長い人生において、人はだれでも平等に幸せ半分、不幸せ半分を経験するといいます。
しかし、日本では国民の5人に1人が一生の間に心の病気にかかるといわれる時代になりました。
現在は、国民の11人に1人が心の病気を患っているといわれ、
うつ病の患者数はここ10年で2倍にもなりました。
さらに、過去10年以上、毎年3万人以上の人が自殺によって命を落としていて、
この内の75%が心の病気を患っていた人であるといわれています。
もはや、心の健康の問題は私たちにとって極々身近な問題になってきています。
そして心の病気を患っている人は、日々辛い辛い思いをしながら苦しんで生活しているのです。
加えて、心の病気は外見上では判かりにくいために、症状についての周囲の理解を得るのが難しい
ことが多いという問題があり、
その結果、対人関係において様々な誤解や支障が発生したりします。
このような心の病気にはいろんな種類があります。代表的なものをあげるとうつ病、統合失調症、
パニック障害、発達障害、性同一性障害、強迫性障害などです。
うつ病には人口の7~10%の人がかかるといわれており、気持ちが落ち込む、やる気が起きない、
集中力が低下する、夜眠れない、食欲がない、頭痛や吐き気がする、自分を責める気持ちが強まる、
死にたいと思ってしまう等の症状に苦しみます。
一方、統合失調症には人口の約1%の人がかかるといわれています。
患者さんは、実際には無いものが聞こえたり見えたりする(幻覚)、事実ではないものを確信してしまい、
修正できない(妄想)、これらの症状に関連してとても不安になったり、興奮して暴力を振るって
しまったり、人とのコミュニケーションがうまくとれなくなったり、うつ病と同じようにやる気が起きなく
なったり、気持ちが落ち込んだり、夜眠れなくなったりします。
またパニック障害は人口の2~3%の人がかかる病気です。
この病気では、脳の中枢の不調と不安な気持ちとの悪循環によって動悸や息苦しさが主な症状として
現れ、時に発作につながると、このまま死んでしまうのではないかという恐怖心におびえると共に、
このような発作がまた起きるのではないかという不安に曝されるため、日常の行動が制限されることに
なったりします。
発達障害は、先天的なさまざまな要因によって主に乳幼児期に現れ始める脳機能の発達に関係する
障害で、人とのコミュニケーションが困難になって、生活に支障をきたす病気です。
性同一性障害は、自らの性別に違和感や嫌悪感を持ち、生活上のあらゆる状況において、その
性別で扱われることに精神的な苦痛を受ける病気で、自己の意識に近づけるために手術によって
性転換を行う場合があります。
強迫性障害は、手の汚れが気になり、手や体を何回も何回も洗わないと気が済まない(不潔強迫)、
外出の際に家の鍵やガスの元栓を閉めたか気になり、何度も戻ってきて確認する(確認行為)、
車の運転をしていて、気が付かないうちに人を轢いてしまったのではないかと不安になる(加害強迫)、
などの症状があります。
では、心の病気といわれるこのような精神障害を患っている人達に対して私達はどのように接すれば
良いのでしょうか。
最も大切なことは、精神障害は「気持ちの持ちようでなんとでもなる」というような精神論的なこと
ではなく、あくまでも「心の病気である」と理解して接するようにすることです。
(1)障害者も健常者も同じ人間であることを忘れずに。
障害者は好きで障害者になったわけではないのだから。
(2)傾聴し、共感する(必ずしも同意ではない)ことによって、相手を安心させる。
相手を受け入れ、歩み寄り、相手が何を思っているのかに意識を向け、家族は味方であるという
メッセージを送り続ける。
自分の考えを押し付けない。自分の考えは最後にいう。
(3)相手の今を認め、良いところを見つけてほめる。
相手は怠けているのではない。励ましは逆効果。
焦らずに静養させながら、回復の希望を持って接する。
(4)暴言を吐かれても穏やかに対応して鎮静化するのを待つ。
(5)「死にたい」という言葉がでたときは、絶対に自殺しないという約束を交わすようにする。
毎日がへとへと状態で生きているのだから、生きているだけで立派。
などなど(T)