批判を受けながら立ち位置を決める
今朝の朝日新聞にある橋下大阪府知事のインタビューで、ちょっと気になった点があった。
「常に世論の反応を見て、批判を受けながら自分の立ち位置を決めていく。それを学んだのはテレビメディアでしょうね。38歳の人生経験だけで決めるのは無理です」
ちょっと思ったことについて書いてみる。
指導者の立場にある人の役割は変化を起こすこと。
指導者がビジョンを出した時、そのビジョンから議論や批判が起きたならば、周囲に変化が起きた事実を示す。
変化を起こさない指導者は存在意義がない。いなくてもいい。
変化を故意に発生させた時、周囲の批判や議論を受けて、何が真実であるかを見極めて、自分のビジョンを修正する時もある。
自らの人生経験だけで決めるのではなく、周囲の議論から出てきた真実を受け入れて、自分の立ち位置を決めていく。
ソフトウェア開発のプロジェクトリーダーでも同じ。
そのプロジェクトのビジョン、ゴール、ゴールに至るまでのプロセスのイメージは、プロジェクトリーダーなら誰でも持っているだろう。
そのビジョンをメンバーに説明して、納得してもらって、メンバーをゴールへ引き連れていく。
この時、プロジェクトリーダーのビジョン、指示が間違っている時もある。
特に、工数見積の部分だ。
その時は、メンバーに無茶を言っても、実現できる可能性は低い。
メンバーの意見も聞き入れながら、可能な工数を設定して、スケジュール調整することが頻繁にあるだろう。
プロジェクトファシリテーションでは、KPTやふりかえりというプラクティスがある。
これがまさに、プロジェクトのゴールやビジョンについて、メンバーがどんな意見を持っているか、メンバーがどのような反感を持っているか、を探り出す部分。
メンバーの意見をいかにうまく取り入れて、プロジェクトを進めるか?
プロジェクトリーダーの立場なら、ゴールやビジョンは正直変えたくない。
変える部分はゴールに至るまでのプロセス。
行き先は決まっているが、そこに至るまでの道のりは、その時々に合わせればいい。
人生経験が浅くても、正しい手法を持っていれば、リーダーシップを身に付けることができる。
橋下府知事のコメントから、そんなことを感じさせられた。
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