第42回IT勉強宴会「話題のRedmineの魅力を知ろう」の感想
第42回IT勉強宴会「話題のRedmineの魅力を知ろう」の感想をメモ。
【参考】
第42回IT勉強宴会 話題のRedmineの魅力を知ろう : ATND
7/17に第42回IT勉強宴会「話題のRedmineの魅力を知ろう」が開かれます: プログラマの思索
Redmineチョット入門 - 話題のRedmineの魅力を知ろう- #benkyoenkai: ソフトウェアさかば
話題のRedmineの魅力を知ろう<第42回IT勉強宴会> | IT勉強宴会blog
【1】昨日の大阪は台風の余波で大雨になり、夜のJR京都線は河川増水で最終列車に乗れなかった人が多かったらしい。
そんな中、第42回IT勉強宴会には参加者がたくさん来て、Redmineブームの凄さを感じた。
参加者の2/3はまだRedmine未経験者だったから、まさにこういう人達に聞いてもらって良かった勉強会だったと思う。
@g_maedaさんの講演は3本立て。
Redmineの利用紹介、Redmineへの貢献、そして、日本におけるRedmineのふりかえり。
【2】Redmineの利用紹介では、Fax受信からのメールによるチケット登録機能の話が面白かった。
ある企業は、取引先からの受注処理が全てFax受信だった(今でもあるのか!)状況に対し、Redmineのメールによるチケット登録機能を使って、Fax受信機からメールでFax内容をPNGで添付して送信し、Redmineチケットで管理する方法が紹介されていた。
今時、受注処理が全てFax受信というのもすごいが、Fax受信機のメール送信機能をうまく流用している。
【3】Redmineへの貢献では、@g_maedaさんの思いが込められていた。
Redmineにコントリビュータとして貢献するのは、自社サービスMyRedmineのサービス向上もあるし、自社の顧客を増やすためでもある。
特に、ja.ymlへの反映は、自社サービスのユーザの使い勝手に影響するので、いち早く対応するようにしている。
しかし、自社のサービスには、日本のRedmineユーザの1%くらいしか来ていないでしょう。
まずは、Redmine利用ユーザを増やせば、パイが広がるから、自社のサービスに来てもらえるユーザも増える、と。
でも、それ以外でも、Redmineにパッチを送るのは楽しい。
Redmineの認知度は低い。
もっとRedmineを広めて、普通の人が知っているようなレベルにしたい。
だから、Redmine.JPの更新やRedmineの情報発信は重要なんですよ、と。
そんな話を聞くと、@g_maedaさんはRedmineのエバンジェリストなんだな、と思う。
【4】日本におけるRedmineのふりかえりも興味深かった。
【4-1】2006年にRedmineが出現した時、Bugzilla、Mantis、Tracなどの先発のBTS・ITSが既に普及していた。
RedmineはTracクローンと呼ばれていた。
但し、Redmineには波があった。
一つは、2005年に、Railsなら10分でWebアプリを作れる動画が公開されていて、JavaやPHPよりもすごい、と注目されていた。
他方、2009年頃からRubyコミッタがRuby自身の開発管理にRedmineを採用して、RubyistならRedmineという雰囲気が出ていた。
【4-2】2007年から@g_maedaさんがRedmineを使い始めた。
使い始めた理由は、勤務先の現場はソフトウェア保守の仕事が多く、Redmineの複数プロジェクト機能がとても便利だったから、と。
その頃から、Redmine.JPで日本語の情報を発信し始めた。
Redmine.JPの月間PVは現在約28万PVくらい。
他に、Redmine.JP.BlogなどのWebサイトを含めれば月間約30万PV以上。
自社宣伝や広告をしなくても、仕事のお話が舞い込んでくるらしい。
2008年に世界初の「入門Redmine」出版。
それから第4版まで出版されて、合計約2万部まで販売された、とのこと。
【4-3】2008年に@akipii(僕)が「Redmineでチケット駆動開発を実践する」という講演をした。
この講演資料の公開によって、日本の企業でもRedmineが使える、ということが分かり、その先駆けになったらしい。
2010年に@sakaba37さんとの共著「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」が出版されたのも後押しになった。
【4-4】2011~2015年にかけて、日経Systemsが断続的にRedmineの特集記事を掲載し始めた。
特に「新三種の神器」の記事が公開された後、Redmine.JPへのWebアクセスが急増したらしい。
「日経」ブランドのおかげで、日本の企業の大半にも、Redmineの名前が浸透し始めた。
調査で分かった!ITの現場「新3種の神器」 - Redmine導入・活用法:課題管理や問い合わせ管理で実践してみよう:ITpro
【4-5】2014年末に「入門Redmine」、2015年には3冊のRedmine本「Redmine実践ガイド 理論と実践、事例で学ぶ新しいプロジェクトマネジメント」「Redmine超入門 増補改訂版 (日経BPムック)」「Jenkins、Chef、Redmine、Dockerで業務効率アップ 10倍速の開発・運用ツール (日経BPムック)」が出版された。
ネットでも書籍でも、日本語で情報がかなりあるので、初心者でもRedmineを導入して運用しやすくなってきた。
【5】Redmineが日本で広く普及した理由としては、たくさんの日本人の貢献や活躍があるから。
Redmineコミッタに@marutosijpさんがいるので、日本語の文字化け対応や2バイトコード対応など、日本人向けの改善に対処してくれる。
また、@marutosijpさんはRedmineのテストコードの実装にすごく熱心で、昨年のコミット数の半分は@marutosijpさん。
テストコードが十分にあるおかげで、RubyやRailsの頻繁なバージョンアップにRedmineは追随できるのだろう。
@naitohさんがRedmineのPDF出力機能で日本語の文字化け対応のパッチを送り続けたおかげで、RedmineのPDF出力機能は日本語の出力は問題がなく、完成度が高い。
@g_maedaさんも、Redmineのバージョンアップ時に日本語化に素早く対応されることで、Redmineの日本語化に大きく貢献されている。
また、@akipii(僕)がRedmineの運用方法などをBlogに書き続けたことも、少しは役に立っているらしい。
他にも無数のたくさんの日本人がRedmineの普及に関わっている。
@g_maedaさんの話を聞くと、Redmineは日本のSIの利用ユーザがやはり多い。
最近は、日本の大企業でも、ソフトウェア開発だけでなく、業務の課題管理やタスク管理にRedmineを導入する事例が多いらしい。
【6】RedmineのGoogleトレンドを見ると、日本では、2010年を境にして、RedmineがTracを逆転して、ITSの利用度合いが広がった。
しかし、全世界を見ると、Tracが圧倒的で、直近ではJiraが急速に普及してTracを少しだけ逆転している。
世界の観点では、チケット管理システムのデファクトスタンダードはRedmineではなくJiraであるらしい。
Redmine - プロジェクト管理ツール調査 - Qiita
GoogleトレンドでRedmineの普及度合いを見ると、日本・韓国・ロシア・アジアなど世界の東半分で利用ユーザが多い。
Redmineは約50言語に対応しているため、非英語圏の人達が自分たちの言語で使えるので、非英語圏で人気が高いようだ、と@g_maedaさんは言われていた。
最近はブラジルでRedmineの利用度が増えているらしい。
改めてRedmineを振り返ると、長い歴史を持っているんだな、と感じた。
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