arret:TBCに3万円の賠償命令
asahi.com:TBCの情報流出、東京高裁も約3万円の支払い命じる
記事より抜粋
「約5万人分の個人情報がネット上に流出した問題で、東京高裁(稲田龍樹裁判長)は28日、被害を受けた男女14人に3万5000〜2万2000円を支払うよう同社に命じた一審・東京地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却する判決を言い渡した。」
こんなときクラスアクションがあったらいいなと思わざるを得ない。
人のセンシティブな情報を垂れ流して、一人あたり約3万円の賠償命令を受けたってことは、被害者全員に償うべき金銭15億円を支払わなければならないはずだ。
ところが、この訴訟の原告は、わずかに14人で、総額も一人約3万円として42万円である。
15億円もの損害賠償を支払うべき企業が、その支払いを42万円だけで免れているということは、14億9958万円は不当に利得しているのだ。
それだけのお金を損しているのは、もちろん、泣き寝入りを強いられた被害者達。
こんなとき、アメリカ流のクラスアクションがあったら、14人の原告がその余の約5万人のために訴えを提起し、15億円を請求できる。弁護士費用も、もちろん15億円の一定割合がもらえるので、弁護士さんは一生懸命やるだろう。
そしてセンシティブな情報を垂れ流した企業が不当に焼け太るということもなくなるのだ。
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コメント
「センシティブな情報を垂れ流した」
TBCの件、どのように情報が流出したかご存知でしょうか。
「情報を盗まれた」と言うべきではないでしょうか。
盗まれたことにつき過失があったということでしょうが、しかし、どこまですれば良いのか。善良なる管理者などという、漠然とした、基準と言えない基準で振り回されるのは、嫌なものです。
投稿: 情報セキュリティー | 2007/08/29 09:40
管理するのが嫌なら、そもそも他人のセンシティブな情報を集めて商売に活用しようなどと思わないことです。
この意味で、話は違いますが、googleなどのweb2.0標榜企業は無過失責任を負っても良いくらいだろうと思います。
投稿: 町村 | 2007/08/29 11:38
>弁護士費用も、もちろん15億円の一定割合がもらえるので、弁護士さんは一生懸命やるだろう。
今でも一生懸命やってますよ(笑)。
あんまり安い賠償額が認容されているので、原告が訴訟を躊躇するという問題がとても気になります。もう少しペナルティーが与えられると企業が一生懸命やるだろうということもあります。
投稿: ToshimitsuDan | 2007/08/29 11:47
ははは、そういう反応はあるだろうなと。
でもボランティア的に一生懸命になる存在を当てにした法制度というのは、美しいけれども、健全ではないです。
世の中に必要な仕事にはそれなりの見合った報酬がないと。
投稿: 町村 | 2007/08/29 11:58
>TBCの件、どのように情報が流出したかご存知でしょうか。
わざわざ情報を公開ディレクトリに置いてありました。
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0527/tbc.htm
>「情報を盗まれた」と言うべきではないでしょうか。
自分で公開しておいて「盗まれた」と被害者づらをして責任を回避しようとしたと言うべきですね。
投稿: kei-2 | 2007/08/29 12:38
まあ、ちゃんと一審判決を読んでねというよりほかありません。
投稿: 小倉秀夫 | 2007/08/29 12:58
>管理するのが嫌なら、そもそも他人のセンシティブな情報を集めて商売に活用しようなどと思わないことです。
営利性は、過失の認定にも、賠償額の決定にも関係ないはずです。しかし、営利性があるから賠償させても良いという、感情論が法判断に影響する人がいるということでしょうね。
>「盗まれた」と被害者づらをして責任を回避しようとした
「盗まれた」かどうかは、厳密には定義の問題ですが、日本語としては盗まれたで良いのではないですか?TBCが被害者であることは、間違いの無い事実です。ただ、TBCは顧客に対して賠償責任があるというだけのことで、情報を盗んでネットでばら撒いた人に対しては求償できる。中間にいるTBCが自分も被害者だと言ったとして、それを「被害者づらをした」と道義的に非難する人は、冷静な議論ができない人で、軽蔑に値すると思います。最近こういう「水に落ちた犬を打て」的な人が増えましたね。
>まあ、ちゃんと一審判決を読んでねというよりほかありません。
これは誰に対してか明示していないのがミソですね。町村先生向け?それとも私?どっちとも取れるけど、悪意だけは伝わってくる。議論を混乱させる機能も持っている。実名でも、こういう悪意のコメントをする人がいるという実例ですね。
投稿: 情報セキュリティー | 2007/08/29 16:14
実名だと、この程度の言い回しでも悪意を読み取ってしまうのですね。
事故態様がどのようなものであったのかは、第1審の認定事実を見るのが一番だうだけのことですが。
投稿: 小倉秀夫 | 2007/08/29 17:26
小倉秀夫様
もし、ご自身のブログに、「まあ、ちゃんと一審判決を読んでねというよりほかありません。」とだけ書かれたら、先生はどのような反応をされるでしょうか。
・誰の発言に対するコメントか、管理人も読者も分からない
・親記事や発言のどの部分に対するものか、管理人も読者も分からない
・判決のどの部分を指摘するものか、管理人も読者も分からない
要するに「誰に何を言いたいの?」ということが、管理人にも読者にも分からない発言ですよね。だから、反論とか共感のしようがなく、スルーするしかない。それでいて、「おまえ(誰?)は判決を理解していない」という悪意だけは伝わってくるし、いわゆるゴミとして残ってしまう。「おまえのかあちゃんでべそ」と書くのと同じようなものですね。
もし、小倉先生がそのことに無自覚ならと思い、あえて指摘させていただきました。
投稿: 情報セキュリティー | 2007/08/29 19:21
>世の中に必要な仕事にはそれなりの見合った報酬がないと。
「おまえがちゃんと稼いでないから、後が続かないのだ」と、同業者によく怒られています。
投稿: Toshimitsu Dan | 2007/08/29 19:40
私に対する言動について言えば、その程度で止まっていれば、まだ可愛いものです。
投稿: 小倉秀夫 | 2007/08/30 01:23
>小倉秀夫先生
そんなこと言わずに、法の支配に対する不当なバッシングと闘ってください。
投稿: とおりすがり | 2007/08/30 17:54