認定NPO制度の危機
民主党政権の数少ない功績の一つ、「新しい公共」的な考え方に基づき認定されたNPO法人への寄付が税制上優遇されるという制度が危機に瀕している。
首相の諮問機関である政府税制調査会は今年四月、法人実効税率引き下げの代替財源として、特定業界や企業を対象にした特別な税の優遇措置(租税特別措置)を「ゼロベースで見直す」ことで一致。検討対象に認定NPO法人も入った。昨年末に自民、公明両党がまとめた一四年度税制改正大綱でも、寄付への税控除の見直しが盛り込まれた。
複雑怪奇な租税特別措置を見直すのはいいとして、全く何の理念もなくそれをするというのは暴挙というしかない。
民主党的な臭いのする「新しい公共」が憎いのかもしれないが、NPO法人に対する寄付の税制上の優遇は、NPO法人制度ができた時からの宿題であり、私人による非営利活動を豊富にする社会つくりに欠かせないものとして、ようやく実現したのである。その時は自民と公明も賛成に回った。
何よりも、日本社会は寄付文化がないとして散々嘆かれてきたはずで、国や自治体が政策として行う事柄への税金としての負担を、民間が自主的に行う公益的な活動に振り向ける、そのための寄付文化の後押しだった。ここでやめてしまえば、寄付文化の醸成という方針や、私人・民間の自主的な活動による公益の実現という理念も放棄することにつながる。
認定NPO法人の活動に対する寄付を拡大するための施策は、より増強することこそ必要で、削減するなどもってのほかと思う。
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