2019年6月6〜8日に東京で開催された教育関連の総合イベント「New Education Expo 2019」では、ICT活用教育に関するさまざまな講演、展示会、ワークショップなどが開催された。展示会場で目立ったのは、2020年度から小学校で実施される新学習指導要領に対応したデジタル教科書だ。学校教育法などの改正により、2020年度からは紙の教科書の代わりにデジタル教科書を使えるようになる。紙の教科書の内容をそのまま電子化したものを、文部科学省では「デジタル教科書」と呼んでいる。

 会場では東京書籍、光村図書、教育出版、大日本図書、日本文教出版、教育芸術社などが学習者向けのデジタル教科書を展示した。これまで教科書各社が開発・販売してきたのは主に教員が使う指導者用デジタル教材だが、新しいデジタル教科書は学習者が自分のパソコンやタブレットで使用する。ただし、デジタルであっても紙の検定教科書と同じ内容であることが必須で、機能も表示の拡大・反転、書き込み、機械音声による読み上げなどに限られる。2020年度から採用する自治体がどれくらいあるかは、各社ともまだ見えていないという。

光村図書の学習者向けデジタル教科書。同社はコンテンツ表示プラットフォームとして「まなビューア」を開発。大日本図書、日本文教出版、教育芸術社も同ビューワーを採用しており、コンテンツは異なっても操作性を共通化している
光村図書の学習者向けデジタル教科書。同社はコンテンツ表示プラットフォームとして「まなビューア」を開発。大日本図書、日本文教出版、教育芸術社も同ビューワーを採用しており、コンテンツは異なっても操作性を共通化している
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教育芸術社の音楽のデジタル教科書。視覚障害がある学習者が見やすいように配色などの表示方法を変えられる
教育芸術社の音楽のデジタル教科書。視覚障害がある学習者が見やすいように配色などの表示方法を変えられる
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