照沼和明氏 |
「『おサイフケータイ』など携帯電話はITインフラへと進化している」(照沼氏)。それに伴い,搭載ソフトウエア規模は,5年で15倍になった。基幹系サーバー・システムに匹敵する規模である。これまでは携帯電話機メーカーごとにOSをメンテナンスし,独自システムを構築してきたが,それが限界に近づいてきた。
共通のOSを採用することで,OSの機能追加開発,試験の負荷を軽減する。「Linuxであればソースコードが公開されているため自由に改変できる。またLinuxは経験者が多く,教育コストの低減が期待できる。PCや家電からのソフトウエア移植も容易になる」(照沼氏)。
またメーカーによらず共通に利用する機能をプラットフォーム化することで「メーカーが独自の付加価値を生む機能に注力できるようにした」(照沼氏)。プラットフォームをMOAP(L)=Mobile Phone Application Platform(Linux)と呼ぶ。パソコン上のシミュレータで,実機が完成していなくともソフトウエアを開発できるようになっている。
NTTドコモは2004年11月,Linuxプラットフォームを搭載した最初の携帯電話を発売した。901iシリーズではN901iCとP901iの2機種,700iシリーズではN700iとP700iの2機種がLinuxプラットフォームを採用。今後も採用機種を増やす計画で「今年度(2005年度)は1000万台近い出荷になる」(照沼氏)。
Linuxプラットフォームは「端末メーカーを始め,ソフトウエア・ベンダー,チップなどのデバイス・ベンダー,開発ツール・ベンダーなど携帯電話に関わるプレーヤーに広く提供し,エコシステムを活性化する」(照沼氏)。プラットフォーム上で開発されたソフトウエアは複数のメーカーの携帯電話での流通性が向上する。NTTドコモでは「各プレイヤーがプラットフォームをベースとした独自のビジネスを展開することを期待している」(照沼氏)という。