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2018/09/25

Redmineのチケット駆動開発では、チケットに複数の意味を持たせて運用した方が上手く回る

Redmineのチケット駆動開発の面白さは、最初は課題チケットでしかなかったのに、いつの間にか作業チケットに変わった、というように、チケットにストックとフローの二重性を持たせて、チケットに複数の意味を持たせている点にあると思う。
以下、ラフなメモ書き。

【参考】
Redmineによるチケット駆動開発はストック型プロセスとフロー型プロセスの二面性を持つ: プログラマの思索

ストック型チケットは記憶媒体、フロー型チケットは流通媒体: プログラマの思索

チケット管理システムは作業の構成管理と同じ: プログラマの思索

【1】以前、下記のツイートがあった。
最初はRedmineでチケット管理して上手く回っていたのに、ガントチャートで厳しく管理し始めたら、内容が空っぽのチケットが大量発生して、チケット駆動でなくなった、というアンチパターン。

【1-1】
akipiiさんのツイート: "ガントチャートはもう時代遅れなのかな?RT @kabukawa: Redmineはチケットからガントチャートが自動で作られて便利なんだけど、ガントチャートを目的に導入すると、Excelより入力が面倒で使わなくなるか、設計とか実装ってタイトルの中身が空のチケットか沢山できて、時々脱力する。"

門屋浩文@redmineeva☀️さんのツイート: "個人的には品質状態(中身)が見えないガントチャートは時代遅れだと思いますよ ごまかせるもの… "

あさこ@センチちうさんのツイート: "ガントはあくまでも、参照かなー。 誰がなんのために見るか、使うかを区別しないと手段が目的になってしまう。 時代遅れとかではなく、手段の違いだと思います。 ガントで見ることができるものをちゃんと区別していないと、ごまかしとかが生まれてくる。見るべきものを適切なもので。… https://t.co/aw4zR2QAQw"

門屋浩文@redmineeva☀️さんのツイート: "目的を理解して使ってる人 ほとんど見たことないよ(疲れていてネガティブです) うーん、見たことあるかなあ? 俺はWBS辞書 つまりチケット一覧をソートして見る派なので 期間にかかる工数も成果物の精度も見ないで何がわかるのかわからないから パッとみで安心したって意味ないもの… https://t.co/AAWOZvyaXo"

昌。さんのツイート: "まどさんがネガティブ!いかんですな。確かにぱっと見安心する使い方してる人たちいますけども。 私は最アジャイルさんのLycheeのおかげでRedmaineにおけるスケジュール見える化はプロセスわからない派にも使えるかもと思うことができましたさ。… https://t.co/4uE4LNBrDL"

門屋浩文@redmineeva☀️さんのツイート: "ネガティブ続きですが、、、ガントチャートが問題の早期発見や解決につながってないんじゃないかなと感じてるから時代遅れと言った 把握してる人に責任押し付けたって誰も幸せにならんから ガントチャートのみ見て改善につなげられる凄腕なら別だが 時系列で5つ並べてみたら気が付けるかなあ俺… https://t.co/fPxjDRBRLu"

あさこ@センチちうさんのツイート: "ガントだけだと、早期発見なんてほぼできないよね。その目的で使うならば間違いなく、「それじゃないっすよ」と答えるかなー。 ガントの強みってなんだろうねー。 タスク同士の流れとか、いつまでに何が終わるのか、どのくらい終わってるのかを見るだけのツールとして今は使っているかも。… https://t.co/xSecapQWwY"

昌。さんのツイート: "ガントに限ったことではありませんが、ツールに対してこれダメ!ってなる人は弊社の場合は大体が目的見失ってるかツールに夢見てるひとですかね。あなたが使ったようにしか使えませんよー、ってなる。… "

やっさん🍶さんのツイート: "管理者より担当者視点だと (関連あれば)チケットを前後で関連付けちゃうので、前後の関係とか、並列度とかを見るくらいですね。ガントチャートの利用って。… "

akipiiさんのツイート: "ガントチャートはメーカーの製造工程や発注作業の管理に向いていて、ソフトウェア開発のように、作業が不明確で、担当者がコロコロ変わり、管理単位が1日未満で粒度が小さい場合は向いてない。所詮、ガントチャートはマネージャがプロジェクト管理で使うビューの一つに過ぎないと思う。… https://t.co/wc6TLz0MKc"

