楽天が携帯電話事業に新規参入する。約6000億円の設備投資を予定し、2019年中にサービスを始める計画だ。2018年2月には総務省に新たな周波数の割り当てを申請し、三木谷浩史会長兼社長がスペイン・バルセロナで開催された「MWC2018」の基調講演で「ゲームチェンジャーになる」と宣戦布告した。
もっとも、周波数の割り当てはまだ決まったわけではない。3月末には決定する審査で漏れる可能性も残されている。ただ、新規事業者は既存事業者より優位(審査時に加点)となるため、計画によほどの不備がない限り無事に割り当てられるだろう。
楽天が2018年2月13日に開催した2017年12月期決算説明会によると、準備は順調に進捗しているようだ。「外部ベンダーから一次見積もりを取得し、6000億円内外の設備投資は全国カバーのネットワークを構築するに十分」とした。さらに既存事業者出身者を含め、多数の専門家を採用済みという。折しも技術部隊の配置転換を進めるソフトバンクからは「多くの人材が楽天に流れている」(業界関係者)といった話も聞こえる。
2017年12月末には、ソフトバンクを退職した大物幹部が楽天サイドに加わったとして、業界関係者の間で大きな話題を呼んだ。楽天は日経 xTECHの問い合わせに対して否定したが、競業避止義務に抵触しない外部アドバイザーのような形で参画していることはほぼ間違いない。同人物は総務省との折衝を長らく務めていたこともあり、計画の不備は考えにくい。楽天の新規参入は「当確」と見ている。
楽天の戦略は徐々に明らかになっていくとして、現時点で筆者が最も注目しているのは既存事業者とのローミング(相互乗り入れ)である。新規事業者はいきなり全国に設備を展開できるわけではないので常とう手段だが、費用がかさむのは必至。ローミングに頼れば事業展開が苦しくなるのは目に見えている。