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高校生の妊娠、出産

今日、うれしい患者さんの来院がありました。22年ぶりの来院です。

初めて来院されたときは高校生でした。妊娠していて、周囲の反対を押し切って、なんとしても生むと。わたしの所で、高校はやめて出産するといいました。わたしは、カルテに「やめるな!」と書いています。わたしがやめるなと言って、彼女は思い直して。その後も通学しながら私のところに妊婦健診に通っています。そして、三月に無事卒業。今回彼女と話していて、学校は「多分気づいていたと思う。でも、何にも言われないままに卒業したよ。」知らんぷりしてくれていたようです。そして、5月に無事出産。

相手の男とは結婚したけれど、暴力男、DVで、時間がかかったけれど離婚。その頃のゴタゴタについても、私もカルテに記載しています。

 今、子どもはどうした?と聞くと、無事大学も卒業して就職して、社会人をしていると。

大学にも行かせたの?よく頑張ったねえ!!と言うと、彼女は「先生のおかげ」といいます。そんなことはないわ。あなたが頑張って育てたからよ。

それであなたは今どうしているの?と聞くと、なんと。彼女は、その後専門学校に行き、准看護師になり、働きながら通信教育を受けて、正看護師になって、いま大きな病院で働いていると。それも初耳です。ええっ?あなたナースになったの。そうなん。ますますすごいねえ。よく頑張ったねえ。私は本当にうれしかったのです。彼女が行った高校が、知らんぷりしてくれたから、そして、彼女が血のにじむような苦労をしながら頑張ったから。今の彼女とその子がいます。

 実は、この前にも少しここに書きましたが、私が「さらば悲しみの性」を出版した後、NHKが病院に三か月間張り付いて、1986年「少女たちの産婦人科診察室」というNHK特集を放送しました。先日、39年ぶりにその番組を観ました。その中で、私が高校の先生たちとしゃべっています。

「私だって、生徒のことで、先生たちと手を組みたいと思うことはあります。でも、もし彼女が人工中絶をしたということがばれると、首を切られます。私は、全力で彼女たちを守らないといけません」と、淡々と話しています。そのころは、中絶したことがばれただけで、高校は退学でした。さすがに今はそうではありませんが、出産はまずだめですね。今でも。

先日来大人の方たちに話している中に、こんなスライドがあります。

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一人ぼっちであの痛い陣痛を耐え、一人ぼっちで赤ちゃんを産んで、その子を殺め、女性だけが罪に問われる事件が後を絶ちません。これは政治の責任と思います。

 今日久しぶりに来院した彼女は私に明るい灯を灯してくれました。何十年たってもちっとも変わらない性教育の世界。若い人たちか胸を張って出産できるときが来ないものなのでしょうか。

 

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