空ノ鐘の響く惑星で
あらすじ
異世界から逃げてきた少女と少年は出会い、そして歴史は動き出す――
毎年、ある季節になると、空から鐘に似た音が降ってくる世界。
『御柱(ピラー)』と呼ばれる宙に浮く巨大な柱がある世界。
そんな世界に生じたひとつの噂話――。
“深夜をまわる頃、『御柱』の一部に、若い女の姿が浮く――”
事実を確かめに行ったフェリオの前に現われたのは、御柱の中に浮かぶ異装の少女の姿だった――。
そして、一人の少年と少女の運命の歯車が動き出す……!
レビュー
完結するまで積んでたら、なんと発売から3年半も経過していた…
陰陽ノ京、パラサイトムーンでお馴染みの渡瀬先生の最長シリーズの一巻。
正直なところ、陰陽ノ京、パラサイトムーンで感じた寒気に近い感激は得られなかった。
しかしそれは一冊完結系のシリーズではなく、長編シリーズの一巻としての構成だったから。
様々な要素が散りばめられ、今後の展開が全く読めないので期待は膨らむばかり。
キャラクター一人一人に必要な役割と個性があり、物語上での立場が確固としてある。
構成力の高さはやはりラノベ界トップクラスではないだろうか。
渡瀬先生の作品には過去なんども「あっ」とさせられてきた。
このシリーズでも必ずそういったシーンがあるはずだと胸を膨らませている。
一巻は「動き出した」だけにすぎない。
物語はまだ始まったばかり。
EX!(エクス)2
あらすじ
聖クレス学園を襲った敵を退け、学園の生徒達にも受け入れられ始めた大和一哉は、ようやっと前向きに学園での生活を楽しめるようになっていた。
未熟な自分の現状を受け入れ、そんな自らを高めるために、切磋琢磨を続ける一哉。また、それはそれとして、可愛い同級生や素敵な先輩方との交流にも、大変心躍る毎日なのであった。
だが、そんな一哉の前に、古森羽月と名乗る見慣れぬ先輩が現れる。実際の対外任務にも出ていたという彼女から受ける一方的な敵視に一哉は戸惑うばかり。しかし、彼女自身も何か特別な目的を持って校内で活動しているようで……!?
レビュー
新世代ヒーローモノ!
ざっつにゅーじぇねれーしょん。
これは、良いシリーズだ。
何やら峰音先輩が激烈に可愛かったり、やっぱりツンデレ気味だったりと密かに峰音祭りが開催中。
峰音フラグに引き続きいくつものフラグが立ち上がり、何やら一哉を中心にした恋合戦もありそうな雰囲気に。
ライバルが増えすぎるのも考え物だけど、それでこそ光るメインヒロイン。頑張れ由良!
一巻程のどんでん返し展開は無くとも、燃える展開は衰えていない。
特に後半の一哉の格好良さは一級品。
正義のヒーローはこうでなくてはいけない。
カァっと血潮が滾るような展開と、それを収束させる悲しい結末。
メリハリの付け方がたまらなく上手い。
ラストシーンでは思わず涙が出そうになった。
ただ熱い話をするだけじゃない、その熱い話の余熱がいつまでも残るような綺麗な締め括り。
今回も大きく心震わされた。
余韻が未だ残っている。
文句なしの★5つ。
鬼切り夜鳥子(ぬえこ)~百鬼夜行学園~
あらすじ
普通の高二男子、久遠久は、ある日幼なじみの桂木駒子の異変に気づく。全身に不気味な式神の刺青をまとった駒子は、夜鳥子と名乗る中世の女陰陽師の霊とともに、同級生や先生に取り憑いた鬼たちと1人で戦っていたのだった。駒子と一緒に戦うことを決意する久遠。倒す鬼は5匹。期限は1週間。2人は、鬼を倒しきることができるのか!? 「俺の屍を越えてゆけ」等でおなじみの奇才ゲームデザイナー桝田省治が初めて書き下ろす、渾身の伝奇アクション!
