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2007/05/06

朝会を実践してみて

 朝会をチームでやることになり、下記のHPを参考にした。

朝会のパターン:立ってるだけじゃないよ

プロジェクトファシリテーション実践編:朝会ガイド

 そこで自分なりにアレンジしてみて、下記のルールで朝会をやってみた。

1・話す内容は、昨日やったタスク、今日やるタスク、最後に一言(抱負、連絡事項)の3つだけ。
2・一人が話す持ち時間は3分以内。
3・全員で立ったまま話す。

 そして1ヶ月間、朝会をチームで実践してみて、新しい発見が結構あった。
 その体験から「朝会の目的はそもそも何だろう?」という思いが上がってきた。
 そこで、朝会について再考察してみる。

【1】自らの役割を自覚する~コミットメントの共有

 過去の経験からして、失敗プロジェクトでは各メンバーの役割が曖昧で、誰が何をしているか、今の自分の仕事がプロジェクトのどのプロセスに相当しているか、を開発者だけでなく、リーダー自身も知らないことが多い。
 そんなチームは、無気力の塊のようなメンバーばかりになっている。

 だから、僕は、朝会のそもそもの目的は「1日の初めに各自の仕事と役割を確認すること」だと思っている。
 特に、今日の自分の仕事を皆に告知させることで、自分がその仕事をコミットする、という意識付けを行わせるようにした。

 そうなると、朝会は自然に進捗MTの一つになる。
 僕はそれでいいと思っている。

 又メンバーは、朝会で、他メンバーの仕事やその進捗も意外とよく聞いている。
 チームにいる開発者に、朝会の感想を聞いたら、こんな答えが来た。

「毎朝、同じ実績を報告していたら、自分一人だけが進んでいないように思えて恥ずかしくなる。だから、必ず1日で何らかの実績を残して、少しでも進んでいると発表できるようにしようとしました」

「他の人の話を聞いて、他の人が今何をしてるのか、よく分かるようになりました」

「だから、忙しい人の力になろう、とか、今日は先にこれをやろう、とか思うようになりました」

 朝会は、他の業界では普通にやっている事が多い。
 例えば、高校の先生ならば、朝会で生活指導や行事のスケジュールを再確認している。
 営業マンならば、朝会で、このお客さんには誰がカバーリングするか、とか、横の繋がりが頻繁にある。

 なのに、IT業界は、メンバー同士のコミュニケーションが存在すらしない職場が多く、風通しがすごく悪い。
 隣の人が何をしているか、を全く知らずに仕事する時が多い。
 そうなると、その人だけでなく、チームや部全体、会社全体の雰囲気もどんよりと重くなってしまう。

 朝会のもう一つの隠れた目的は、コミュニケーションの活性化もある。

【2】隠れ作業をなくす~問題やリスクを嗅ぎ取る

 プロジェクトリーダーとしては、朝会でメンバーの現状を知ることも朝会の目的の一つになっている。
 特に気になるのが、割り込みの作業や隠れ作業をしているメンバー。

 本来はプロジェクトリーダーが作ったスケジュール通りにメンバーは仕事をこなせばいいが、実際は、他チームの問い合わせにヘルプ対応したり、お客から突然の問い合わせでトラブル対応して、実績が出せないメンバーがいる。
 そのようなメンバーは、丁度、野球やサッカーのユーティリティプレーヤーのように、システムのクリティカルな部分を知っていたり、開発環境のセットアップや運用に強い人が多く、チームにとっても不可欠な存在な人が多い。
 結果として、そのメンバーの実績が滞ると、チーム全体の進捗もはかどらなくなる。

 だからこそ、プロジェクトリーダーは、その人の負荷を減らすように、他メンバーに作業を分散させたり、他チームやお客と交渉して、割り込みの依頼が来る場合はリーダー経由で連絡させるなどの処置をすることが多い。

 大体、隠れ作業をやっている人がいると、そこから問題が噴き出す。
 何故なら、隠れ作業とは実は、システムで最も難しい部分を開発していたり、色んなモジュールを組み合わせて試さないと開発できない部分だったりするので、早めに対処しないと、制御できなくなってしまう。

 問題やリスクを嗅ぎ取ることも朝会の目的の一つになる。

【3】目標はチームの自己組織化~ハッピーサインアップ

 朝会でチームの風通しは良くなってきているが、本来の理想である「自己組織化」まで至っていない。
 メンバー全員がスケジュールを意識して、各プロセスの役割を把握して、融通し合えること。
 つまり、自ら手を挙げて役割を引き受けて、アウトプットを出すこと。

 こんなアサインをXP(eXtreme programming)では、ハッピーサインアップと言っていた。
 
 理想は、チームの各メンバーがObjectになって、自分自身の役割とHowは知っており、各Object間でメッセージパッシングし合いながら、チームが有機的な構成体になること。
 そもそも人間は部品ではなく、生物(なまもの)。
 本来は人間は皆Objectのはず。

 いつか試したいことは「円陣を組む」こと。
 高校野球でやっているけれど、ああいう青春臭いことをやってみたい。
 円陣を組んで一体感を醸し出し、皆でカバーリングし合えたらいいな、と。
 人間の集団で規律を保つには、ルール以外にも、儀式が必要な気がしている。

 朝会のレベルを上げるために、まだ他の有用なツールがあるように思える。
 色々試してみたい。

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