今回は、どんな人が「こころの病」にかかりやすいのかを、職種やベンダー/ユーザーの違い、年齢、性別、残業時間など、様々な属性で分析する。
まずは、職種ごとに見てみよう。図1は、職種ごとに見た、こころの病と診断されたことがある割合である。
こころの病と診断されたことがある割合が最も高かったのは、プログラマだった。21.3%と約5人に1人が、医師にこころの病と診断されたことがある。今回の調査の平均が15.5%なので、これはかなり高い数字である。プログラミングの仕事は、人間関係が希薄になりやすいことが原因だろうか。
プログラマに次いで高かったのは18.6%のSE。以下、運用/管理(18.2%)、保守/サポート(17.4%)、プロジェクト・マネジャー(16.7%)と続く。
逆に最も割合が低かったのは、管理職・経営者である。こころの病と診断されたことがある割合は8.6%と、平均の約半分だった。こころの病にかからないような人しか管理職・経営者にはなれない、ということなのかもしれない。
ベンダーのほうがユーザーよりもこころの病にかかりやすい
では、ベンダーとユーザー企業では、どちらがこころの病になりやすいのだろうか。
図2は、ベンダー/ユーザーごとに見た、こころの病と診断されたことがある割合である。
これを見ると、明らかに、ベンダー企業(システム・インテグレータ,メーカー,ディーラー,ソフト製品開発などIT関連企業)のほうが、ユーザー企業(製造,サービス,金融,流通,官公庁などITのユーザー企業)よりも高いことがわかる。ユーザー企業に務めている人がこころの病と診断されたことがある割合が12.1%なのに対し、ベンダー企業に勤めている人の割合は、その1.5倍の18.8%にも及ぶ。この結果を見ると、IT業界あるいはITエンジニアが、他の業界や職種と比べてこころの病になりやすいのは、間違いないようだ。
このことは、「勤務先で『うつ病』になった人を実際に知っているかどうか」をベンダー/ユーザー別に見た図3にも表れている。
職場でうつ病になった人を知っていると答えた割合は、ユーザー企業が74.0%だったのに対して、ベンダー企業は81.5%と8割を超える。