レビュー
乙一氏の絶賛コメントで買った。
「こりゃすごい!ゲーム画面が目に浮かぶ!是非ゲーム化してください!!」
という乙一氏の熱いメッセージが帯に踊る。
恥ずかしながらゲームデザイナーとしての桝田氏の作品を私は知らない。
その為純粋に一つの小説として読むことが出来たと思える。
表紙や口絵の見事なイラストにまず目を引かれる。
エロさより荘厳さが滲み出る絵は、「夜鳥子」というキャラによく嵌っていると思う。
一週間で5匹の鬼を倒さなければいけないというミッション的な設定を面白く活かしている。
毎章同じくだりの文で始まり回想していくと言う表現手法は個人的には悪くないと思うし、
作戦開始から終了までのスピード感を上げる効果は抜群だろう。アクションゲームを読んでるみたいだった。
次々と出てくる夜鳥子の式神も何か隠し要素的なものを感じるし、出してくるタイミングが上手い。
それぞれの性能差に何故かロックマンの武器を思い出した。
こういう細かな設定がゲームデザイナー故のものなのだろうと感じる。
駒子と久遠の関係も幼なじみをちょっと越えた親密さという加減がちょうどいい。
間に委員長(Fカップ)が出てきて恋の三角関係にでもなるかと思いきや、何故か委員長は夜鳥子ラブ。
鬼退治のすてきな協力者として活躍する。お色気シーンはナシ。
臍を曲げてしまったという舞や小言がうるさい百爺など、各々の式神達にも愛着が湧くし、
謎だらけの夜鳥子もなにかと愛嬌があったりして案外殺伐としてない。
事件を解決していくうちに久遠と駒子がお互いを意識していき、信頼を深め合う過程が好きだった。
残念なポイントとしては、各鬼の強さにそれ程の違いを感じられなかったこと。
同じ流れで話が進むからあまり苦戦してるように見えない。最後の鬼はちょっと苦戦してたけど、ラスボスと言われるとどうか…
最後にでっかい山をこさえて乗り切ってくれたらより盛り上がったように思う。
でも六章の締めが非常に良かったので相殺。
分厚い二巻が出ているので早く読みたいと思っている。
陰陽ノ京 巻の五
あらすじ
天才陰陽師・慶滋保胤の活躍を描く平安幻想譚、第5弾登場!
晴明不在の京に現れた、夜盗の影―― そこには天狗の技と思しき痕跡が混ざっていた。
調べにあたる陰陽寮の暦生、賀茂光榮に協力し、保胤は愛宕の天狗・小五郎の元へと出かける。
優れた道士の体を求める妖、鶴楽斎。 その鶴楽斎に操られる天狗の猛丸。
彼らの暗躍によって、保胤達の平穏な日々は一転、緊迫の事態を迎える!
レビュー
地味であっても、滋味のあるお話を
とは、著者の渡瀬先生の言葉。
なるほど、見事に的を射た表現であると思う。
陰陽師モノと言っても激しいドンパチがあるわけではない。
必要なときに必要な術を用いて事件は解決される。
それまでの事件の背景、それに関わる人々の心、それが故に迎える結末に重点が置かれているように思う。
(これは過程を軽視しているわけでは決してないことは注記しておく。)
その起点と終点のまとめかたがこの上なく魅力的。
渡瀬先生の作品には思い入れが強い。
私がラノベを本格的に読み出したのはこの「陰陽ノ京」からだったからだ。
安倍晴明、慶滋保胤、賀茂家の面々といった歴史上の人物が生き生きと動き回り、
もの悲しい妖の事件に関わる様は当時の私をライトノベルの世界に引き込む大きな動機になった。
同じく渡瀬先生の「パラサイト・ムーン」も未だ私のお気に入りトップ10に入るシリーズ。
とにかく渡瀬先生の著書は凄いものばかり。私がラノベで一番好きな作家さんである。
「空鐘」は楽しみとして取っておいているが、本作を読んで早急に読むことを決めた。
「空鐘」しか読んだこと無い方は、是非陰陽ノ京も読んで頂きたい。
きっと渡瀬先生の原点が垣間見れるはず。
赤×ピンク
あらすじ
躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実は21歳)。魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイトクラブ、それぞれが秘めた思いを胸に、たたかい続ける…。
レビュー
いつにも増して解りにくい桜庭作品だったように思える。
これまでに解りやすかった桜庭作品はなかったけれど、今回はより難攻不落。
ファイトクラブに居る女の子達に共通するのは格闘技が好き、ということ。
