで音楽に対する降参として降伏の白旗を振り続けてきた。
「……なぜ音楽を奏でることは、こんなに苦しいのだろう?」
しかし、そこからの盛り上がりね!
七緒が自信を取り戻し、そして当初交わした「ドラフィルを日本一のオーケストラにする」という約束を果たすために挑戦したもう一つの“王者”。
この“王者”のダブルミーニングが分かったときは鳥肌ものだったわ。
音楽家なら音で語れ。
自分たちの音で王者に挑めばいい。
そうして迎えた演奏会・・・の、リハーサル。
演奏するはヴァイオリン協奏曲ニ短調作品61第1楽章。
もうほんとドキドキだった。
響介にバリバリ感情移入して読んでいただけに不安でしょうがなかった。
それだけにラスト展開はもう・・・ね。
ドラフィルが挑んだ2つの王者。
王者はやはり王者だった。
エピローグもドラフィルらしくて素晴らしい!
3巻を通していろんな曲が登場したけど、やはりドラフィルと言えばこの曲だよね。
今日も竜ヶ坂商店街には「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が鳴り響きます。
オーケストラが分からない人でも楽しめる、むしろ楽器がやりたくなる素敵な作品でした。
特に1巻のラストの演奏シーンを読んだ時の感動は忘れられないなー。
美奈川先生の次回作も期待しています!
レビュー:しゅん
ドラフィル!〈3〉竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋 (メディアワークス文庫) [文庫]
著者:美奈川 護
出版: アスキーメディアワークス
(2013-03-23)
オーケストラが分からない人でも楽しめる、むしろ楽器がやりたくなる素敵な作品でした。
特に1巻のラストの演奏シーンを読んだ時の感動は忘れられないなー。
美奈川先生の次回作も期待しています!
レビュー:しゅん
ドラフィル!〈3〉竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋 (メディアワークス文庫) [文庫]
著者:美奈川 護
出版: アスキーメディアワークス
(2013-03-23)