「チケット駆動開発」の感想を集めてみたpart2
倉貫さんが『チケット駆動開発』のまえがきを公開してくださいました。
推薦文の執筆ありがとうございます。
【元ネタ】
書籍『チケット駆動開発』が出版されました - Social Change!
(引用開始)
チケット駆動開発を実践するようになると、それ以前の開発がどうしていたのか思い出すのも困難になってしまいます。それほどチケット駆動開発は、ソフトウェア開発の現場にフィットするし、プロジェクトの進め方のスタンダードを変えてしまうものなのでしょう。
私が代表を務める会社ソニックガーデンはソフトウェア開発の会社ということもあり、現場のすべての開発をチケット駆動開発で行っています。開発の作業をする際には、必ずチケットにしてから取りかかるルールが出来ています。もしチケットにない作業をしたとしても、仕事をしたとは認められず、仕事の成果は必ずチケットによって表現されるという厳密さです。そうすることで、今誰がどれだけの作業を進めていて、これまでチームでどれだけの仕事をしてきたか、そして、これから先どれくらいのペースで仕事ができるのかを共有することができます。
どんな仕事であっても少しずつ積み重ねていくことでしか大きな仕事は成し遂げられません。チケットという小さな単位にまとめながら、チームで共有して、ひとつひとつのチケットをつぶしていくことで、前に進めることができます。特に、ソフトウェアのような目に見えないモノを作ろうというときには、チケットという形に見える化することは大事です。そして少しずつ進めていけば、途中での軌道修正がしやすくなり、無駄な開発を避けたり、変化にも柔軟に対応することができます。それはまさしくアジャイル開発です。
アジャイル開発の多くの現場では、チケット駆動開発を採用しています。チケット駆動開発と言っていなくても、タスクの見える化をして、壁に張り出して進捗を全員で共有する、そんな風に進めているならば、それは本質的にはチケット駆動開発に近いことを行っています。そこからRedmineやtracのようなツールを導入したとしたら、より効率的にうまくプロジェクトを進めることができるでしょう。逆に、チケット駆動開発のエッセンスを知らずにツールを使うだけでは、うまくいかないことも多いはずです。
チケット駆動開発は、特定のツールに依存したものではありません。しかし、ツールをうまく使うことで、よりプロセスを成長させることが出来ると考えています。本書では、筆者である小川さん阪井さんの経験をもとに、チケット駆動開発のエッセンスから、ツールの使い方の応用まで非常に丁寧に書かれています。プロジェクトをうまく進める改善のヒントを求めるすべての人にお勧めします。
(引用終了)
倉貫さんの会社では「現場のすべての開発をチケット駆動開発で行っています」とのこと。
Pivotal Trackerでチケット管理されているでしょうから「No Ticket, No Release」を運用されているでしょうし、「もしチケットにない作業をしたとしても、仕事をしたとは認められず、仕事の成果は必ずチケットによって表現されるという厳密さです」ということですから、「No Ticket, No Work」も運用されているのでしょう。
おそらく、理想的なチケット駆動開発に近いのではないかと想像します。
また、「アジャイル開発の多くの現場では、チケット駆動開発を採用しています」という言葉は我が意を得たり、という思いです。
ツールであってもアナログであっても、何らかの形で「チケット」という概念は自然に現れていて、それをうまく使うことで作業の管理をしている現場が多いと思ってます。
そのチケットは「タスクカード」や「ストーリーカード」と呼ばれたり、PostItで実現されている所もあるでしょう。
その時に、チケット管理のノウハウは必要で、単にチケット管理を真似ただけでは、本来の効果が出ないでしょう。
「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」「チケット駆動開発」では、チケット管理のプラクティスやアンチパターン、アジャイル開発への適用の注意点を詰め込めんだので、参考になるかと思ってます。
| 固定リンク
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart2~プロセスのレイヤと達成目標のレイヤが異なる(2023.02.18)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart1~CSFはWBSみたいなものと捉える(2023.02.14)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
「Redmine」カテゴリの記事
- 「RedmineのUbuntu+Docker構築への移行」の感想 #redmineT(2024.11.24)
- 第27回redmine.tokyo勉強会の感想 #redmineT(2024.11.10)
- Redmineのバージョン設定でプロジェクトの設定方法が違う(2024.06.23)
- ウクライナのRedmine開発者が作ったRedmineテーマやプラグイン(2024.06.18)
- 第26回redmine.tokyo勉強会の感想~多様性はコミュニティが成功する重要な要因の一つ #redmineT(2024.06.15)
「ソフトウェア工学」カテゴリの記事
- アーキテクチャ設計はベストプラクティスを参照するプロセスに過ぎないのか?~Software Processes are Software, Too(ソフトウェアプロセスもまたソフトウェアである)(2024.09.22)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想(2024.05.06)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- マイクロサービス設計は従来のアーキテクチャ設計と何が違うのか(2024.01.02)
「プロジェクトファシリテーション」カテゴリの記事
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の概念図(2022.01.16)
- 【資料公開】チケット駆動開発の解説~タスク管理からプロセス改善へ #redmine(2022.01.14)
- 昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと(2021.12.31)
- チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像 #Redmine(2021.12.28)
「チケット駆動開発」カテゴリの記事
- 第26回redmine.tokyo勉強会の感想~多様性はコミュニティが成功する重要な要因の一つ #redmineT(2024.06.15)
- チケットはデータでとプロセスの二面性を持つ #redmine(2023.12.24)
- 小説活動にプルリクエスト駆動が必要になってきた(2022.05.08)
- 知識は経験よりも大切か、経験は知識よりも勝るのか、SECIモデルは相互作用を語る(2022.04.26)
- プロジェクト管理の基本はテーラリング、Redmineはプロセスをテーラリングするツール(2022.04.21)
「Agile」カテゴリの記事
- 「世界一流エンジニアの思考法」の感想(2024.12.08)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- 「GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた」の感想(2023.12.10)
コメント