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2011/10/26

politique:自民党って本当に面白い。マジなの?

読売online:公務員給与削減に自民反発…人勧見送り「違憲」

この見出しからすると、まるで自民党が公務員の給与引き下げに反対しているみたいがだ、多分そうではない。ただ訳もわからず反対する口実を探して、辻褄が合わなくてもとにかくなんか言う、寝言でも「反対」と叫ぶ、そんな類の話だ。

国家公務員は労働基本権が制約され、給与水準を政府側との交渉で決めることができない。政府は人勧を労使交渉に代わる措置として尊重してきたため、人事院は「無視するのは憲法上問題だ」と主張している。自民党の石原幹事長も「ある意味、憲法違反だ。(削減法案が)人勧を含むという見解は通らない」と批判した。

この記事の文章をまともに受けると、人事院様までが頭がおかしくなっちゃったかと思うが、いったい憲法のどのあたりを読むと、公務員の給与引き下げを有無を言わさず実施すること(つまり今回の人勧実施)が公務員の労働基本権制約の「代替措置」とか「代償」とかになるのだろうか?

公務員がスト権を認められないという憲法上の労働基本権制約に対して、人事院勧告による適切な給与引き上げが代償措置として設けられているという話は、確かに大学でも聞いたことがある。
しかし、人事院勧告による給与「引き下げ」をスト権否定の「代償」と言われても、賃下げを目的としたストなどしませんから、そんな代償いらないんですけど、というしかない。

この文脈で労働基本権を定めた憲法に抵触することになるというのは、頭が悪すぎるのだ。いくら「ある意味」とかいっても駄目である。

おそらく、人事院勧告が実施されるべきことを給与引き下げも含めて説明するのであれば、次のようなことによる。
公務員の場合、勤務先の業績によって給与水準が上下する民間企業とは異なり、国とか地方公共団体の業績には左右されない。民間企業なら、オーナーたる株主への配当をにらみつつ、コストをどれくらいにするかを経営者が決めることができ、従って従業員と使用者との交渉により賃金水準も決めることができる。
対して公務員の場合は、民間企業のようなオーナーに対する配当もない政府(中央・地方)に賃金水準を決めさせることが適切ではない。さもないと、全くお手盛りとなるかもしれない。
そこで、「適正」と考えられる賃金水準を、民間の水準を参考にしながら、独立の組織が決定する、それが人事院勧告だ。

この説明の中は、労働基本権の代償ということに直接は結びつかない。従って憲法的な解釈論とはずいぶん違うだろうと思うのだが、引き下げの可能性も含めて人事院勧告の制度趣旨を説明するには、この方が妥当だと思う。

そしてこのように考えるなら、人事院勧告の制度は(少なくとも賃下げの局面でこれを尊重するかどうかは)立法政策であり、立法府が行政府のお手盛りを防ぐ手段としても受けたものなのだから、人勧とは別に法律で給与水準の上下を決めることは何ら妨げない。もちろん公務員の身分保障とか、そもそも勤労者としての公務員の待遇をむげに切り下げないとか、そのような配慮が必要であることはいうまでもないが、それは立法政策の中で適切に考えれば良いことだ。

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民主党が同時に提出している国家公務員制度改革関連4法案には、自立的労使関係制度の措置が盛り込まれていて、人事院を廃止して新設の公務員庁を設置して団体交渉及び協約に関する事務にあたらせることとしている。連合の事務局長の南雲事務局長は、2年間給与を引き下げる臨時特例法案と関連4法案は一体不可分であることが労使合意の前提と明言。民主党との合意を暴露している。このような状況で自民党が反対するのは当然ではないか。人事院勧告を実施した上で復興財源確保のための給与引き下げを行うべきで、どさくさにまぎれて協約締結権を付与する闇取り引きは看過できない。

投稿: ヒラタク | 2011/10/30 18:16

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