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2020/12/05

ツールで定義したプロセスが組織文化を作り出すのではないか、という仮説

「チケット駆動開発がまわりはじめるまでの取り組み」のAdventCalendar記事を読みながら、ツールとプロセスの因果関係や、良い組織文化を生み出すきっかけは何なのか、を改めて考えてみた。
ツールで定義したプロセスが組織文化を作り出すのではないか、という仮説を持っている。
ラフなメモ書き。

【参考】
マインドセットに至るまでの話 - TypeError:

#ssmjp Advent Calendar 2020 - Adventar

タイムテーブル「チケット駆動開発がまわりはじめるまでの取り組み」 | Redmine Japan

【1】僕がすごく興味を惹かれて、同感したのは下記の言葉。

(引用開始)
ゴールの明文化し全体像・規模感を見通し 「誰が」「どこまで」「何を」するのかの明確化しチームで同じゴールを目指して進めていくということに対してチケット駆動開発が非常に強力なツールであることを最後に改めて実感しました。
(引用終了)

困難な状況に直面しているプロジェクトを運営したり支援する立場にいると、技術やプロセス云々ではなく、まず火消しを行って、チーム全員が地に落ちたモラールに火を付けて、プロジェクトのエンジンを回す所から始めるのが必要な時がある。
しかし、火消しはできるが、メンバーのモラールを高めるのは割と難しい。
色んな事情や背景はあるだろうが、何をやっても駄目じゃないのか、みたいな負け犬みたいな雰囲気が出たり、それは私の仕事や責任範囲ではないですから、みたいな縦割り組織の雰囲気があったりする。

それを解決する手法は色々あるし、既に知られているものも多いだろうが、僕は、結局は、ショートカットせずに王道のスタイルを貫くしかないのだ、と思っている。
プロジェクトリーダーはリーダーシップを発揮して、共通目的を掲げてメンバーと共有し、メンバーに権限を委譲し、業務と責任を一致させて、メンバーと目標を共有して、目標を達成するための意欲を引き出す、という王道の方法しかない。

そういう状況において、道具立てとしてRedmineがあって、そういう組織文化を生み出すプロセスとしてチケット駆動開発を当てはめると、メンバーのモラールを向上させる仕組みが整った、という事例ではないか、と思っている。

【2】ツールがプロセスを明確に定義し、プロセスがメンバーのモラールを引き出し、プロジェクトの推進力を加速させる。
たぶん、そういう仕組みを作ることが、プロセス設計であり、プロジェクトリーダーが本来やるべき仕事であるはずだ。

そういう方法を実現する為に、チームビルディングの手法が特にアジャイル開発では数多く生み出されてきているし、参考にもなっている。

ツールでプロセスを透過的に設計して、メンバーにはプロセスを意識させずに運用してもらうが、実はそのプロセス設計にチームビルディングの手法やアジャイル開発のプラクティスを植え付けておけば、自然に、メンバーの自発的な行動を促し、チームはどんどん加速していく。
そういう仕組みを本来は作りたいはず。

スケジュールを厳格に予実管理してメンバーを半ば脅して、進捗遅延の責任を取らせる管理手法がやりたいことではないはずだ。

【3】では、メンバーの貢献意欲やチームの活性化を促すのは、ツールなのか?プロセスなのか?

以前の僕は、Redmineでいかにアジャイル開発というプロセスを実装するか、に興味を持って色々試行錯誤していた。
その結果を振り返ると、結果的にメンバーの自発的行動を促し、チームは活性化するという気付きが得られたが、当初は、Redmineというツールがチケット駆動開発を生み出し、Redmineがチームを活気にさせる仕組みを生み出している、と思っていた。
つまり、ツールがプロセスを生み出し、そこからチーム運営が上手くいく結果が得られたことから、ツールこそが全てだ、と思っていた。

しかし、考え直してみると、アジャイル開発というプロセスが、メンバーに責任感と自律性を促し、チームを活性化させたのではないか、と思う。
アジャイル開発にはプラクティスが豊富で、チームビルディングの手法が様々にあるので、メンバーやチームに自然に影響を与えて、自然に良い行動を促すように仕向けることができる。
すなわち、ツールはプロセスを生み出すが、プロセスの良し悪しがメンバーの貢献意欲やチームの活性化に大きな影響を与えているわけだ。

【4】以前の僕は、官僚化した日本企業がもたらす組織構造によって、Redmineというツールで実装したプロセスがどんどん複雑化する点に興味を持っていた。
「アーキテクチャは組織構造に従う」というコンウェイの法則が、実は、Redmineにも見られる、という点に驚いて、非常に興味深かったからだ。

一方、最近では、メンバーの貢献意欲やチームの活性化を促す組織文化はどうやったら生まれるのか、に興味を持っている。
そもそも、プロジェクトリーダーや中間管理職、経営層にとっては、会社を活性化させる組織文化を作り出す方に大きなインセンティブがあるはずだ。
彼らは、最終的に、戦略に基づいた事業に利益をもたらすための組織文化をいかに作り出すか、に腐心している。

今の仮説は、ツールが定義したプロセスの設計が上手くはまれば、メンバーの貢献意欲や責任感、チームの一体感や使命感を生み出すことは自然にできるはず、というものだ。
では、どんなプロセスで設計すると、メンバーの貢献意欲やチームの一体感を生み出すことができるのか?

この仮説を色々試してみたいと思っている。

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