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2024/08/09

民事判決情報データベース化検討会報告書が公表された

法務省の民事判決情報データベース化検討会は、2022年10月以来、約2年間の検討結果をまとめた報告書を公表した。(検討会のページ

この検討会と、それ以前に2020年3月から日弁連法務研究財団が行ってきたプロジェクトチームの議論にも加わってきた私としては、ようやく一つまとまってホッとするとともに、これからの法制化の行方と現実化の行く末をドキドキしながら見守ることになる。

さて、この報告書の内容であるが、民事判決情報データベース化というのは、要するに2025年か26年から始まる民事訴訟のIT化の結果として判決書がすべて電子判決書となることから、この判決データを全て、特定の民間機関に渡し、そこで仮名化処理をした上で、判決データの利用者に有償で提供するというものである。

20240809-161727 従来は、各裁判所が公開に値すると判断した判決書を、一方では裁判所WEBに自ら仮名化処理をして掲載するとともに、紙媒体の判決書を判例集出版社やデータベース会社に回覧し、その各社が掲載を決定した判決を各社において仮名化処理をした上で、判例集出版社は解説やコメントを付して雑誌に掲載し、データベース会社は若干の参考情報を付加した上でデータベースに登載していた。

我々一般利用者は、裁判所WEBの情報を見るか、紙媒体判例集を見るか、はたまた契約しているデータベースを見るかによって、裁判例にアクセスすることができた。ただし、その数は全裁判例のごく一部にとどまり、年間1万件から2万件程度しか公開されない。令和4年の全終局判決22万件のうちの5%から10%程度である。

今後、この報告書の提案が実現すると、毎年20万から30万件の「民事判決」が全て、一つの民間機関の下で仮名化処理され、その利用者に有償提供されることになる。

この「全て」という部分と、一元的に仮名化するという2点が、この報告書提案のポイントである。

 

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2024/08/05

国立西洋美術館-内藤コレクションで教会法大全の写本を見る

猛暑の8月4日、上野の国立西洋美術館に行って内藤コレクションを見てきた。

医学部の先生が個人の趣味として集めた写本が、国立西洋美術館で何度も企画展を行えるほどの質・量になっていることにまず驚き。

その中で、教会法大全 Corpus Iuris Canoniciの写本の何枚かが含まれていたのが最大の収穫であった。一般の注目を惹きつけるものではないためか、お土産のレプリカになっていなかったのがつくづく残念ではあるが、手書きの書き込みなどが興味深い。

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書き込みの仕方が味がある。

 

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