2015年春の覇権(当社比)アニメ、『響け!ユーフォニアム』について。
かつての『涼宮ハルヒの憂鬱』や3年前の『氷菓』もそうでしたが、小説のアニメ化は京アニが一番ですね。原作の良いところを残しつつ、アニメでしか表現できない魅力を存分に引き出してくれる。
それだけにとどまらず、アニメを観た後に原作を読み直すと、「アニメでは表現できなかった原作小説ならではの面白さ」を気づかせてくれるのが、本当に素晴らしいのなんのって。
『ユーフォ』で言えば、音楽的な演出だったり久美子と麗奈の百合百合しいやり取りなんかはアニメならではでしょう。一方で、ダメダメだったあのチームが滝先生の指導の下じわじわと成長していく過程は、小説の方が表現できてたかなと思います。どんなに厳しい練習をしていても、アニメだと「週1回」だからね。
というわけで、キャラクターについて思うところを思うがままに書こうと思います。
一番「変わった」と思うのは、主人公の久美子。このキャラ、実はけっこう中途半端な立ち位置なんですよね。ユーフォの経験は長いから、それなりの技術はある。マイナー楽器だけあって競争相手も少ない。けど、圧倒的技量のあるあすか先輩や麗奈ほどではない。全国行きたい!という強い意志はなかったけど、真面目に練習しようというやる気はある。
この中途半端さから、小説ではどうしても「語り手」「観察者」みたいなポジションだったけど、アニメではしっかり主人公をやっていたと思います。どこか冷めていた久美子が、上手くなりたい、全国に行きたいと強く思うようになっていく過程がきっちり描かれておりました。
あと、小笠原部長。原作では3巻通して、3年生の中でも、変人超人のあすか先輩や大正義天使の香織先輩と比べると、インパクトが弱いキャラでした。けれどアニメでは、顧問と部員の板挟みになって四苦八苦する部長の姿がとても素敵でした。
アニメを観終わった後、もう一度原作を読み直したら、実は原作でも、彼女は彼女なりに悩んでいる場面が結構あったことに気づきました。3巻最後の挨拶のシーン、最初に読んだときは特に何も思わなかったけど、アニメの小笠原部長を思い出しながら読んだら、泣けました。
そして香織先輩。原作でも聖人ですがアニメでは大天使でしたホント。最早言うことはない。
ひとつ不満があるとすれば、麗奈と一騎打ちした次の回の冒頭で、麗奈が「あのときは生意気言ってすいませんでした」と謝るシーン。あそこは原作通り、回を跨ぐことなく、決着がついたその場でやってほしかった。それでこそ、「負けを認めるために挑んだ」香織先輩への麗奈の素直な敬意が伝わったんじゃないかなと思う。
香織先輩といえば、その信者の優子ちゃん。原作1巻だと、麗奈にキツく当たるちょっと嫌な先輩ってキャラで終わってしまうんですよね。
バカっぽい子だけど、大量に辞めた2年生の数少ない生き残りだし、A編成に入るだけの実力もある。香織先輩を信奉するのもそれなりの理由がある。実は原作2巻でそのへんのエピソードが分かって、ようやく優子先輩の人となりが分かるんですが。アニメではうまいことオリジナルのシーンを挟むことで、「本来2巻でわかるはずの優子先輩の良さ」を「1巻分のエピソードの中」で伝えてくれたと思います。GJ部!
