ツァラトゥストラへの階段
あらすじ
“それ” に寄生されたとき、運命が動き始める……!
「大昔の神と崇められる存在や、歴史上の英雄などは、パルスをコントロールしていた存在なのよ」
得体の知れない存在―― “パルス”。
パルスは人の精神に寄生する。パルスに寄生されると宿主となった人間の知力・体力は格段に向上し、また特殊な力が生まれる場合もあるという。
そんなパルスに感染していることが発覚した高校生・福原駿介の運命は、一気に動きはじめる!
パルスを制御しようとする謎の組織の存在。 そして同じくパルスに寄生されている少女との出会い。
果たして駿介の未来に待っているのは……!?
レビュー
緻密な構成、人間心理の描写の見事さに舌を巻く。
「扉の外」シリーズが好きなら絶対読むべし。
扉の外と間接的に繋がった新シリーズ。
前シリーズを読んでいると各所でニヤニヤすることができる特典付き。
人間の心理の揺らぎ、練り上げられたゲームのルール、最後まで見えない答え。
謎解き系の話には挑むのではなく、浸るタイプの私には最高に面白い読み物。
群集心理を醜く描く最初のゲーム、株をモチーフにした二回目のゲーム、どちらも読み応え十分。
株のゲームの方は少し上手く行きすぎな部分もあったが、それはご愛敬。
主人公は精密機械と呼ばれる切れ者だが、詰めが甘いという弱点付き。
しかしこの弱点によって、ゲームにどんなオチがつくか解らなくなり、読む側のスリルも増す。
登場するキャラクター達の配置にも無駄が無くすっきりした印象。
前シリーズではキャラが多すぎて全員把握しきれなかったが、今回はそんなことはなさそう。
扉の外では一冊にまとまりきらず中途半端に終わってしまうことが多かったが、今回はきっちり話が区切られている。
前シリーズの悪いところを一つ一つ潰して完成度を上げたような作品。
内容は細かく作り上げられているのに表現は難しくしていない。
さくさくと読み進められるのも高評価。
好みによって評価が分かれる作品だとは思う、でもこれには自信をもって★5つを付けたい。
ただ一つこの作品には問題がある。
ツァラトゥストラ・・・舌噛むわ。
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