地震より怖い人災事故。
都市部に於ける地震対策が旧態依然とした現状を裏付ける形となった、大阪北部地震。地震の発生が最も混雑する通勤・通学の時間帯という不運も重なり、各駅の周辺では次々と人の波が押し寄せ、大混乱を招いた。緊急停止したエレベーターに閉じ込められた人の数は300人を超え、狭い空間で恐怖に慄く時間を体験する事となった。
鉄道や高速道路などの交通網が広範囲でマヒし、膨大な数の人の移動に影響が出るなど、ガス・水道のライフラインも寸断され大都市の脆弱性が浮き彫りとなり防災に対する多くの課題を残す結果を招いている。
今回の地震は過去の巨大地震と比べれば特別大きいわけではなく、中規模地震といえるだろう。然し、都市直下型だった事が予想を遥かに超える被害を生じたとものと考えられる。更に阪大で行われていたiPS細胞を使った重篤な心臓病を治療する世界初の臨床研究が地震により設備の一部が壊れるなどしたため、大幅に研究が遅れる結果となり、研究者たちも一様に落胆の色を滲ませていた。
この地震では5人の方が犠牲になり亡くなっているが、連日報道されているように、小学4年の三宅璃奈さんが倒壊したブロック塀の下敷きになり死亡した事故では、過去に違法建築物である危険性を専門家から指摘されておきながら、改善処置を講じなかった市の職員、学校関係者並びに建築業者の責任であり、明らかに人災による事故と言わざるを得ない。
喉元過ぎれば熱さ忘れると言うが、自然災害に対して私たちはこれまで幾度となく経験し、辛い思いをして来たにも関わらず、過去の体験から得た教訓を活かし切れていないのも事実である。忙しない日々の日常を送っている内、普段の気持ちの中に油断や隙間が生じ、大切な事を忘れがちになる。
日本列島の地下は数多くの活断層が縦横無尽に走り、日本の何処で大地震が起こっても不思議ではない状況である事を意識し、防災への心構えを再認識しておくべきだろう。最後にこの地震で罹災した多くの方々へのお見舞いと、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして被災地での復興が一日も早く進み、平穏な日常を取り戻せる事を願います。
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