カナクのキセキ2
あらすじ
「うそついてる。カナクさんは、まだ泣いてる」ネウの垂れ気味の瞳に見つめられ、僕はどきりとした。―“あの日”から5年。僕は、「マールの村」で神官として暮らしていた。ユーリエ。僕の愛。ダークエルフのネウは僕の揺れる心を心配してくれているけれど、僕は、彼女を想い、祈りながら生涯を終えようとしていた。そんなある日、意外な客人が…。一方、父親の命令で急遽辺境の長城に嫁入りしたレベッカは“影砲士”スフィアと出会う。シャイな夫がひとりで世界を守っていることを知った彼女は、“お嫁さん”として奮迅の働きを開始した!運命の恋と最強の愛が紡ぐ、ファンタジック・ラブストーリー。
レビュー
あの感動の1巻は序章にすぎなかった。
驚いた。
1巻の幕引きが実は物語の幕開けだった。
2巻への続き方に抱いていた不安は見事なまでに爆散。
ぐいぐいと「カナクのキセキ」の世界に引き込まれていった。
今回はユーリエを失ったカナクの物語である裏章と、影砲士という謎の人物に嫁いだレベッカという少女の物語である表章の2段構成。
なぜカナクの物語が裏なのか?
それは物語の最後に明かされる。
裏と表がどういう関係にあるのか。それがわかった時に物語世界がぶわっと広がった。
「カナクのキセキ」という物語はとても優しくて、時に甘くて、身を切られるように悲しい。
ここまで深みのあるファンタジーに出会えたことは幸運。
3巻の発売が待ち遠しい。
一つ注意点。
この本は決してあとがきを最初に読んではいけない。
さらっと最重要なネタバレがされている。
疾走する思春期のパラベラム みんな大好きな戦争
あらすじ
クリスマス。乾燥者【デシケーター】は人類殲滅のために一斉攻撃を開始。世界中で戦火が燃え上がった──。戦いは、一兎たちの住む町にも及ぶ。パラベラムとして選択を迫られる一兎たち。だが敵の行動は速く、先制攻撃を受けてしまう。あまりにも大きな痛手を負い、バラバラになってしまう映画部。壊れてゆく世界、大量の死と終わらない激戦の中、一兎たちの、そして世界と人類の未来は──!? 疾走する学園異能アクション、ついにクライマックス突入!!
レビュー
これまでの停滞を吹き飛ばすクライマックス突入。
ここまでバラまいてきたエピソードに一気に火をつけて爆発させてきた。
伏線的だった話も、一体なんだかわからなかった話もまとめてこの巻で炎上。
人類の天敵・乾燥者 VS 人類&パラベラム という構図で地球規模のドンパチ。
突然話が大きくなりすぎて度肝抜かれた。
超展開とは行かないまでも、話がこんなに膨らむ伏線があっただろうか。
とはいえ本来の「学園異能アクション」(もはや「学園」じゃないが)はこれくらいハッチャけてバトルしてくれた方が良い。
最終巻の前にして乾燥者・パラベラム共に「最強」と言われる連中が出てきたり、一兎の能力にまだ伸びしろがありそうだったり、バトルモノの王道を疾走している。
どうやって話を締めてくるのか楽しみではある。
追伸:
前巻から刊行が約1年半もあいたせいか、うなじ先生の絵が変わっててびっくり。
疾走する思春期のパラベラム この世の人々が許しあうまであと千億の夜
あらすじ
疾走する学園異能アクション、緊迫の第5弾!!
心的爆撃を切り抜け、平穏を取り戻した城戸高校映画部。一兎もまた、四神美玖を喪った心の傷に耐えながら、日常を過ごしていた。そして志甫は、そんな一兎に対する自分の思いに気づき始める――。だがその頃、世界では次々と大規模な襲撃事件が起こっていた。大量の死者、目撃された幽霊の噂……戦争は、既に始まっていたのだ。志甫も一兎の目の前で攫われて――!? 緊迫の第5弾!!
レビュー
パラベラムとか乾燥者とかの存在意義はわかった。
だけどそれだけ。
なんというか、1巻使っても話が進んでいる感じが全くしない。
軽く読めることは褒めるべき点なのだけど、中身まで軽すぎる。
学園異能アクションなのだけど、その戦闘シーンも薄い。
ピンチになったら主人公の隠された力が発動して・・・という王道を貫くのもいいのだけど、王道を行くならもっと盛り上げるなりなんなりして欲しい。
全てがあっさり過ぎる。
今後どう展開させて着地させるのか気になるけど、最後も凄くあっさり終わるのではと思えてきた。
個別に語るような内容が思いつかない・・・
読むことは苦じゃない本なので、次も読むが、大きく期待はできない。
疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃
あらすじ
文化祭が近づく城戸高校。一兎が所属する映画部は、自主制作映画の上映に向け、慌ただしい日々を過ごしていた。そんな中、睦美の前に一人の少女が現れる。睦美に能力を与えた少女。死んだはずの恋人。しかも、彼女は<灰色領域>【グレイゾーン】の幹部だという――。改めて自分と組まないかという誘いに、動揺する睦美。さらに、乾燥者【デシケーター】たちもまた、動き始めていた。来るべきパラベラムたちとの“戦争”のための実験戦。その標的は、城戸高校――。学園異能アクション急展開第4弾!!
