2025-11-01

肛門戦記

9月ごろ書いてたものです。

食事中の人は読まないでください

 

***

 

穏やかな朝だった。

過ごしやすくなって窓を開けて寝たが、途中で暑くなったのか布団は蹴り飛ばされていた。

乱れたベッドから転がり落ち、ケツの違和感に突き動かされるように一直線にトイレに向かう。

私には出勤までに解決しなければならないことがあった。

 

事態に気がついたのは昨夜シャワーを浴びている時。ケツ穴周辺を洗っていたとき、手に何かが触れた。

トイレットペーパーが張り付いたのかと思いそれを少し引っ張ると、肛門の粘膜がググッと伸びる感覚がある。

えっ???

驚いた私は即座に手を離した。

当然アナルプラグなどではない。

ケツ肉に挟まる感覚からうんこの中の繊維状のものがケツから飛び出てる状態であると即座に判断した。

そういえば直近で出たうんこパチンコ玉くらいの大きさと硬さで、一粒落としただけだった。

このまま引っ張ってうんこまで引き摺り出してしまったら厄介だ。

次回排便時に出してしまうのが最善策だろ、と考える。

幸い異物の長さは1センチほどなので、ここで洗っておけばしばらくケツに挟んでいても大丈夫だろうと思い、ケツからヒモが出た状態で布団に入ったのだった。

 

そういうわけで、とにかく出勤までに排便をしなければならなかった。

万年便秘なので5分ほど粘ってようやくぽちゃん、とウサギのフンのようなうんこがやっとだったが、ケツにヒモがないことを確認できたので無事トイレを後にした。

 

通勤電車はいつもよりずいぶん空いており、珍しく席にも座れた。

自分姿勢が悪いためか、左腰がよく痛くなる。

今日特別痛くて、左右に揺れたり体を捻ったりして痛みに耐えていた。

会社についてから違和感は続き、デスクで一人うねうねしてキモかったと思う。

 

ずっと違和感はあったのに、愚かな私はケツ穴が「バリッ」と断末魔をあげて燃え上がるまで気が付かなかった。

午後2時過ぎ、突然のケツの焼けつくような痛みでやっと事態を把握した。

冷や汗をかきながら慌てて立ち上がり、同僚の視線無視してトイレに駆け込む。

乱暴に個室のドアを閉め、便座に座り、爪先立ちで膝を抱え込む。ついでにパンツ確認する。「バリッ」の音でうんこ漏らしを覚悟したが、何も付いていない。幸いにも屁だったようだ。(なぜあんな痛かったのかはわからないが)

腰の違和感だと思ってたのは、大腸悲鳴だった。一度便座に座ると動けないほど腹が痛いことに気がついた。

2週間もうんこが出てない状態を「いつものことだから」と放置したツケが回ってきたのだ。

改めて大腸を触ってみると、おしゃれOLが持ってる細い水筒みたいなものを感じる。これは全てうんこだったんだ。

痛みで悶えながら、同僚たちの顔を思い浮かべる。まだ業務時間内だ。体調不良を訴えたいがスマホも机にあるし外への連絡手段はない。

脱出するためには、うんこを出すしかない。幸いにもトイレには私しかいない。今のうちしかない。

私は腹を括り、持てるすべての力を腹筋に注いだ。

 

5分は経っただろうか。

冷えた便座に太もも押し付けてるせいで血流が止まり、膝は紫に変色していた。

肛門は相変わらず焼け付くように痛い。

爪先立ちでの踏ん張りで足は痺れて痛い。

腹筋は乳酸が溜まって初期ほどの力が出ない。

気張りすぎて頭に血が昇ってふらふらする

そういえば呼吸もしてない。

額の血管が切れそうだ。

しかしこんなに必死に気張っているというのに、大腸には驚くほど何の動きもなかった。

 普段の気張りが軽自動車を押す感覚だとするなら、今は透明な壁に阻まれて押すことすらできてないようだった。そのくせ、いつ漏らしてもおかしくない切迫感だけはあるし、相変わらず腹と肛門の痛みは耐えられるものではない。

人が来るかもしれない恐怖もあった。

どのくらいその状態が続いただろう。体感では1時間のような気もしたし、全てが終わった今では一瞬だった気もする。

突然、するする すぽん と。

鋼鉄のように硬く、拍子抜けするほど小さなうんちが、転がり落ちドバドバドバブビブビビビビビビチャブrrrrrrryyyyィィィィィィィィ!!!!ビチチチチチッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!ドバァッ!!!ブリブリィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ブリブリブリッ

ビチャッ ビチャッ

 

ピチャ…ピチャ…

 

ポタ ポタ

 

 

あの時、燃えアナルと痺れた足先を見ながら放心していた私を包むあの感覚はなんだったんだろう。

安堵?それとも、内臓を失ったような喪失感

 

掃除用具入れを開けて飛び散った水滴を殺菌して、少しでもうんこ臭を消すためにリセッシュ自身にもトイレにも振り撒き、手を3回洗った。

そうして私は、今も生きている。

 

焼けた尻穴に当たる冷たいビデ水の心地よさを生涯忘れることはないだろう。

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