日本オラクルは2015年7月23日、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)およびIaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)の新サービスを提供開始したと発表した(写真1)。同社のPaaS環境「Oracle Cloud Platform」には、データベースやビッグデータ処理など5種類の新サービスを追加。IaaSでは、長期保存向けのストレージサービス「Oracle Archive Storage Cloud」を公開した。これらサービスの拡充により、オンプレミス環境で動作するソフトウエアのクラウド移行や、オンプレミスとクラウドとの連携を促進する。
PaaSの新サービスは、高性能データベースの「Oracle Database Cloud - Exadata」、ビッグデータ処理の「Oracle Big Data Cloud」、モバイル向けアプリケーションの基盤となる「Oracle Mobile Cloud」、SaaS間の連携を容易にする「Oracle Integration Cloud」、ビジネスプロセスを自動化する「Oracle Process Cloud」。いずれも米国では発表済みで、国内でも利用できるようにした(写真2)。
副社長執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括の三澤智光氏は「従来のクラウドサービスはIaaSに比重が置かれ、かつSystems of Engagement(SoE)を開発するための基盤だった。だが、それだけでは顧客の要望には応えられない」と話す。SoEとは、モバイルやビッグデータを活用して顧客やパートナーなどを結びつけるシステムのこと。企業にとってこうした新しいシステムの存在感は増しているが、基幹系など記録中心のシステムを意味する「Systems of Record(SoR)」は依然として重要だ。
その点同社は、OracleデータベースやJavaなどSoRで広く使われる環境をPaaSで提供する。このため「既存のSoRをクラウドに持って行きやすい。さらに、クラウドに移行することでSoEのための機能もそのまま取り込める。これが我々の最大の差別化ポイントだ」(三澤氏)。クラウドで稼働しているシステムをオンプレミスに移行したり、オンプレミス環境のソフトウエアとクラウドとをスムーズに連携させたりしやすい点も強みとする(写真3)。
国内でPaaS展開を促進するための各種取り組みも実施する。基本的なサービス構成を「PaaS Starter Pack」として提供し、初期導入のハードルを下げる。クラウド技術者育成のために、2015年7月9日から定額制のオンデマンド型学習サービスを開始した。パートナー企業向けの情報発信なども強化する。