日米両国とも、エネルギー源の確保と同時に化石燃料からの脱却を図っている。化石燃料から脱却して向かう先は再生可能エネルギーであるが、再生可能エネルギーの問題は化石燃料や原子力のような大量かつ安定した電力を現在の技術では提供できないことである。その上、大規模に展開すれば現段階ではコストも大きい。ではどのようなプロセスをたどれば、再生可能エネルギーへの軟着陸は可能なのだろうか。
その鍵を握るものとして、日米両国で注目されているのが天然ガスだ。しかし果たして化石燃料である天然ガスは、本当に再生可能エネルギーへの架け橋なのだろうか。それとも、障壁なのだろうか。この記事では、現在米国で起こっている“天然ガス革命”を見ながら、この問題を考える。
日本の今後のエネルギー政策
現在考慮できる発電のためのエネルギー源は、大きく分けると、化石燃料(原油、天然ガス、石炭)、再生可能エネルギー(太陽光、太陽熱、風力)、原子力などがあるが、日本と米国ではエネルギー政策にいくぶんか違いがあるようだ。
東日本大震災以前の日本では、エネルギー政策は温室効果ガス削減による低炭素化社会の達成が大きなウエイトを占めていた。温室効果ガスを排出しない原子力が一番費用対効果が優れていると評価され、30%の発電量を占めていた。2020年には40%に増加しようという計画ですらあった。福島第一原発の事故以来、この計画は変更を余儀なくされた。
しかし日本政府内部からは、現在停止された原子炉をすべて廃棄する即脱原発なのか、一時的にでも一部を再稼働しながら代替エネルギーを開発して暫時廃止していき最終的に全部の原子炉を廃棄するのか、その場合にどれくらいの時間をかけるのか、という議論がいまだに聞こえてこない。はっきりしていることは、すべてを再稼働し、また新規の原発を建設することは今後不可能だということだろう。
これを書いている4月中旬、国内にある54基の原子炉のうち、北海道の泊原発3号基を除きすべての原子炉は停止したままだ。大飯原発の再稼働に関しても政府内の意見統一が見られず、再稼働する条件が日々変更されているように見え、はっきりとした方向性が見えない。このままでは5月5日とも報道されるように、泊3号基が停止して、すべての原子炉が停止する。その場合、今夏の電力事情はどうなるのだろうか。
原発なしでも、電力需要に耐え得るだけの電力確保は可能だという意見もあるが、原発を停止し続けるのであれば、短期間でそれを代替できるエネルギーとしては、再生可能エネルギーがまだ十分に成熟していない以上、化石燃料に頼らざるを得ない。