政府は「出産・育児の支援」ばかり強化しているけれど、本当に問題なのはそこではないと思う。
日本では、そもそも「恋愛・結婚の前段階」に進めない人が圧倒的に増えている。
国立社会保障・人口問題研究所の調査でも、50歳時点で未婚の人は男性で3割、女性で2割近い。
つまり、子育て以前に「出会い」「関係形成」の段階で詰まっている。
それでも政府の対策は、ほぼすべて「育てやすくする」方向に偏っている。
これは、原因と結果を取り違えているとしか思えない。
出生率が下がったのは「育てにくいから」ではなく、「そもそも結婚に至らないから」だ。
「恋愛は個人の自由」「国家が口を出すことではない」という価値観が強いし、
#MeToo 以降は「アプローチ=ハラスメント」と見なされる空気もある。
だから、「炎上しにくく、数字で成果が出しやすい政策=子育て支援」ばかりが進む。
保育所の整備率や児童手当の支給件数はKPI(成果指標)にできるけれど、
その結果、政策の重心がどんどん後ろ(出産後)にずれてしまった。
アプローチが“怖くない”文化づくり(過度なハラスメント恐怖の是正)
現実には“恋愛の機会が均等に存在しない社会”こそ不健全だと思う。
少子化の根は、経済や制度の問題だけではなく、関係を築く力と環境の欠如にある。
恋愛や結婚を「恥ずかしいこと」「リスクのあること」にしてしまった社会を、どうやって立て直すか。
本当に問われているのはそこだと思う。