白石 浩章氏 管理本部 管理部門 経営企画グループ長 兼 情報システムグループ長
白石 浩章氏 管理本部 管理部門 経営企画グループ長 兼 情報システムグループ長
 (写真:中島 正之)
 

 ソリューションプロバイダの営業担当者には、当社の業態をどうとらえ、それに対して売り込みたい製品やサービスがどう位置付くのかをはっきりと説明してほしい。

 このことは、特に基幹系システムの製品やサービスを扱う営業担当者に、強く意識してもらいたい。営業支援ツールやグループウエアといった情報系システムの製品やサービスの場合、ほぼ業種業態を問わずに導入できる。しかし、基幹系システムでは、そうはいかない。業態が違えば求められる要件も大きく異ってくるからだ。

 また、同じ業態向けの製品やサービスであっても、それらの機能や仕様によって得意な領域が異なってくる。例えば同じ流通業向けのパッケージ製品でも、細かく見ると卸業が得意だったり、小売業が得意だったりと違いがある。この違いは、ソリューションプロバイダが持つ経験やノウハウにも左右される。

 業態をとらえず、製品やサービスの位置付けを明確にしない営業担当者には、たとえ人当たりが良くてもシステム構築を頼みづらい。ソリューションプロバイダの経験やノウハウ、製品やサービスの形態が当社の業態とずれていると、円滑に開発できないリスクが高まるからだ。我々が対象業務について重要なことを言っているのにSEに正しく伝わらなかったり、逆にSEが良いことを提案してくれているのに我々が理解できなかったりと、うまくいかない部分が増えるに決まっている。

 だからこそ、営業担当者は顧客を訪問する前に、顧客のおおまかな業態くらいは研究しておくべきだ。その上で、売り込みたい製品やサービスをどう適用していくのかを、あらかじめ業態ごとにパターン化しておく。そうすれば、業態に対する製品やサービスの位置付けを、きちんと我々に伝えられるはずだ。

 売り込みたい製品やサービスが当社の業態にピッタリと当てはまらなければ、その部分を何らかの方法で補強すればよい。カスタマイズで対応したり、別の製品やサービスを組み合わせたり、あるいはその領域を得意とする他のソリューションプロバイダと協業したりするなど、やり方はいろいろあるだろう。

 その際、「過去にこういうカスタマイズを施して、御社のような業態にも導入してきました」といった具体的な話が聞けると、我々としても大いに参考にできる。さらに言えば、人的リソースの選択肢を提供してくれると助かる。当社のシステム部門はわずか10人程度と非常に少ない人員でやっているため、人的リソースに余裕がないからだ。10人程度では開発プロジェクトをコントロールする人員の確保も難しい。

 このため、「開発全体でこれぐらいの人的リソースが必要ですが、御社の人員では不足するかもしれません。その場合、こういった開発支援サービスをご提供できます」とか、「設計フェーズではこの企業と組んで成功させた実績があります。必要なら手配できます」といった提案は、非常に重要だと思う。(談)