他に共通項は何もない。
ファイトクラブなんていうちょっと異常な所に集まってくる女の子達のそれぞれの想いを描く。
題名の「赤×ピンク」は女の子×女の子という意味らしい。
あとがき読むまで気づかなかった…。
確かに女の子ばかりが出てくる。野郎はみな脇役以下。
三人の女の子に焦点を当てた短編三部からなる一冊。
どれも男の私から見たら突拍子も無い思考で、「女の子の考えてることはわからん」なんて思ったりした。
実際、女性が読んでも解るのかどうかは疑問だが、その辺の意見も是非拝聴してみたいものだ。
短編の中で一番好きだったのは最後の「おかえりなさい、皐月」。
これが今の桜庭先生の作風に一番近いのでは無いかと思うし、一番わかりやすかった。
テイストとしては難解な哲学書に近い。
部分部分では何を言っているのか解る気がしていても、最後まで読んで振り返るとさっぱりわかってない。
ライトノベルなので読むところで詰まることはないのだが、結論に共感しにくい。
独特の持ち味はこのころから健在だったようだ。
「君の歌は僕の歌」の一年後の作品だが、「赤×ピンク」の方がより現在の桜庭先生の作品に近いと思える。
桜庭先生の歩みがわかる一冊である。
桜庭一樹ファンなら読んでおくべき作品であろう。
E.a.G. (イー・エー・ジー)
あらすじ
凄惨な吸血鬼事件に震撼する街の片隅で、可憐な少女の姿を借り、それは突然現れた。
「俺はDDF/AH-07JD。空電体を駆除するため言基体から派遣された進攻体だ」―― その瞬間から、彼の運命は変わり始める。
スラムを束ねる男の暴走、中華街の長の失踪、到来する武器商人と息を潜める暗殺者。
そして、人々の間に見え隠れする異形の者たち…… それぞれの願いのために、彼らは荒廃した街を駆ける。
レビュー
「我が家のお稲荷さま。」の著者が描く新感覚サスペンス!
これまでまったりした「お稲荷さま。」一辺倒だった著者が挑むサスペンスに興味津々。
ページ数もこれまでと違い多く、ぎっしりといった感じ。
雰囲気自体は大変重たいのだけれど読みやすさは抜群。
その辺はこれまでに培った作風の流れか。
しかしストーリーラインは全く別物で重厚。
荒廃したスラムに生きるゴトーと、彼に好意をよせるお嬢様のキアラ。
そのキアラにDが“取り憑く”形となったことで、ゴトーがどれらけキアラを大切に思っているかが解る。
「大切なキアラの体」に取り憑くやっかいなDの無神経な行動にあたふたするゴトーが青少年みたいで微笑ましい。
血がダラダラのシーンは個人的にツボだった。
ただ、出てくるキャラや組織についての説明が不十分。
序盤で解説を入れてこないのはサスペンスだから良しとしても、最後までどういう事だったのか解らない要素が多いのは気持ち悪い。
さらに人物がカタカナ表記であるため自分の理解が追っつかない部分があり辛かった。
もう少し相関関係を明かして欲しかった。
解説が無く会話の中の情報をくみ取って自分なりに解釈するしかないというのは、方法としては別に悪くないと思う。
しかし、その会話も断片的で類推するための鍵が見あたらないのが問題。
ページが嵩んでいる為、中盤で中だるみしている感が強い。
もう少しスマートにまとめるか、解説分を増やすなりすればより良くなっていたと思える。
部分部分の出来はとても良いんだけど、最終的なまとまりが良くない。
ラストシーンとかは物凄く好きなんだけれど、それでも払拭しきれない投げっぱなしの部分が気になってしまう。
あと一歩かな、というのが読了後の感想。
バカとテストと召喚獣2
あらすじ
いよいよ学園祭! 文月学園ならではの試験召喚大会も催される。明久たちFクラスの面々は先の戦争に負けて以来「みかん箱」「ござ」という極貧の設備に甘んじてきた。そんな劣悪な環境と超頭の悪いクラスに絶望した瑞希の父親が、なんと娘に転校を勧めている──と明久は美波から打ち明けられる。憧れの瑞希の転校を断固阻止する為、明久は学園祭の出し物で資金を稼ぎ、人並みの設備を購入、さらに召喚大会での優勝を画策するが!?
レビュー
にじみ出るバカ。醸し出るバカ。溢れ出すバカ。兎に角バカ過ぎる!
バカ共が奏でる最高の狂想曲。
バカ・オブ・ザ・ワールド。
神出鬼没なバカ発言に備え、常に警戒態勢を取らねばならない。
しかしその防備も紙のごとく突き破る思いも寄らぬバカが秘められている。
押し寄せるバカ。
嗚呼もう面白すぎる!
