>技師が手を抜けば、戦場で騎士が死ぬ。騎士が死ねば、守るべき人間も死ぬ。
>だから僕たちは、いついかなるときでも最善を尽くす。
というわけで、ファンタジア文庫の新作にチャレンジです。
最近流行りと思われる、頭脳派、非戦闘員の主人公が、なんやかんやでバトルする話です。
それ以上でもそれ以下でもない。
あらすじから固有名詞のオンパレードで読むのが大変そうですが、意外や意外、数多い専門用語に戸惑うことなく読み進めることができたのは好印象。その場その場で必要十分な用語説明が挟まれていて、置いてきぼりにされることがありませんでした。
作中で何度かあった戦闘シーンにおいて、どの戦闘でも主人公が「違った勝ち方」をするので、読んでいて飽きないです。主人公は一流の技師なわけだけど、技師としての技術で勝つのか、知識で勝つのか、非戦闘員ゆえの狡賢さで勝つのか。一口に「技師としての戦い方」と言っても、いろんなバリエーションがあることをこの1巻の中で披露してくれたことは高く評価したい。
キャラクターは……振り返ってみると、主人公やヒロインを含め、あまりキャラの内面を書いた描写がなかったように思います。ゆえにテンポよく話が進んだというのはありますが、物語を上から俯瞰して読むタイプはともかく、人物に感情移入したい人にはちょっと物足りないかもしれません。
ダメだった点を二つ。
ひとつは、主人公が一度も負けなかったこと。ギャグシーンじゃなくて、シリアスな場面でね。騎士と技師がそれぞれの役割を果たすべきという世界で、技師である主人公が無双してたら、じゃあ騎士は要らないじゃん、という話。「技師であるはずの主人公が一線で活躍する」というのなら、「騎士としては活躍できない」という場面を見せてもらわないと、これじゃあ巷に溢れる滅法強いだけの主人公と変わりません。
もうひとつは、物語のキーになるはずの「7年前」について、さすがに情報がなさすぎです。意図的に伏せているのではなく、作者も考えてないんだから行間に現れようもない、というのが正直なところではないでしょうか。読んでいて、「7年前を描いた過去編を読みたい」という気持ちに全くなりませんでした。
作者は本当に7年前の物語を考えているのか?そこから今日にいたるまでの物語を考えているのか?それらを踏まえたうえでの、満を持しての第一巻がこの1冊なのか?残念ですが、そういう重みのようなものが、ないんです。
どちらも、2巻以降でいくらでも巻き返せることなので、ぜひ期待したいところではあります。双装やD粒子の設定そのものは面白いし、キャラクターの掘り下げもまだまだ出来そうです。アズリィの実力は学園3位とのことだけど、これは2位や1位を出してもらわないといけないしね。
2巻、出るんでしょうか……
感想:tartarous
>だから僕たちは、いついかなるときでも最善を尽くす。
というわけで、ファンタジア文庫の新作にチャレンジです。
最近流行りと思われる、頭脳派、非戦闘員の主人公が、なんやかんやでバトルする話です。
それ以上でもそれ以下でもない。
あらすじから固有名詞のオンパレードで読むのが大変そうですが、意外や意外、数多い専門用語に戸惑うことなく読み進めることができたのは好印象。その場その場で必要十分な用語説明が挟まれていて、置いてきぼりにされることがありませんでした。
作中で何度かあった戦闘シーンにおいて、どの戦闘でも主人公が「違った勝ち方」をするので、読んでいて飽きないです。主人公は一流の技師なわけだけど、技師としての技術で勝つのか、知識で勝つのか、非戦闘員ゆえの狡賢さで勝つのか。一口に「技師としての戦い方」と言っても、いろんなバリエーションがあることをこの1巻の中で披露してくれたことは高く評価したい。
キャラクターは……振り返ってみると、主人公やヒロインを含め、あまりキャラの内面を書いた描写がなかったように思います。ゆえにテンポよく話が進んだというのはありますが、物語を上から俯瞰して読むタイプはともかく、人物に感情移入したい人にはちょっと物足りないかもしれません。
ダメだった点を二つ。
ひとつは、主人公が一度も負けなかったこと。ギャグシーンじゃなくて、シリアスな場面でね。騎士と技師がそれぞれの役割を果たすべきという世界で、技師である主人公が無双してたら、じゃあ騎士は要らないじゃん、という話。「技師であるはずの主人公が一線で活躍する」というのなら、「騎士としては活躍できない」という場面を見せてもらわないと、これじゃあ巷に溢れる滅法強いだけの主人公と変わりません。
もうひとつは、物語のキーになるはずの「7年前」について、さすがに情報がなさすぎです。意図的に伏せているのではなく、作者も考えてないんだから行間に現れようもない、というのが正直なところではないでしょうか。読んでいて、「7年前を描いた過去編を読みたい」という気持ちに全くなりませんでした。
作者は本当に7年前の物語を考えているのか?そこから今日にいたるまでの物語を考えているのか?それらを踏まえたうえでの、満を持しての第一巻がこの1冊なのか?残念ですが、そういう重みのようなものが、ないんです。
どちらも、2巻以降でいくらでも巻き返せることなので、ぜひ期待したいところではあります。双装やD粒子の設定そのものは面白いし、キャラクターの掘り下げもまだまだ出来そうです。アズリィの実力は学園3位とのことだけど、これは2位や1位を出してもらわないといけないしね。
2巻、出るんでしょうか……
感想:tartarous