みずほ証券発注ミス
まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記にも出てますが、小さな事故をこまめに対処しない組織では大きな事故が発生するというHRO対策の基本そのままの事例ですね。
推察ですが・・・
・株価と株数の取り違い
入力画面でそれぞれを区別する工夫が、画面設計上足りなかったのではないかと推察します。
東証での同じ、株価、株数取り違えによる億単位のミスは、今回で3件目のようですから。
そう考えれば、より少額のミスは常態化していたかもしれません。
その他には、ITではなく業務処理手続きに落とし穴があったかもしれませんね。
たとえば、ほとんどの指示が、「10万円で10株を売り」というように、「金額、株数」という順番の様式なのに、その中に、「10株を10万円で売り」という指示が混在すれば、それを「10円で10万株を売り」と入力してしまうでしょう。
・警告画面を無視した
警告画面の出現頻度が高い設計だったのではないかと推察します。
しょうもないことまで、常に警告画面を表示させるようなシステムでは、人は、それを無視しはじめるでしょう。
極めて稀にしか表示されないような、警告画面を、即座に無視するとは思えません。
あるいは、グローバライズ気取りで、意味もなく警告文を英語で作っていたり。
日本人には、「WARN や ALERT」と表示するより「警告」と表示した方が直感的なはずです。でも、かっこつけて英語で表示するものが意外に多いですよね。
少なくとも、警告画面の頻度が少なくなるように、警告条件を考慮するのは、設計上の問題です。そして、警告条件が取り引き条件に依存するなら、警告条件を変更できるような設計がなければ、「人」はそれを正しく使えません。
最後は「人」なんだという配慮に欠けた設計のシステムが最近多い気がしています。
などと勝手に推察してみましたが、そんなことは揚げ足取りの邪推でしかありません。
まぁ、いろいろな事情があったのでしょう。
しかし・・・
・再発防止のためには
一般的に考えて、これまで株数と株価を入れ間違えるミスがまったくなかったところに、いきなり数百億円のミスが発生したとは思えません。
日々の小さなミスを軽視して、設計変更をしなかった責任は重いはずです。
まさに、HRO対策を怠ったということですね。
HROとは、 高信頼組織(High Reliability Organization)の略で以下の書籍で解説されています。
不確実性のマネジメント(Managing Unexpected)
出版:ダイヤモンド社
良書なので、amazon に書評を書いたことがありますし、佐藤の講演では、ちょくちょく紹介してます。
「バカな行政、バカな報道、バカな国民では再発は防げない」で書いたとおり、今回のような事件を他山の石として失敗から教訓を学び、自身についても同種の潜在的な問題点を改善をしないといけませんね。
12月 9, 2005 | Permalink
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