一巻以上の面白さを期待してはいたが、まさかここまでとは…
数ページに一度押し寄せてくる笑いの波に見事に飲み込まれていた。
電車の中で、喫茶店でやたら頻繁にむせ上がる私は明らかに変な人。
至る所に潜むボケ、それを引き立てるツッコミ。何もかもがツボに嵌る。
ギャグ部門では今まで読んだラノベでトップの面白さ。
こんなに次が読みたいと思った作品もそうない。
愛読者カードを送って三巻の発売をお願いしようと思う。
なにげに愛読者カードを書くのは初めてなのだが、次を訴求したくなるだけの魅力がこの作品にはある。
とある魔術の禁書目録 ⑨(9)
あらすじ
巨大運動会の陰で暗躍する、とある魔術師の正体は!?
全学校が合同で行う巨大運動会 「大覇星祭」 が開催された学園都市に、謎の霊装 『刺突杭剣』 を求め、とある魔術師が侵入した。
その名は、オリアナ=トムソン。
魔術業界屈指の 「運び屋」 であり、『追跡封じ』 と称される彼女の目的とは――。
レビュー
大・大運動会を舞台に魔術師が暗躍!?
超能力学園都市の運動会=とあるどこかのバトルアスリーテス。
火炎、爆発、空気弾が飛び交う棒倒し、人が10m以上吹っ飛んだりする玉入れ、破天荒すぎて大変結構。
競技一つ一つに命がけで殺伐としてる運動会模様もそうそうない。
競技中の模様が下手なアクションノベルより熱いことになっていて笑えた。
合間合間に女性陣が色々頑張ってる(?)。サービスシーンが一杯。
初登場のさらなるヒロイン候補?の吹寄さんには大胆な挿絵まで。
運動会という状況なので色々な人が学園都市に入り込んでいる。
美琴の姉やら上条の両親やら…これは何かの伏線だと思って良いのだろうか?
今回もきっちり上条のラブコメスパイラルは続いているし、盛り上げるところはガッツリ盛り上げてる。
多少の無茶もこれまで同様勢いでねじ伏せてるが、この作品に関してはそういう強引さが魅力と言って良い。
上条のプッツンポイントとなった吹寄さんは10巻でどんな扱いとなるのか、それも楽しみ。
魔術師のオリアナさんも色気放射しまくっている。きっと彼女にもゆずれない意思があるのだろうと思うと益々次が読みたくなる。
最近魔術側の話がイマイチで不安だったのだが、今回は杞憂に終わりそう。
衰えない魅力、落ちない刊行ペース。一体鎌池先生はどんな鉄人なんだろうか。
2007年6月購入本
電撃文庫
・嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸
・リヴァースキス
・レジンキャストミルク7
・世界平和は一家団欒のあとに(2) 拝啓、悪の大首領さま
・“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店2
・神様のメモ帳2
・天空のアルカミレス 聖婚の日
・ぼくと魔女式アポカリプス3 Nightmare Crimson Form
・哀しみキメラIV
・小さな国の救世主2
富士見ファンタジア文庫
・DクラッカーズIII 決意―resolution―
ファミ通文庫
・鬼切り夜鳥子3 みちのく血煙慕情
MF文庫J
・渚フォルテッシモ
ガガガ文庫
・Re:ALIVE (1) ~戦争のシカタ~
コバルト文庫
・マリア様がみてる フレーム オブ マインド
今月は15冊。
平和だ。
毎月これくらいの購入量なら積本は増えないだろうに…。
日に日に本を読む時間が減っていく。
あな厳しきかな社会人。
読む時間が少ないなら読むスピードを上げればいいじゃない(´ー`)y-~~~
なんて戯れ言がいつも脳で響いてはいるのだが、速読トレーニングする暇があったら本を読みたい。
長い目で見たら読書スピードが上がった方が得なんだろうけど…。
将来の利益より今の享楽。
だって人間だもの。
とりあえず電撃以外の各文庫から気になる本を一冊ずつピックアップして買ってみた。
他にめぼしい本が無かったとも言える。
でも電撃の新刊が豪華だから気にしない。
ああ、じっくり本を読む時間が欲しい。一週間くらい。
カレンダー&アーカイブ
<感動>最強ラノベ
<爆笑>最強ラノベ
<独特の世界>最強ラノベ
リンク(ラノベ感想系)