【1-2】akipiiさんのツイート: "知りたい。RT @g_maeda: Redmineのガントチャート、実は社内では全く使ってない。ガントチャート機能を使ってる組織ってどのくらいの割合なんだろう。"

あさこ@センチちうさんのツイート: "うちは、お偉いさんたちが、プロジェクトのMilestoneとガントチャート、リスク管理表と合わせて見るということをしてくれています。 Milestoneに対してどうか、間に合うか、作業的にリスクがあるかという観点で使ってますね。 ガントチャート一本で何かを見るということは難しい…… https://t.co/uuNqP8gYWb"

あさこ@センチちうさんのツイート: "多分、そのリソースやスケジュール確認するのも、目的が合って、そこにたどり着くまでの一つのプロセスになってますよね、ガントチャート。 なので、みたい観点もある、って感じですかね?… "

昌。さんのツイート: "です。>みたい観点 個人的にしっかりプロセスてか目的に沿ってチケット運用してる限りタブ切り替えるだけで自分やメンバーのタスクが見える化されてるから便利〜なので、とりあえず朝イチとか進捗確認時に眺めたり確認したりな感じです。… https://t.co/pcMefEEx29"

【1-3】akipiiさんのツイート: "第3回 Lychee Redmineユーザ会 - connpass https://t.co/5O2rOzCMxx 「Redmine + Lychee導入のアンチパターン」の講演は、チケット管理が回っていたのに、Lycheeガントチャートを使いだしたら、空っぽのチケットが増えてチケット駆動でなくなった、というアンチパターンだろうか?笑"

【1-4】akipiiさんのツイート: "読み返したら、当初の目的が忘れられて、手段が目的化してしまった、という症状に思えてきました。チケット管理がうまく回っていたのに、ガントチャートの監視を厳しくしたら、チケットの中身よりチケットの進捗率が重要になって、チケットが忘れ去られた、みたいなイメージ。… https://t.co/u1P1tcsDZB"

りょうまさんのツイート: "そうですね。私はガントチャートは進捗の俯瞰とインデックスだと捉えてるので、その奥に詳細があるのが当たり前だと思い込んでいました。… "

昌。さんのツイート: "ひとは簡単に目的と手段が逆転しがちなので気をつけねばいけませんね。いつも、目的はなんだ?と自分にも問いかけるようにしてます。… "

【1-5】その真因は、本来のチケットは、プロジェクトで発生する変更要求、課題、作業、障害など、プロジェクトで管理すべき対象全てが起票されるはずなのに、進捗管理だけの側面だけ重視されてしまい、チケットの2重性がなくなって、スカスカの空っぽのチケットになってしまった、ということだと思う。

つまり、本来のチケットは、課題の検討履歴、変更要求の作業履歴というストックの側面を持ち、かつ、チケットの納期や作業進捗も合わせて管理できると言うフローの側面も持ち、2重性があったのに、担当者の作業進捗だけ気にするようになってしまい、フローの側面だけ残り、ストックの側面がなくなってしまった、というアンチパターンが発生したわけだ。

【2】以前、ISO9001のQMSの運用の現場を見た時、変更要求や変更管理に関するExcelの作業依頼書と、設計書やリリース手順書などのExcelドキュメントの2種類のExcel帳票が管理されていた。
その運用は非常に煩雑で、最新版のドキュメントが連携されなかったり、リリース漏れが発生したり、非常に手間がかかっていた。
今どき、Excel帳票で管理する現場はありえないと思うが、古い製造業ほど、Excel帳票がはびこっている。

チケット管理システムは作業の構成管理と同じ: プログラマの思索

その原因も上記と同じ。
つまり、ISO9001で実現する時、Redmineでチケット管理せず、Excel帳票で管理する場合、作業依頼書という変更管理に関するフローの側面と、設計書やリリース手順書などの構成管理対象になるストックの側面は、2つのExcel帳票に必ず分かれる。
そして、その2種類のExcel帳票を常に最新化しながら、申請承認フローに沿って厳密に管理せねばならない。

【3】では、なぜ、Excel帳票の運用は必ず失敗するのか?

