懐古
今日、『サンデープロジェクト』を観たら、いじめや自殺について議論していて(途中から観ました)、教育再生会議の、義家弘介氏と海老名香葉子氏が出演されていました。
で、観ていて、海老名氏の発言が、余りにも、主観的価値観の一般化に思えたので、ちょっと拾ってみます。※司会の田原総一郎氏とのやり取りですが、海老名氏の発言のみを起こします。なるべく正確を心掛けましたが、聞き取りにくかった所等、細かい部分は、補いました。又、途中の細かいやり取りを省いている箇所もあります。
『簡単に死を選んでしまう。そういうような子に育ててしまうっていうのは、やっぱり親に責任があると少しは思います。』
『あのー、いじめられただけで死んだ子ばかりじゃないと思うんです。もう、世の中どうでもいいよ、っていうような感じで死んでいく子もいるだろうと思うんです。それを、いじめられたからという責任にして死んでしまう。あのー、余りにも、命の尊厳さを無くしてしまっております。簡単に死んでしまう。』
『面白くも何とも無くなった。明日の希望も無くなった。明日食べるの、何食べてもいいや、そいじゃあ、死んじゃおっかな、っていう、簡単に死んでしまう様な事を、聞きました。』
(上の発言の後、田原氏の、それを無くすにはどうすれば良いか、という問いかけを受けて)『はい、親です。親がきちんと小さい時から育てなかったからいけないんです。その親を…(田原氏「きちんと育てるにはどうすれば良いんですか?」)いやもう…あのう、生まれた時からもっと、きちっと抱いて、それで子守唄を歌って。幼児言葉を無くしてしまった、っていう事も第一違ってます。「おいちいね。おいちいおいちい。」とか、「たっちした。ああ、良かった良かった。」っていう事、全部無くしてしまいました。(田原氏「悪いのは親だ、と。」)そうです。』
――――――――――――――――
『そういう姑息なね(註:「姑息」とは、メールで「死ね」等と送り付けるいじめに対して)、やり方をする子どもに育ててしまった、っていう事。そこまで、いってしまったっていう事が、親の責任です。』
『昔はねえ、子どもの中でも、ガキ大将がいました。そいで、ちゃんと、差配(しっかり聞き取れず)しました。そいで楽しく遊ばせました。それから、社会もそうですけども、こう、そういう、陰湿な事はしなかったんですよ。チャンバラしたって、正義の味方は勝つ。悪い奴は負ける。そういう、あのう、教え方で、遊んでました(「遊べてました」かも。聞き取れず)。』
(田原氏の、今は変わってしまったが、どうすれば良い? との問いかけに)『ですから、元へ戻さなくちゃいけない。親の教育です。親がもっと、もう一度、子育てについて、研究しなくちゃいけないと思います。』
――――――――――――――――
『これだけ話題にしたら、この所、減ったじゃありませんか(註:自殺について)、これだけ。この一週間程で、大分、新聞出てないじゃありませんか。ですから、やっぱり、うんと話題にした方が良いと思いました。』
こういう意見は、子を育てた経験のある母親として持論を披露する、という事であれば、構わないと思うのです(同意は出来ませんが)。しかし、内閣によって設置された委員会の一員の発言としては、些か、思い込みが過ぎるものである、と感じました。特に、最後に引用した部分。これは、不用意な発言でしょう。話題にした、報道をしたから減った、等とは言えませんし、ここ数日の話からそう決断するのも、早計です。そもそも、報道されたから目立つようになった、と考える事も出来る訳で、「減った」、と言えるのでしょうか。
個人的な意見として、「自殺をする人は、命の大切さが解っていない」というのは、おかしいと思っています。正直、とても乱暴な主張だと考えています。
| 固定リンク
「メディア論」カテゴリの記事
- 茂木健一郎氏の世論調査観(2011.09.23)
- よく出てくる(2009.04.22)
- 暴挙(2009.04.11)
- ねじれている可能性(2009.03.21)
- 1割?(2009.03.18)
「社会論」カテゴリの記事
- メタスパイラル(2011.12.14)
- すさまじい(2011.12.09)
- ひとまずまとめ――患者調査において、「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない」事について(2011.12.06)
- 資料――患者調査において、「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない」事について(2011.12.03)
- 歪んだ正当化(2011.12.01)
「いじめ」カテゴリの記事
