【力久修の呟き日記(2022.04.29)】
【力久修の呟き日記(2022.04.29)】
5月1日・8日合併号赤旗日曜版に掲載された木村草太東京都立大学教授(憲法学)のインタビュー記事から一部を紹介します。
ロシアの行為は国際法違反の侵略であることが明白と指摘したうえで、自民党の9条への自衛隊明記論や「敵基地攻撃能力の保有」「核共有」の議論について次のように説明されています。
「集団的自衛権の行使容認を認めたとされる2014年の閣議決定と15年の安保法制で、自衛隊の武力行使の範囲が変わった可能性があります。政府は、日本が攻められていなくても、『存立危機事態』だと認定すれば、集団的自衛権を根拠に武力を行使できると説明しています。
『敵基地攻撃能力の保有』の議論も、安保法制の前と後では意味が変わった可能性があります。日本が攻められていなくても敵基地を攻撃できるとなりかねない。
『自衛隊を憲法に書き込むだけだ』という説明は欺瞞(ぎまん)を含んでいます。政府と自民党の立場は専守防衛前提ではなく、『集団的自衛権の行使容認』前提の自衛隊です。自民党は集団的自衛権を明確に憲法に書きたいと説明すべきです。」
と、指摘されています。そして、
「そもそも軍を持つ国の憲法には、軍の指揮権などについての規定があり、軍をコントロールしています。しかし日本国憲法には軍事に関わる権限はどこにも書いていません。これは偶然ではなく、主権者国民が、9条で軍を不保持とし、内閣や国会に軍事活動をおこなう権限を付与しなかった帰結です。
9条は第2次世界大戦への反省の表明です。それを変えるなら十分に反省が浸透したということを内外で認めてもらわないといけない。
しかし9条改憲派の一部は、『慰安婦』問題や南京大虐殺について、問題を小さくする方向で議論をしてきたのではないか。自ら改憲のための土壌を掘り崩しているのではないでしょうか。」
「ウクライナ侵攻を受けて、『核共有』に注目が集まりましたが、日本に核兵器を配備しても、核使用の最終決定はアメリカ大統領です。配備された核は攻撃目標や侵略の口実になるし、地域の緊張を高めます。また、日本は核不拡散条約加盟国なので『核保有』はできません。条約を破れば、唯一の戦争被爆国という立場を自らおとしめることになるだけです。」
と、結ばれています。ご一読されることをお勧めします。