レビュー
山無しオチ無し。この巻の意味は?
「心的爆撃」と何とも不穏なサブタイトル。
大きく物語が動くことは容易に想像ができる。
実際ありえない位に勢力図が変わる事件が勃発。
なのにこの盛り上がらなさは一体なんだ。
文化祭の話が半分、残りで心的爆撃ともう一つの大きな事件を片づけた。
・・・片づいたとは言い難いが。
サブタイトルにまで持ってきた「心的爆撃」があっという間に終了し、
意味深な登場シーンだった一子が単なる脇役っぽい動きしか見せず、
その後に起こった一兎にとってのトラウマレベルの事件もなんかあっさり解決し、
そして最後に「これからが本番だ」的な幕切れ。
前半の文化祭部分要らない!
読了後に「これはいかん」と思える作品も珍しい。
という位のレベル。とにかく話の構成のバランスが悪い。
うなじ先生の美麗イラストが無ければ褒める点が無い。
次巻以降での挽回を期待する。
疾走する思春期のパラベラム デイドリーム
あらすじ
何を望み、願い、一兎たちは銃を手に取るのか──。
夏休みに入り、本格的に映画を作り始めた一兎たち城戸高校映画部の面々。だが、ある日、一兎たちの暮らす町で猟奇殺人事件が発生する。それは、志甫の兄を殺した連続殺人犯──「クロスドレッサー」の仕業だった。志甫は単独で飛び出し、映画部はバラバラになってしまう。そんな中、一兎は、難病による死を目前にした少女、美玖と出会い、志甫のことを気にしつつも、どこか自分に似た翳を持つその少女に惹かれはじめる──。学園異能アクション第3弾!
レビュー
やっと全体像が掴めてきた。
これまでは誰がどういった勢力で、幾つの集団があるのかも定かではなかったのだが、3巻で全体が把握出来る程度には明らかになった。
ようやく話が見えてきた。
しかし・・・
志甫がアホなんだけど無駄に可愛い件。どうしよう。
なんだろうねこの彼女の破壊力。
アホだからか?アホがミソなのか?
そんな志甫因縁の連続殺人鬼『クロスドレッサー』が数年ぶりに出現。
城戸高校映画部、灰色領域入り乱れての騒動勃発。
様々な方面に波及して決着した今回の話でうまく話を膨らませてきた。
素直に次の巻が楽しみな展開に発展。
追記
この作品はうなじ先生の画力サポートが尋常じゃない。
P・V・Fの機械のデザインとか格好良すぎる。
志甫とかの女性陣(と勇樹)のイラストが可愛すぎる。
オオカミさんシリーズもそうだけど、うなじ先生の絵の存在感は凄い。
この作品もうなじ先生じゃなかったらと思うと・・・。
イラストレーターはラノベの第二の著者と言っても過言じゃないかもしれない。
ソードアート・オンライン6 ファントム・バレット
あらすじ
銃と鋼鉄のVRMMO《ガンゲイル・オンライン》で発生した《死銃(デス・ガン)》事件を調査するため、《GGO》へとログインしたキリト。
一見超美少女キャラと見間違えるアバターにコンバートされるトラブルに遭った彼だったが、スナイパーの少女・シノンのナビゲートにより、全ガンナーの頂点たる対人トーナメント《BoB(バレットオブバレッツ)》に無事参戦を果たす。
キリトは、銃が支配するこのゲームで唯一《光剣》を駆使、《BoB》を勝ち進む。その奇抜な戦闘スタイルが話題となり、徐々にゲーム内での知名度は上がっていった。
そして《BoB》決勝。数多の強敵がひしめく《多人数バトルロイヤル》の中、ついに《死銃》が姿を現す。果たして《死銃》とは何者なのか。本当に《仮想世界》から《現実世界》へ影響を及ぼすことができるのか。キリトは単身、《死銃》へと挑む!!
