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あ、そっちがメインタイトルだったんですね。

12年ぶりのスニーカー大賞受賞作ということで、期待度爆上げで読んでみました。

発火能力者の主人公、ホムラ
マッドサイエンティスト、サイコ
暗殺者、ジン
生体兵器、ツツミ
機械生命体、プロト

“元の世界”では超個性的なプロフィールを持っていた5人がファンタジー世界に転生して、世界を救う旅に出る!というお話です。

ぶっとんだ雰囲気の表紙やタイトルとは裏腹に、ストーリー展開はかなり丁寧な印象でした。
5人の出会い、旅の始まり、拠点となる街への逗留、この世界の現状把握、……と必要なプロローグをこなし、最後はちょっとした事件を解決してこのエピソード1は終わり。
5人とも、特異な能力を持ちつつも、この世界で無双できるほどというわけでもなく、まだまだ成長の余地があり、今スタートラインに立ったところという感じです(ジンだけは別格かな?)。

5人の中でも特に言動の尖ったサイコに、比較的常識人のホムラが突っ込みを入れる。というやりとりでほとんど1巻が終わってしまった印象です。あとは戦闘力がずば抜けていると思われるジンが、たまに場を整える役割をはたしていたかな。
残念ながら、ツツミとプロトはほとんど目立った出番がありませんでした。2巻以降に期待すればよいのでしょうか。


以下、ラノベ読みをほとんど引退したオッサンのたわ言ですが……

1巻からここまで丁寧に話を作ってくれなくていいのよ。そんな暇があるなら、もっと5人にハチャメチャに大暴れさせてほしかった。それこそ消化不良になるほどに、5人の魅力を思いっきり発揮させてほしかった。なんなら一人ずつ、能力を最大発揮して敵の幹部を倒しちゃうくらいでもよかったんじゃないのかな。

そうやって一仕事終えて、この先の巻では次の世界も救っちゃったりしてさ。話がひと段落した4,5巻あたりで、ようやく「そういえば5人の出会いの話って書かれてないよね」てな流れで、過去編として(ゼロ巻として)この1巻のエピソードをやれば最高だった気がします。

まあ昨今の出版事情ではそういうのは難しいのかもしれませんが。1巻が、そのまま時系列の先頭というのでは、なかなか名作にはなれない気がします。


ラノベ読みをほとんど引退したオッサンのたわ言(その2)……

あまり他作品と比べるのは行儀が悪いですが、[大賞]と銘打っているので一つだけ。
5人の主要キャラを登場させながら、活躍させられたのがホムラとサイコの2人だけというのが本作品の大きな不満点の一つです。1巻なので仕方ないかなとも思いましたが……
『涼宮ハルヒの憂鬱』では、宇宙人、未来人、超能力者が登場し、それぞれが主人公に自分の正体を明かす場面と、それを主人公に信じさせるエピソードをやりきりましたよね。それでいて、世界の中心であるヒロインの立ち位置は全くぶれない。
『ハルヒ』が別格と言ってしまえばそれまでですが、やはり同じページ数でもエピソードはもっと詰め込めたはず……と思ってしまいました。

感想:tartarous