「マイニングプールの運営を通じ、仮想通貨コミュニティから学び、コミュニティの成長に貢献したい」(GMOインターネットの熊谷正寿グループ代表)。

写真●GMOインターネットの熊谷正寿グループ代表
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 GMOインターネットは2017年9月7日、仮想通貨ビットコインで新規のコインを得る「マイニング(採掘)」に使える半導体チップの製造と、マイニングで収益を上げるマイニングプールの運営に参入すると発表した。なぜGMOインターネットはマイニング事業への参入を決めたのか。同社が2017年9月13日に本社で開催した事業説明会から、同社の狙いを探る。

7nmプロセスで初の商用チップか

 GMOインターネットは現在、ビットコインが採用するハッシュアルゴリズム「SHA-256」のハッシュ値演算を並列実行できるマイニングチップを開発している。既に論理設計を終え、最先端の7nm製造プロセスで2018年4月に量産を始める計画だ。「7nmプロセスでは世界初の商用チップになる可能性がある」(熊谷氏)。

チップ1枚のハッシュ生成性能は1秒当たり10テラハッシュで、消費電力は500W以下
チップ1枚のハッシュ生成性能は1秒当たり10テラハッシュで、消費電力は500W以下
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 半導体プロセスに詳しい技術者は「マイニングチップは台湾TSMCなどの半導体製造企業が用意する『標準セルライブラリ』だけで設計できるため、7nmの製造ラインさえ確保できれば、早期に量産できる」と語る。

 スマートフォン用CPUなどの高性能プロセッサは、外部メモリーの物理層や制御回路の設計に時間がかかり、最先端プロセスでは何度か試作を繰り返す必要がある。マイニングチップは外部メモリーが不要なため、他の商用チップと比べて量産工程に入るまでの期間を短くできる。

 むしろ難しいのは、7nm量産ラインの確保だろう。一般に先端のプロセスほどチップの省電力性能が高まるが、早期に最先端プロセスを使える企業は限定される。

 同社は、国内メーカーと組んでチップを設計・量産するという。早期に7nmプロセスにアクセスできそうな日本企業といえば、台湾TSMCの7nmプロセスでチップの開発計画があるスパコン開発のPEZY Computingか、あるいは富士通に限られそうだ。いずれにせよ、GMOインターネットはいち早く省電力チップを量産するメドをつけたことになる。