プロジェクトは冒険ゲームだ
すだち師匠が紹介した「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」を読んだ。
ぷよぷよなどを手がけたゲーム開発者によるプロジェクト攻略のノウハウ本。
プロジェクトをRPGで喩えた中身が面白かった。
印象に残った部分をまとめてみる。
【設定】
・冒険=プロジェクト
・勝利条件=目的
・王国=会社
・冒険の地図=プロジェクト計画(プロジェクトマップ)
・7つの秘宝=スケジュールのマイルストーン
【登場人物】
・勇者=あなた
・王様=うえの人
・仲間=メンバー
・パーティ=チーム
【武器】
・アイテム
・キーアイテム
・秘密アイテム
・必殺アイテム
【最強パーティのキーワード】
・自分マトリックス=自己分析シート
・キャラクターシート=メンバー分析シート
・インタビュー
・Yes And
・4つの距離(自分・相手・仲間・世界)
・アイデアミーティング
・ホットミーティング
【冒険のキーワード】
・現在地
・目的地
・生きている問題 or 死んでいる問題
・冒険の合言葉=コンセプトフレーズ
・冒険の書=プロジェクトふりかえり
【1】プロジェクトは冒険ゲームだ
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、 「一番いい冒険(プロジェクト)は勇者(あなた)が楽しい冒険だ」というフレーズから始まる。
プロジェクトは「冒険」、
自分は「勇者」(つまり主人公)、
上司は「王様」、
メンバーは「仲間」、
プロジェクト計画作成を「冒険の地図を書く」、
問題解決を「クリアする」、
プロセス改善を「攻略する」
などのようにRPG風に言い換えると、何故かワクワクしてくる。
敵を倒すためにはどのアイテムがいるのか、目的地に着くためにどのルートに進むか、などのように発想が膨らむ。
面白いRPGは以前に戦った敵とまた戦うチャンスがあるように設定されている。
冒険を進めて、冒険の地図をバージョンアップすることで、勇者の成長を実感できるはず。
冒険で挑戦する時、目の前の問題が生きているのか、死んでいるのか、判断することは大事。
死んでいる問題とは、既に答えが分かっている問題。
生きている問題とは、誰も答えを知らず、自力で見つける問題。
学校の試験は死んでいる問題。
問題の解決方法が見えているなら、死んでいる問題。
冒険は基本的に生きている問題。
プロジェクト(冒険)は生物なのだ。
だからこそ、プロジェクトで発生する問題は生きている問題ばかり。
プログラマなら、生きている問題は分割統治して攻略するのが基本パターンだ。
プロジェクトリーダーは、開発者やお客様から寄せられる問題や課題に対して、分割統治や作業仮説で攻略する。
つまり、メンバー1人が作業できるレベルや範囲まで分割したり、InputとOutputを決めて、間のHowの部分をモデル化してみる。
【2】王様の攻略方法
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」によると、王様(上司)は勇者(自分)にとって、味方だけれど、目的も立場も異なる微妙な人。
冒険の目的は、一つではない。
王様の目的は、金儲けだったり、王国のイメージアップだったり、冒険者の成長だったりする。
勇者の目的は、技術を試したかったり、好きな仲間と冒険したかったり、新しい経験をしたいとかだったりする。
でも、冒険を成功させるという目的は勇者も王様も同じはず。
勇者は、王様の目的を聞き出し、冒険のゴールに入れておく。
勇者と王様のベクトルが合っていれば問題ないのだ。
でも、王様と対立することを恐れない。
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、「退屈をぶっ飛ばせ」というフレーズがある。
本来、王様は王国(会社)を基盤とするから、元々保守的な立場。
勇者は、冒険するのだから、挑戦者。
王様とはそもそも立場も目的も異なるのだから、勇者は自分の勝利を譲ってはいけない。
勇者は、冒険における自分の目的をいつもイメージしなければ、王様の保守的な意見に惑わされて、冒険の目的地を忘れてしまう。
だからこそ、冒険の地図(プロジェクト計画)や自分マトリックス(自分の目的や動機を分析したマインドマップ)を作っておき、バージョンアップしていくのが大切なのだ。
【3】最強パーティへの道~4つの距離(自分・相手・仲間・世界)
勇者は仲間とパーティを組んで、冒険していく。
仲間も、初期設定では能力もパワーも低いのが普通。
冒険していくにつれて、成長して、パワーアップしていく。
冒険が終わって、仲間がダメだと思うようでは勇者失格。
冒険が成功すれば、パーティ全員の手柄。
冒険が失敗したら、勇者の責任。
仲間の気持ちをそこまで持っていけなかったということだから。
冒険を進めていくには、勇者が仲間に伝えることが大事。
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、その時、4つの距離があると言う。
この内容に最も惹かれた。
3-1.自分との距離
自分は理解しているか?
自分がやりたくないことを体を削ってやっている、とかないか?
3-2.相手との距離
仲間各人に伝えること。
1対1のシチュエーション。
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、勇者と仲間の距離感を最も強調している。
勇者が仲間から報告・連絡・相談するシーンを「インタビュー」と言っている。
つまり、勇者は仲間と、相手との距離で話しながらも、「インタビュー」という第三者の客観的視点の雰囲気も交えながら、パーティとの距離感を醸し出す。
勇者のインタビューを受けたという事実は、仲間にとって一つの「キー」となり、勇者との信頼関係をより膨らませてくれる。
3-3.パーティとの距離
仲間全体に伝えること。
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、よくある失敗例として、チームで伝えた内容がメンバーが理解していないことがあげられていた。
つまり、「相手との距離」と「パーティとの距離」を混乱していたこと。
情報の共有、問題に対する認識の共有、ブレインストーミングなどは、パーティとの距離を使うのが効果的。
でも、人の気持ちを変えるとか、意欲を膨らませる方法は、パーティとの距離では馴染まない。
仲間全員に伝える時、勇者の言葉は平均的になり、仲間の心に響かない。
そもそも、それは、相手との距離でやるべきこと。
だから、最初は、パーティとの距離で認識を共有し、仲間一人一人に相手との距離で接して、当事者の雰囲気で伝える。
プロジェクトファシリテーションでも、このテクニックを使っているはず。
3-4.世界との距離
目の前にいない、パーティ以外の人達。
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」では、想像力を強調していた。
例としては、検収後のお客様の要望や課題などだろう。
仲間と緊密になりすぎると、第三者の視点が必要になる。
プロジェクトリーダーはコミュニケーション時に、「相手との距離」「チームとの距離」を心がけると、客観的に分析しやすくなるに違いない。
思い出せば、プログラマがプログラムを書きたいと思う動機は本来、業務用アプリを作るためと言うよりも、ゲームを作りたい気持ちを持つ人が大多数ではないだろうか?
とまあ、「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」のようにプロジェクトを冒険に喩えて、ゲーム感覚でやる発想は楽しい。
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