性教育バッシング①七生養護学校「ここから裁判」勝訴確定
2013年11月28日、最高裁第1小法廷は、都立七生養護学校で行われていた性教育(こころとからだの学習)に、都教委、都議3人、産経新聞社が介入した事件に対し、上告を棄却するとの決定をしました。これで、2005年に提訴された裁判も、原告の勝訴が確定しました。
提訴した先生方や保護者の方々、本当にお疲れさまでした。長い長い闘いでしたね。
この結果に、かげながら拍手をした人たちも多かったことでしょう。それは、性教育バッシングの嵐に必死で対抗してきた、多くの性教育にかかわって来た人たち共通の思いでもあったことでしょう。
都立七生養護学校は、日野市にある小・中・高等部を持つ知的障がい児の学校です。生徒の半数は、隣接する七生福祉園から通ってきます。生徒の中には親の顔を知らない、幼児期から虐待を受けてきたなどの子も多く、また集団生活ということで、性的な行動に発展してしまうことも多くありました。 障がいを持つ人にたいしての性教育は、その必要性が認められているにもかかわらず、なかなか実践されません。難しいと足踏みする状態が続いていました。このような事態をなんとか打開したいとはじまったのが、「こころとからだの学習」でした。
その学習は、教師や保護者も共に、丁寧に子どもたちと向き合いながら、実践されたことです。そのために、多くの教材が集められ、また、手作りされました。
ある日、突然に都議が産経新聞社の記者を伴い学校に乗り込んで来て、多くの教材が没収されました。
そして、都教委は校長を平の教師に格下げし、多くの教師を処分し、他校に転校させました。まさに戦前の大弾圧ともいえる状況が展開されたのです。
それまで校長会などで大絶賛されていた「からだうた」の禁止、「家族人形」の使用禁止、性教育の禁止、これらは他校にも及びました。
「からだうた」は、知的障がいのある子どもたちに、身体のつながりや名称を意識させたい歌遊びです。都議会では、この歌が「とても人前で読むことがはばかられるもので・・・きわめて不適切な教材でございます」と当時の教育長は答弁しました。
そのからだうたはつぎのようなものです。
「あたま、あたま、あたまのしたには首があって肩がある、肩から腕、ひじ、また腕、手首があって手があるよ(右と左をくり返す)胸にオッパイ、おなかにおへそ、おなかの下がワギナ・ペニスだよ、背中はみえない、背中はひろい、腰があって、お尻だよ、ふともも、ひざ、すね、足首、かかと、足のうら、つまさき(右と左をくり返す)おしまい」
この歌詞に、子どもたちにとって受け入れやすいメロディと、子どもたちの感覚に合わせたリズムを大切にして作られました。
知的障がいの重い子どもたちに「からだ」を教えるこの歌が、なぜわいせつとされたのでしょう。
次回、まるでアダルトショップのようとされた「家族人形」についても述べます。
なお、このシリーズは、
2003年12月に緊急出版されたこの本から多くを引用して書きます。この本は、編著「浅井春夫・北村邦夫・橋本紀子・村瀬幸浩」、この4人の方も含めて、計22人(私も一部書いています)の人が分担して書いています。今も続く性教育バッシングがよく分かる本です。
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コメント
長くなりそうなので二回に分けて投稿しましたが、K都議は、七生養護学校事件をふくめて考えるとは一面的には本当に仕事に熱心な方ですが、イデオロギーを押し付けやすい方だとおもうのでかなり地元では支持する支持しないが本当にわかれてしまいます。教育に政治的なイデオロギーはあまり押し付けないほうが良いのはあたりまえです。ただ、本当にかわいそうなのは七生養護学校でおきた事件の被害女子生徒の人権がないことです。七生養護学校の女子生徒の数名はバス通学してる方がいて通学してくる間は目にもつきやすく性的被害もあるのではと感じてきました。また、知的障害者の女子生徒は声をあげにくいしそのような教育は行ってないのかもしれない、だからこそもっと地元民がなにか力になれないかと感じてきました。日野市は色々かわってる政治家がいますが皆さんそれなりに熱心ですが、K都議は正直色々やりすぎだとおもうので是正していただけたらと感じます。
投稿: 愛ちゃん | 2014年1月 3日 (金) 14時52分
さて、この判決を受けて産経新聞がどう報じるかですね。
右と左とを問わず、マスコミ側は敗訴しても決して自己の誤りを認めようとはしないですから。
ただ、重要なのは都教委や都議、産経新聞だけではなく、それを支持した又は黙認した多くの都民の意識にあるのではないでしょうか?
投稿: めかちゅーん | 2014年1月 3日 (金) 15時24分
政治家にマスコミが都合良く使われているってことですよね。
ペンは、権力やお金に弱いってことですね。
原発・TPP・秘密法等々、いつもことですが。
偏見より法が正しく機能して良かったですね。
投稿: やんじ | 2014年1月 3日 (金) 19時24分
障害がある方のために分かりやすく正しく教える方法論を,健常者がわいせつな先入観で見ているだけという気がします。
投稿: もみじ日記 | 2014年1月 4日 (土) 00時03分