Secret of Ukraine。
分離独立を巡って政府軍と親ロシア派の間で対立が激化しているウクライナ。動乱の半島、クルミアの領有問題が発端となり、深刻化する政情不安が思いもよらぬ悲劇を招いてしまった――。去る17日、耳を疑いたくなる様な、俄かに信じ難いニュースが世界を揺るがした。
マレーシア航空のボーイング777型機が何者かのミサイルによって撃墜される…。この衝撃的なニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。事件発生当初はエンジントラブル等による事故と思われていたが、親ロシア派の武装勢力が所有する地対空ミサイル『BUK(ブーク)』によって撃ち落とされたものとする見方が強まっており、乗員・乗客合わせて約300名が全員死亡する大惨事となった。
マレーシア航空機が飛行していた空域は、ウクライナ政府軍と親ロシア(分離独立派)が連日激しい戦闘を行っている内戦の真っ只中であり、そこはまさに『戦場』そのものだった。同機が何ゆえそのような危険地帯を飛行ルートに選んでしまったのか疑問が残るものの、戦闘の最も激しいとされる西部地域は飛行禁止空域に指定されており、撃墜された東部に至っては比較的平穏な非戦闘地帯と認識されていたのかも知れない。
が然し、何れにせよウクライナ全土を危険地帯とみなし、飛行ルートからウクライナを外すべきではなかったかと、航空会社の危機管理体制の甘さも露呈した形となっている。
マレーシア航空機は今年3月にも謎の失踪事件を起こし、4ヶ月経った今もその原因は謎のまま解決に至っていない。そして今回の撃墜事件であり、同国は落胆と渦巻く悲壮感の波により航空会社存続の危機に立たされている。
多数の民間人の犠牲者を出したこの『撃墜事件』であるが、ミサイル発射を巡ってウクライナと親ロシア派の意見は真っ向から対立しており、どちらも関与を否定し責任の擦り合いが国際社会にも飛び火し、ロシア、アメリカをも巻き込んで泥沼化する様相さえ見せようとしている。
仮に今回の事件が民間機と分かった上での撃墜だとするならば、まさしくその行為は『テロ』であり、国際社会の正式な場で断罪されるべきであろう。
犠牲になった多くの命を弔う為にも国際社会が一致協力して、真相究明に全力を傾けて頂きたいものである。