一方で、ちょっと不満が残るのが、あすか先輩。アニメだと、ただの完璧超人&変人で終わってしまっているのよね。「ソロをふくのは麗奈でも香織でもどうでもいい」と切り捨てるところがありましたが、あの冷酷さもあすか先輩の一面なわけで。奏者としては一流だし、部をまとめる力もあるけれど、決して「誰かの味方」にはならない。そういう、怖いくらいの公正さを、もう少し出してほしかったなと。
あとはサファイヤちゃんね。この子も天真爛漫で可愛らしい変人キャラでしたけど、忘れてるかもしれないけど、全国レベルの名門校出身。あの自信は、確かな実力に裏打ちされているのです。それと、この子ってどちらかというと「コンクールの結果より、楽しく演奏」というタイプなんです。コンバスが好きだから一生懸命練習するし、そうすれば結果は自ずとついてくる……という、「音楽家」的な子なのですが、あまりアニメではそこまで描かれていなかったなと思いました。
まあそんな感じでした。
2期頼むで京アニ様……2巻、3巻ぶっ通しの2クールでオナシャス。
記事:tartarous
かつての『涼宮ハルヒの憂鬱』や3年前の『氷菓』もそうでしたが、小説のアニメ化は京アニが一番ですね。原作の良いところを残しつつ、アニメでしか表現できない魅力を存分に引き出してくれる。
それだけにとどまらず、アニメを観た後に原作を読み直すと、「アニメでは表現できなかった原作小説ならではの面白さ」を気づかせてくれるのが、本当に素晴らしいのなんのって。
『ユーフォ』で言えば、音楽的な演出だったり久美子と麗奈の百合百合しいやり取りなんかはアニメならではでしょう。一方で、ダメダメだったあのチームが滝先生の指導の下じわじわと成長していく過程は、小説の方が表現できてたかなと思います。どんなに厳しい練習をしていても、アニメだと「週1回」だからね。
というわけで、キャラクターについて思うところを思うがままに書こうと思います。
一番「変わった」と思うのは、主人公の久美子。このキャラ、実はけっこう中途半端な立ち位置なんですよね。ユーフォの経験は長いから、それなりの技術はある。マイナー楽器だけあって競争相手も少ない。けど、圧倒的技量のあるあすか先輩や麗奈ほどではない。全国行きたい!という強い意志はなかったけど、真面目に練習しようというやる気はある。
この中途半端さから、小説ではどうしても「語り手」「観察者」みたいなポジションだったけど、アニメではしっかり主人公をやっていたと思います。どこか冷めていた久美子が、上手くなりたい、全国に行きたいと強く思うようになっていく過程がきっちり描かれておりました。
あと、小笠原部長。原作では3巻通して、3年生の中でも、変人超人のあすか先輩や大正義天使の香織先輩と比べると、インパクトが弱いキャラでした。けれどアニメでは、顧問と部員の板挟みになって四苦八苦する部長の姿がとても素敵でした。
アニメを観終わった後、もう一度原作を読み直したら、実は原作でも、彼女は彼女なりに悩んでいる場面が結構あったことに気づきました。3巻最後の挨拶のシーン、最初に読んだときは特に何も思わなかったけど、アニメの小笠原部長を思い出しながら読んだら、泣けました。
そして香織先輩。原作でも聖人ですがアニメでは大天使でしたホント。最早言うことはない。
ひとつ不満があるとすれば、麗奈と一騎打ちした次の回の冒頭で、麗奈が「あのときは生意気言ってすいませんでした」と謝るシーン。あそこは原作通り、回を跨ぐことなく、決着がついたその場でやってほしかった。それでこそ、「負けを認めるために挑んだ」香織先輩への麗奈の素直な敬意が伝わったんじゃないかなと思う。
香織先輩といえば、その信者の優子ちゃん。原作1巻だと、麗奈にキツく当たるちょっと嫌な先輩ってキャラで終わってしまうんですよね。
バカっぽい子だけど、大量に辞めた2年生の数少ない生き残りだし、A編成に入るだけの実力もある。香織先輩を信奉するのもそれなりの理由がある。実は原作2巻でそのへんのエピソードが分かって、ようやく優子先輩の人となりが分かるんですが。アニメではうまいことオリジナルのシーンを挟むことで、「本来2巻でわかるはずの優子先輩の良さ」を「1巻分のエピソードの中」で伝えてくれたと思います。GJ部!
一方で、ちょっと不満が残るのが、あすか先輩。アニメだと、ただの完璧超人&変人で終わってしまっているのよね。「ソロをふくのは麗奈でも香織でもどうでもいい」と切り捨てるところがありましたが、あの冷酷さもあすか先輩の一面なわけで。奏者としては一流だし、部をまとめる力もあるけれど、決して「誰かの味方」にはならない。そういう、怖いくらいの公正さを、もう少し出してほしかったなと。
あとはサファイヤちゃんね。この子も天真爛漫で可愛らしい変人キャラでしたけど、忘れてるかもしれないけど、全国レベルの名門校出身。あの自信は、確かな実力に裏打ちされているのです。それと、この子ってどちらかというと「コンクールの結果より、楽しく演奏」というタイプなんです。コンバスが好きだから一生懸命練習するし、そうすれば結果は自ずとついてくる……という、「音楽家」的な子なのですが、あまりアニメではそこまで描かれていなかったなと思いました。
まあそんな感じでした。
2期頼むで京アニ様……2巻、3巻ぶっ通しの2クールでオナシャス。
記事:tartarous