- お笑いとバーチャル(2006.12.28)
- 懐古(2006.12.03)
- よく解らない(2006.11.29)
- バーチャルとかいじめとか(2006.11.25)
- いじめ対策とか(2006.11.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
これとか凄いなあ…⇒http://www.asahi.com/edu/news/TKY200611290420.html
(asahi.com: 教育再生会議「心の成長」策提唱 「30人31脚」など - 教育)
投稿: TAKESAN | 2006年12月 3日 (日) 18:26
どうでもいいですが。
30人31脚って、最初の2・3回は、面白いと思って観ていたのですが、どんどん、感動を演出したり、先生が無闇に熱くなってきたりして、何か、白けてしまいました。
投稿: TAKESAN | 2006年12月 3日 (日) 18:35
自分などは上記30人31脚のような、(1)大人数が(2)先生・学校のお題目で(3)物理的にひとかたまりにさせられる状況こそイジメの温床になりやすいのでは、と危惧します。外れた者への吊し上げとか小中学校でもひどいもんですし。
投稿: ft | 2006年12月 4日 (月) 00:36
ftさん、今日は。
私も、仰る様な事を危惧します。
こういうのは、元々連帯感の強い集団が自発的に取り組むのなら、まだ構わないと思いますが、競技を行う事によって連帯感とか思いやりが育まれる、というのは、素朴だと考えています。
>外れた者への吊し上げとか小中学校で
>もひどいもんですし。
意外と、こういう所が理解されていないのかも知れません。本当に、ひどいですものね。それを知っていれば、余り安易な考えは出来ませんね。
投稿: TAKESAN | 2006年12月 4日 (月) 12:11
こんばんは
教育に関しては、だれもが経験がありますね。学校へ行った経験、親なら子育てした経験。実は、これが曲者と思っています。
経験があるということと、プロであるということは、別ですよね。自分のせまい経験で語ることが非常に危険な場合があります。誰もが語れる反面、安易になりがちということもあります。
例えば、自殺には必ずサインがある、なんて誰もが言いますが、それを見逃した親はどうすればよいのでしょう。その発言は、実は親を責めていることにもなります。
そういうこともあるので、慎重に語るべきだと思います。
30人31脚も、何のためにやるのでしょうか。その目的が、変なところに行っているようです。成功体験をするために、連帯感を培うために、と野球やサッカーをする人はいないでしょう。そんなものは、団体競技に付随してくるものでしょう。
感動させるために100キロのマラソンをするようなTV番組と同列だと思います。
投稿: ドラゴン | 2006年12月 4日 (月) 18:54
たびたびすみません。
これも大問題です。
>子どもに悪影響を与える番組を通報する窓口組織の新設も求めている。
いつも、こんなのが出てきますね。
最初に国会中継を通報しましょうか。
投稿: ドラゴン | 2006年12月 4日 (月) 18:58
ドラゴンさん、今晩は。
>経験があるということと、プロである
>ということは、別ですよね。自分のせ
>まい経験で語ることが非常に危険な場
>合があります。
これは、とても重要な点だと思います。プロでない「教育の名人」的な人が、経験を元にして持論を展開する事がありますが、余り安易に一般化するのは、宜しくないですね。又、そういう人は、自分の方法なりに強い自信を持っている場合があるので、それも厄介な所です。テレビ等で紹介される事がありますが、困ったものです。
それと、結構、「専門家(学者)嫌い」という認識が、一般にはあるのかも知れませんね。
>実は親を責めていることにもなります。
そう思います。個別に見ずに、「親が悪い」と決め付けるのは、危険だと考えます。
>30人31脚
一体、誰が提案したのでしょうね…。「こうしたらこうなった」を、「こうすればこうなる」と、安易に判断しているのでしょう。結果的に得られたものを目的としてしまうと、ロクな事にならないと思います。
>感動させるために100キロのマラソ
>ンをするようなTV番組
私も、この番組は、ちょっと…、です。
>子どもに悪影響を与える番組を通報す
>る窓口
誰が判断するのでしょうね。「通報」って、何か、凄い響きです。
>最初に国会中継を通報
話を聞いていなかったり、居眠りする議員がいて、悪い見本を示すので、悪影響を与えますね(笑)
投稿: TAKESAN | 2006年12月 4日 (月) 20:13