3泊4日、故郷への旅路(天浜編)。
帰省の最終目的がこの可愛い1両編成の天竜浜名湖鉄道(天浜線)の撮影とそして乗車する事であった。撮影ポジションを探すため天竜川の川原に降り、天浜線が鉄橋を渡る所をカメラに収めたいと帰省前から考えていたのだが、全くその通りになってくれたのは有り難かった。ただ、その日は気温が35℃を越える猛暑、厳しい残暑の光が容赦なく照り付ける。日陰になるような場所は見つからず、電車が通るまで約30分は炎天に晒されていたわけである。
思い通りの構図で電車を撮り終えると最寄り駅の二俣本町へ向かう。喉がカラカラに乾き耐えきれそうになかったのでコンビニか自販機を探したが、全く見当たらない。過疎化が進んでいるとは聞いていたが、これほどとは思わなかった。辺りを見回しても人の影すらないのである。漸く駅舎が見えて来ると自販機を発見!キンキンに冷えた緑茶を一気に喉の奥へと流し込む。
全身は吹き出る汗で水を被ったようであったが、一服の緑茶に心身共に救われた気がした。駅は無人で切符を買う券売機もない。乗車する人も当然ながら誰一人としていない。風が時折、樹木を揺らして通るだけで人の声に代わって野鳥の囀りが頭上に木霊していた。30分以上待っただろうか、漸く掛川行きの天浜線の姿が見え、それもカメラに収めると風に押されるように電車に乗り込んだ。
数十年振りに味わうローカル線のプチ旅行、都会にはない長閑な田園風景を眺めつつ、終点の掛川駅まで乗車した。そして東海道線の各駅に乗り換え帰路へと着いた。