ますだ製麺:手延うどん
食品売り場をウロチョロするのは実に楽しい。 荷物持ちとして嫁の買い物につき合わされるのは非常に苦痛だ。 時間の概念がおそらくオイと嫁では違うのではなかろうかと思えるほど、長時間、ダラダラと買い物を続ける。
とてもじゃないが、それにイチイチ付き合ってはいられないので「買い物が済んだら電話ちょうだい」と言い残し、単独行動をはじめる。 夏に向けて取り寄せていた、メレルのサンダルの代金を支払い、地下食品売り場に直行する。
エスカレーターで地下に向かうと、食品売り場のにぎやかな光景がよくわかる。 広場では催し物が開催されていて、人が沢山集まっている。 とりあえず、何の目的もなくその人ごみの中へ向かう。 必死の形相で、ここぞとばかりに竹輪の試食を食べまくっているおじさんや、もう少し安くならんのかと、ムキになって交渉しているおばさんがいて、非常に活気がある。 たのしい。
肉売り場の前を通り過ぎながら、どんな肉が売られているのかを横目で見る。 立ち止まってしまうと、買う気満々とみなされ、もしも買わなかった場合、非常に気まずいという話になるので、横目で通り過ぎざまに肉を吟味していたのだが、ちょうど進行方向から、ウインナーの試食を急に差し出されたものだから、立ち止まってしまった。 「いや、けっこうです」とかいいながらも、じっくりと肉を観察することができる好タイミングにめぐり合えたわけだから、すばやく一通りの肉のグラム数と値段の兼ね合いをチェックし、丸腸等臓物系が国産にも関わらずお手ごろ価格だということがわかり「丸腸とシマ腸、それにミノを300gずつ下さい」と、購入に至る。
お買い得の臓物を下げながら冷凍食品売り場へ向かう。 これはオイの用事ではなく、ヨメからの指令である。 今日は冷凍食品が4割引だとかで、買わないテはないのだそうで、とりあえず目につくものがあったら買ってこいとのこと。 特に目につくものはない。 冷凍のお好み焼なんていらない。 しかし4割引だなんて、ずいぶんと引いたものだねなんて驚いていたのだが、あとで嫁に聞いてみると、世の主婦はもはや、4割引程度では揺らがない心を持っているのだとか。 5割引ぐらいでないとインパクトはないのだそうな。 しかしこの話はあくまでも嫁が言うことなので、信憑性に欠ける。 あれ、そういえばアイスも冷凍食品なんだ。 安いな。 とりあえずちっこいチョコアイスと抹茶アイス、それにドデカいリーベンデールを購入し、冷凍食品売り場を離れる。
鮮魚売り場では「生皮鯨100g○○円」なんてのが特売で出されている。 生なんていうのは珍しいぜ、ということで、300g購入。 「何グラムになさいますか?」なんて尋ねられると、つい300gと答えてしまう。 200gではなんだか少ないようだし、400gでは少し多いような気もする。 そこでとっさに300グラムと答えてしまうのだ。 これを300グラムの法則と勝手に名づけて一人で活用することにしよう。
「ポイント5倍~」なんて店員が叫びながら横切る。 別にこの店のポイントカードを持っているわけではないので、5倍だろうが10倍だろうが関係ない。 まったく購買意欲をそそられることはないのだ。 自分が買いたいものだけを買うのだ。 しかしポイントをためておられる方々にとっては、5倍は大きい。 買い物するといつもの5倍ポイントがたまるのだから、いっそのこと買いだめしておこうなんて考えてる主婦も多いのかもしれない。
野菜売り場で本ワサビを吟味していたところ、隣の人とぶつかった。 服装からみてどうやら従業員のようで互いに「すみません」と言い合い、すれ違う。 どこかで読んだが、その店の従業員が買い物をしているお店は、優良なお店の証なのだとか。
酒売り場にも寄ってみようかと思ったが、長くなりそうなのでパスしよか。
おっと、ホントに書きたいのはうどんについてだった。 うどんだウドン。 ウドンとそうめんは食ったことがないものを見つけると、とりあえず買ってみることにしている。 乾麺コーナにズラリ並ぶうどんとそうめんを眺めていると、どこかで聞いたことがあるような名前のうどんがあった。 ますだ製麺である。 しばらく考えてみて、美味しんぼ長崎編に載ってたお店だということを思い出した。 じゃあ今日はとりあえずこのうどんを買ってみようか。
購入したのはますだ製麺の五島手延べうどんであり、パッケージの能書きを見ると、天皇陛下が、五島にいらした際に、供された特別のうどんを再現したものだということらしい。
それをパンフレットに書いてあるように、地獄だきにして食べてみる。 うどんをグラグラ煮えたぎらせて、鍋のまま食卓へ運び、そこから熱々のウドンをすくい、生卵を割り落とした醤油でススル。 コシがありツルツルツヤツヤなのは、五島椿油を使用して作られているからなのかもしれない。 細めだし、ウマいしということで、一瞬でなくなってしまった。