初めて関わったYAPC::Asia Tokyoは2006年で、具体的な数は知らないですが多分150人くらいの参加者だったらしい。そこから数えて8年目。YAPC::Asia Tokyo 2013はチケット売上げ + 招待枠 + スピーカー + スタッフで 1,131名を記録した。自分の観測漏れがなければぶっちぎりで世界最大のYAPCである。

このエントリーではクロージングで話した内容とともに、今年のYAPCが開催されるまでの流れをざざーっと書いていこうと思う。来年以降にイベントを開催したい人達に向けてなにかしらのヒントになると嬉しい。 

 


予想来場者数・予算確定

今年は1月頃から行動開始した。これまではわりと出たところ勝負で規模・予算を決めていったのだけれども、去年まで連続して黒字を出せてたしスポンサー・チケット売上げの大枠予想がつき始めてたので、まず「来場してほしい人数」「そこから予測される予算」を考え、そこから企画やノベルティなどを跡づけしていく形でプランニングをし始めた。

来場して欲しい人数はずばり1000人。ただし、最初はそこまでいけるかどうかわからないので900人予想で考えてた。そこから予測される予算は約1000万円。余裕を見るなら1200万円。これをスポンサーとチケット売上げからたたき出す必要がある、ということ。多分俺はその話をした時櫛井さんにむかってニコリ(「よろしく☆」)としたのではないだろうか。覚えてないけど。

ちなみに小さめのイベントではこんな事する必要は全くないと思う。今回ここまでしたのはあくまで「あ、今年は予算が1000万いくな」とわかっていたからですね。

会場選定

今年は全部で4個か5個くらい会場候補を見た。サイズ的に1000人を収容できなおかつ小部屋も隣接してるというところは以外とチョイスが少ない。都内で色々みたが、我々の希望日程だと0円から1000万円とまぁ見積もりにものすごい開きがあった。ちなみに自分達が見た中の相場は民間施設だとだいたい600万から700万。大学のような施設だと300万弱くらいの感じだった。

諸々見た結果、一番我々の希望に近い物が慶應義塾 協生館だった。

ただ話を聞いた瞬間にここのネットワークは同時に500~700人つなげるとか無理だなーと悟った。自分はネットワーク関連に関してはド素人だけどさすがにYAPCをこれだけ続けていると担当と話をしていると「あ、こりゃいかん」と悟れるくらいの経験値はついてきているのであった。ネットワークに関してはまた後述。

スポンサーまわり

会場が決まってしまえばあとはもうどんどん進められる(逆に言うと会場が決まらないと何も出来ない)。今年はまず年度末前に何社かスポンサーの打診をしたかったので2月頃にはスポンサーメニューを作成した。スポンサーメニューは例えば「バックボード広告一口○万円」とかそういうヤツ。今までは「スポンサー一口○万円」それを何口、というのをスポンサーに説明して、さらに自分と941さんが口頭でどんな事に使えるとかそういう形で売り込みをかけていたのだけれども、今年は前もって「メニュー」という形で作った

これがまた面倒くさいし、難しい。商品とその適正価格をひねり出すってやっぱり辛いよぉ〜?

ともあれ、これをしないとスポンサーしてくれない、スポンサーできない、という企業は多い。スポンサーというのは協力したい、という意思を持っていても何をしたらいいのかわかってくれるところはほとんどないからだ。たまたま担当の人がそういうイベントに精通していれば簡単にイメージを共有できるが、そういう人が担当になる可能性は大分低い。

そのためのスポンサーメニューである。

YAPC_MD_2013_20130214


当然 Design 24Cのコバヤシさんに作ってもらった。毎年毎年ありがとうございます。

これを持って櫛井さんとあっちこちに行きまくった。櫛井さんといくこのスポンサー行脚はもう去年くらいからもはや考えないでもできるくらいになっているので二人の夫婦漫才を披露しに行ってくるぐらいの気持ちであちこち回ってきた。

企画・発注

今年は櫛井さんと自分の他にコアスタッフとして4人ほどにお手伝いしてもらった(熊谷さん@lesamoureuses 、 太田知美さん、鳥居良光さん、伊藤さん @umeyukiさん)。彼らに発注やら企画出しやらをやってもらいつつ、こちらはこちらで色々と進めるというスタイル。

