大学生くらいを中心に売れてるらしいですね、これ。
気取ったタイトルといい、鳥越さんのイラストといい、哲学めいた言い回しの散りばめられた文章といい、いかにも「頭の良い人が読んでそう」なオーラが出てますもんね。
「階段島」にまつわる秘密そのものが主題だった前巻ですが、今回は「ここはそういう島である」という前提のもと、閉鎖空間でのちょっと不思議な出来事にまつわるミステリです。自分自身に捨てられた、端的に言えば欠点そのものである階段島の住人たちの織りなす、時間にすれば1週間にも満たない物語。
1ページ、1シーンたりとも無駄がない。作中のちょっとした言動、さりげない人物描写、それら全てに必ず意味があるのです。作者の前作等を知っていれば、それを分かっているから自然と読み方も慎重になるし、初めて河野作品に触れる読者であれば、終盤であれやこれやが繋がった瞬間の静かな感動を噛みしめることができるでしょう。
起こった出来事の中には本当に偶然なものもあるし、「魔女」の仕業で仕方のないものもあるし、誰かが故意に仕掛けたものもある。それらに対して、七草をはじめとした登場人物たちが思い思いの行動をとる。
それらが最後に一つに繋がるわけだけど、それは全ての発端が同じであったという始点の話であって、決してどこか一つの終点に収束するという意味ではないのね。
まあそんな感じで、読んでいる間も読み終わった後の余韻も素晴らしいものではありました。スニーカー文庫の河野作品や、「いなくなれ、群青」が好きな人には引き続きお勧めできます。
感想:tartarous
気取ったタイトルといい、鳥越さんのイラストといい、哲学めいた言い回しの散りばめられた文章といい、いかにも「頭の良い人が読んでそう」なオーラが出てますもんね。
「階段島」にまつわる秘密そのものが主題だった前巻ですが、今回は「ここはそういう島である」という前提のもと、閉鎖空間でのちょっと不思議な出来事にまつわるミステリです。自分自身に捨てられた、端的に言えば欠点そのものである階段島の住人たちの織りなす、時間にすれば1週間にも満たない物語。
1ページ、1シーンたりとも無駄がない。作中のちょっとした言動、さりげない人物描写、それら全てに必ず意味があるのです。作者の前作等を知っていれば、それを分かっているから自然と読み方も慎重になるし、初めて河野作品に触れる読者であれば、終盤であれやこれやが繋がった瞬間の静かな感動を噛みしめることができるでしょう。
起こった出来事の中には本当に偶然なものもあるし、「魔女」の仕業で仕方のないものもあるし、誰かが故意に仕掛けたものもある。それらに対して、七草をはじめとした登場人物たちが思い思いの行動をとる。
それらが最後に一つに繋がるわけだけど、それは全ての発端が同じであったという始点の話であって、決してどこか一つの終点に収束するという意味ではないのね。
まあそんな感じで、読んでいる間も読み終わった後の余韻も素晴らしいものではありました。スニーカー文庫の河野作品や、「いなくなれ、群青」が好きな人には引き続きお勧めできます。
感想:tartarous