【3-1】なぜなら、昨今のように経営環境がすぐに大きく変化する場合、Excel帳票で逐一管理する運用は、その変化についていけないからだ。
変更管理の運用と構成管理の運用はシステム開発ではとても重要だが、2種類のExcel帳票で管理するのは煩雑すぎて、現実として運用できないだろう。

結局、Redmineのようなチケット管理ツールで、フローの側面であるワークフロー管理と、構成管理の側面であるソース管理連携機能の双方を実現しなければ、経営環境の変化のスピードにシステム開発そのものが付いていけいないだろう。

例えば、最初は課題チケットで起票したが、課題に対して複数の代替案を出して検討し、一つの解決案を決定した履歴を残す。
さらに、その対策の作業状況も履歴として残し、課題が解決されるまで、チケットに全ての情報が残す。
すると、そのチケットのステータスが変わるたびに、裏では、その時々の意思決定の状況が管理され、マネージャによる承認プロセスを経て、システムに反映されてリリースされていく。

例えば、最初は顧客からの変更要求の仕様変更チケットで起票したが、その変更要求の発端を記録しておく。
また、チームでそのアーキテクチャや実現方法を検討した経緯を記録しておく。
すると、そのチケットのステータスが変わるたびに、裏では、担当者の作業状態が管理され、マネージャや利害関係者の承認プロセスを経て、システムに反映されてリリースされていく。

つまり、当初は課題チケットや変更要求チケットだったのに、チケットが更新されるたびに、作業チケットの意味合いに変わり、チケットが進捗管理対象になる。
さらに、チケットが更新されるたびに、変更管理の承認プロセスの意味も込められて、チケットが変更管理対象にもなる。

すなわち、チケットはストックとフローという2重性の性質が一つの実体として実現されている。
チケット管理では、ストックとフローという2重性の性質を、マネージャやメンバーが深く意識しなくても運用できるような仕組みを提供しているわけだ。

【3-2】本来あるべき姿のチケット管理では、チケットに変更管理や進捗管理というフローの側面と、成果物の構成管理や課題や作業の履歴管理というストックの側面を故意に持たせることで、スムーズに運用させる。

一方、Excel帳票でそれらを管理しようとすると、フローの側面のExcel帳票と、ストックの側面のExcel帳票の2種類に必ず分かれてしまう。
なぜなら、ステータスだけ管理したいExcel帳票と、リリース対象の成果物として厳格に構成管理したいExcel帳票は、管理方法が大きく異なるので、具体的な実体として分けざるを得ないからだ。

すなわち、Redmineのチケット駆動開発は、2種類のExcel帳票の具体的な実体が1つのチケットに合体されている。
そういう背景を、チケット駆動で運用している人は、意識しているだろうか?

【3-3】Redmineでのチケット駆動開発では、メンバーはストックの側面のチケット管理を意識しているが、その背後では、変更に関する申請承認という変更管理、そして、進捗の作業状況の把握という進捗管理、というフローの側面も裏で持たせている。

2種類のExcel帳票で分けて二重管理している運用が、チケット管理では、チケットという1つの実体で管理できるので、非常に運用しやすくなる。

よって、Redmineのチケット駆動開発ではチケットに複数の意味を持たせて運用した方が上手く回る、と僕は思う。

【4】僕の経験上、メンバーはストックの面だけ意識してもらえばよく、フローの側面はそんなに気にしない方が、チケット管理は上手く回ると思う。
もちろん、変更管理や進捗管理は重要だが、その意識が強すぎると、チケットのライフサイクルが長くなり、チケット駆動のメリットが薄れるから。

チケットに対するフローの側面を意識し始めると、ストックの側面を忘れてしまう。
チケットのストックの側面こそが重要なのに、その部分が軽視された運用になってしまうのだ。
ガントチャート重視のチケット駆動開発が、空っぽのチケットを大量発生させるアンチパターンはまさにそれだ。

一方、ストックの側面ばかり強調すると、チケット入力の運用のコストが上がってしまう。
チケットは手軽に起票して、記録して欲しいのに。
誰も更新しなくなるRedmineは、ゴミ箱と同じ。

だから、チケット管理の運用では、フローの側面を強調しすぎると空っぽのチケットが増えて破綻するし、ストックの側面を強調しすぎると、誰もチケットに起票しなくなって破綻する。

チケットの2重性という奇妙な性質を活かすには、そのバランスが重要だ。
フローの側面だけ、ストックの側面だけ、という運用では、チケット駆動のあるべき姿を実現できないし、チケット駆動の効果が得られない。

そのバランスを維持するための運用ノウハウは、実は数多くの現場で暗黙知となっていると思うので、収集してみたいと思っている。

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