こちらはもう毎月一回弁当食いながら淡々と進めていっただけなのであんまり書くことがないw 今年は提灯だ屋台だとか、ほとんど自分でやってない気がする。俺がやった!と自慢できるのは掛け軸の文言を考えたのは俺様だ!くらいですねw

ネットワーク

ネットワークはJANOG/LLNOCの皆様に設置していただいた。なんとこのためだけにフレッツを会場に引き、協生館の内部施設を通させてもらい、このイベントのためだけにWiFiを完備していただきました。ちなみに会場からはもう二度と同じ事はやらせないと言われてますのでもしやろうと思った方がいたらご注意ください。

ネットワークの事はよくわからないけれども、聞いた話によると他のイベントで彼らがネットワークを整備した時の2倍(回線の上限ギリギリ)まで行ったらしい。こちらに関してはなんか色々と面白いデータがあるらしく、これはこれで何か記事を書いてくれるということなので乞うご期待!

本番、そしてこれから

本番は・・・忙しかった。本当は普通のトークをする予定じゃなかったし。どんな感じだったかは他の皆様のブログでどうぞ

で、やっとクロージングです。

クロージングで言ったとおり今年はなんか若い人が色んなトークをしてくれたりPerl入学式とかやってくれたり、新しい技術が色々でてきたり・・・本当に新しいコミュニティの息吹を感じられた気がする。今年で941さんと自分は運営から引退することはもう何ヶ月か前から決まっていたのでこの新世代を感じられたのは大変嬉しく思う。

そんなわけでこの史上最大のYAPCを終えたところで我々引退するわけですが・・・なんかこう気持ちを高揚させる感じでこのエントリは締めたいと思っていたから書くかどうか迷ってたけど、自分の主催者として最後の仕事としてこれは言わなくちゃいけないので言います:

手前味噌ですが YAPC::Asia Tokyoは 常にイベントとして進化し続け、素晴らしい成果を残せたと思っています。ですが、櫛井・牧で運営するYAPC::Asia Tokyoは 本当に今年で終わりなんです。「来年もあるといいですね」と言っていただけるのはYAPCを楽しんでいただけたという証拠で大変ありがたい言葉ではありますが、全員がそう思っていたら本当に来年は何もありません。JPAとしても(現段階では)同様のイベントを主体的に開催する予定は全くありません。

これまで毎年自分は「誰か新しい人がやってくれないと、来年俺と櫛井さんがやれるとは限らないんだよ?」と伝えてきたつもりでしたが、まさにそれが今年現実になったわけです。櫛井さんは櫛井さんでやれない理由があるし、自分は正直子供が生まれたりしてもうこれ以上自分の家族以外に時間を費やせない(し、正直他の事をやりたい)。

今年のYAPCは1000人なんて規模を集めてしまったのでそれを継承するのはハードルが高いかもしれません。でも別にYAPC::Asia Tokyoをやらなければ良いのです。イベントの名前をかえたり規模を縮小したり、いくらでもやりようはあります。重要なのは(あなたもそう望むなら)コミュニティの火を絶やさない事なのではないでしょうか。コミュニティの火を絶やすくらいならYAPCなどという看板はどこかに捨ててしまえばいいのです

そしてどういう結果になるにせよ、何かが起こるにはこのイベントを大切な物と思ってくれた皆さんの行動こそが必要なのです。皆様が欲しいYAPCを是非その手で実現させてください。

dont keep calm or carry on, be the change you wish to see in the world

dont keep calm or carry on, be the change you wish to see in the world


そんな皆様へのお願いをもって僕のYAPCは(ほぼ)終了とさせてほしいと思います。8年間関わり、最後の5年間は主催、守銭奴としてやってきました。本当に苦しくて、本当に楽しかったです。今度は誰かのYAPCで一参加者として皆様と出会えるのを楽しみにしています。 何かアドバイスできるような事があれば是非気軽にご連絡ください。

P.S. それなりのサイズでやる場合は今年中にJPAと相談することを強くおすすめします