京都へ行った気分で寺巡り。
昨年の秋、昭和記念公園で紅葉の撮影を行ったが、それだけでは物足りず紅葉ならやはり寺だろうと考えた。本当なら京都まで足を伸ばしたかったが時間、金銭的余裕もなくそれならば東京近郊で京都気分をと思い選んだのが千葉県松戸市にある『本土寺』。700年以上の歴史を持つ古刹である。
千葉県と言えば最後に訪問したのは離婚する前、子どもたちが小学生だった頃だから随分昔の事である。私は子どもの頃から寺の静寂が好きだった。小学2年の時に『登校拒否』となり、朝ランドセルを背負い家を出るのだが学校へは向かわずその途中にある『蓮生寺』の釣り鐘堂に籠もり、ひとり遊びに浸っていた。その釣り鐘堂の天井には、とぐろを巻いた大きな龍の絵が描かれており、その龍とにらめっこをして時間を潰した。その龍の顔とギョロッとした大きな眼、開いた口から伸びる赤く長い舌を今でも鮮明に覚えている。その龍が「こんな所にいないで学校へ行きなさい」と戒めているように思えた。私にとってその龍は友人であり守り神でもあったのかも知れない。現代版トトロのような存在で、天井の龍の事を知っていたのは勿論、私だけであった。
話題がすっかりそれてしまったが、本土寺は想像より広く日本庭園のような部分もあった。太陽の陽射しを浴びて輝く五重塔は圧巻で、大きな地蔵と数百体はあると思われる小さな地蔵に思わず手を合わせてしまった。銭洗い弁天の笊に乗った楓が如何にも風流で、まさに京都を彷彿とさせる寺院ならではの出会いがあり、良い旅気分を味わう事が出来た。