文化は組織構造に従う
「大規模スクラム Large-Scale Scrum」を読んでいたら、「文化は(組織)構造に従う」という文章があった。
なるほど、と思ったのでメモ。
以下、結論のないラフなメモ。
【1】「大規模スクラム Large-Scale Scrum」P.63では、「文化は(組織)構造に従う」をラーマンの組織行動の法則として紹介している。
組織は、中間管理職やマネージャの権力構造を維持するために、暗黙的に最適化されている。
その結果、組織を変えようとする試みは、職種の名称を変更するくらいで現状維持になる。
その結果、組織を変えようとする試みは、マネージャや現状維持しようとする人々から、理想主義者として非難される。
その結果、文化は構造に従う。
つまり、組織の文化を変えようとするのは愚かな試みで常に失敗する、と。
人々の行動(文化)はシステムの産物なので、システム(組織構造・組織階層)を変更すると、人々の行動が変化する、と。
【2】チームの文化、メンバーの行動、組織の文化は、所属する組織の構造の影響下にある。
逆ではない。
構造は文化に従うよりも、文化は組織構造に従う力の方が大きい。
人々の行動はシステムの産物。
システムを変更すると、人々の行動は変化する。
組織の構成要素を変更すると、人々の行動は変化する。
たとえば、ポリシー、役割、組織階層など。
【3】「文化は(組織)構造に従う」考え方は、システム思考と同じ考えだ。
システム思考では、発生する問題、人々の行動を即座に変更できないのは、悪循環を生むシステムが存在していて、その因果関係によって発生しているとみなす。
つまり、原因となる悪循環のシステムを変更するか、壊さない限り、問題は変化しないし、人々の行動は変わらない。
また、「文化は(組織)構造に従う」考え方は、行動経済学と同じ考えだ。
行動経済学では、人はインセンティブの奴隷、とみなす。
人々にインセンティブを付与することで、人々の行動を特定の方向に誘導しようとする。
たとえば、政府の財政政策や給付金、競争を取り締まる政策によって、企業や消費者、市場を特定の方向に誘導し、政策の効果を引き出そうとする。
【4】「大規模スクラム Large-Scale Scrum」はまだ読みかけなのだが、組織論の話が多い点に気づいた。
いかにマネージャを排し、フラットなチームを残してスケールさせるか?
現場で生き生きと活動しているスクラムから、いかに大規模な組織のスクラムにスケールアップするか?
そのためには、既存の組織構造に手を入れて、スクラムというチームの活動(文化)に悪影響を与えないようにする。
つまり、組織構造にスクラムの原理を反映させて、組織そのものをフラットにしてしまう。
この考えや意見は理想主義的なように思えるが、「大規模スクラム Large-Scale Scrum」を読んでいくと、あながちそうでもない気もする。
コロナ時代では、企業も人もいきなり変化する環境に放り出されて、物理的な接触を禁じられて、リモートワークを余儀なくされた。
すると、物理的にもマイクロマネジメントなプロジェクト管理は実施できなくなり、事実上、組織人ではなく、自由な一個人として労働するようになっているし、そうならざるを得ない。
コロナがなくなっても、労働環境も組織も変化してしまったのだから、もう昔のやり方に戻ることはできない。
そういう時代だからこそ、スクラムをチームベースではなく、大規模な組織ベースにスケールさせることには意義がある。
そのために、組織構造に手を加えて、人々の行動を変容させることも必要になってくるのだろう、と思う。
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