『ファントム・バレット』 編、完結
レビュー
「死銃」を巡るファントム・バレット編、堂々完結。
440頁にも及ぶ完結編は、そのボリュームを重いとは感じさせない見事な完成度。
5巻が冗長気味だったので心配していたが、この完結編のための序章として必要だったのだと再認識。
ガンゲイル・オンラインNo.1を決めるBoB本戦が遂に開幕。
強者30名がひしめく広大なフィールドでのバトルロイヤル。
どこに死銃が潜んでいるのかわからない、いつ殺されるかわからない緊迫感がページを捲る手を早める。
キリトとシノン。
同じような傷を持ちながら異なる道を歩んできた二人。
片や自分がしたことを忘れてしまった事に罪を感じ、片や忘れることなと到底できない罪の意識に苦しんできた。
出会い、お互いをぶつけ合ったことで前に進むことが出来た二人。
VRMMOを通じて成長していく彼らの人間模様も見所の一つ。
「死銃事件」はVRMMOだけの問題でないネットとリアルを跨いだ驚愕の真相が隠されていた。
銃と弾丸が飛び交うガンゲイル・オンラインの世界で起きた一大事件。
それがどのような終結を迎えるのか、心して読むべし。
ヘヴィーオブジェクト 巨人達の影
あらすじ
不良兵士二人組の、ハイテンションな近未来アクション、懲りずに第三弾だ!
巨大兵器オブジェクトが世界のバランスを支配し、物事の全てを決める。シンプルで安全で、クリーンな国際競争を行う場所。それが俺たちの 『戦場』 だ。こんな最前線から兵士が去っていく一番の理由は、負傷でも戦死でもなく、基地内における男女間の恋愛問題のこじれだったりする。
そう。今時、戦場で死ぬなんて流行らない。
──はずだったのだが、
「 「クソッたれ!! どこのどの辺が安全でクリーンな戦場だちくしょう!!」 」
爆乳美人上官フローレイティアは、今日も今日とて、ごく自然に戦地留学生クウェンサーと貴族なのに下っ端軍人ヘイヴィアの二人をオブジェクトだらけの戦場に放り込んでいた。
相変わらずな二人の敵は、以前出会った「おほほ」と笑うあのエリート女と、そいつが駆るオブジェクト。ヤバそうな予感バリバリで、しかもなぜか我らがお姫様の機嫌も悪く……これが恋愛問題のこじれってやつなのか?
レビュー
オブジェクトとのバトル×バトル×バトル!!
今回も400頁超の大ボリュームでお届けされる、巨大兵器とバカ二人のガチバトル。
これまでとは趣向をかえて、短編連作のような構成になっている。
三つのオブジェクトとの連戦にバカ達は今度こそ死ぬか?!
「生身のバカが、超巨大兵器をぶっ潰す」というこのシリーズの最大の持ち味がちと薄かった。
より一層SF度が上がったものの、その分荒唐無稽度が落ちてしまった印象。
バカが無茶苦茶なレベル差を覆してオブジェクトを破壊するというより、
オブジェクト対オブジェクトの戦いの最後の一押しな役回りになっていた。
スケールの大きさとテンションの高さは相変わらずだったが、上記の点が少々残念だった。
連戦モードだったのでバカが目立つシーンも少なかったかな。
ごめんねツーちゃん ‐1/14569‐
あらすじ
イブ。それはツバサが永遠に無垢でいるために生まれた人格。「ツバサは私がいないとダメなのよ」―ツバサとイブ。二人の女の子との出会いは、いつもの気怠い夏を、忘れられないものにしてくれた。それは、少しばかりややこしく、少しばかり哀しい気分にさせられるものではあったけれど。高2の夏。まぎれもなく、オレは、1/14569の彼女と恋をした。第22回ファンタジア大賞“銀賞”受賞作。新しい青春小説はファンタジア文庫から生まれる。
レビュー
14569。この数字を聞いて一体何を想像するだろうか。
ファンタジア大賞「銀賞」受賞作。
「カナクのキセキ」や「ヘルカム!」と同時期の受賞作ということになる。
他の受賞作と比べるとファンタジア文庫としては多少異色。
普通の男子高校生と、特異な性質を持った女子高生の恋のお話。
異色というよりプレーンな恋愛ものといった方が正しいか。
何が1/14569なのかはあらすじとか読めばすぐにわかると思うが、あまり事前情報を入れずに読んだ方が面白いかも。
人は人を好きになるとき、外見と中身を完璧に分けて考えることが出来るのだろうか。
ちょっとそんなことを考えさせられたりした。
これといって特筆するようなポイントは無いけれど、普通に楽しめた。
犬とハサミは使いよう2
あらすじ
強盗に殺され犬になって蘇った俺。紆余曲折の末、今は大人気作家秋山忍こと夏野霧姫の飼い犬をやっている。ドSな夏野のハサミの強襲に怯える日々だが、本は読める、なら全く問題ない。だがそんな日常を、奇怪な変態が襲撃! って担当編集なの!? しかも夏野がスランプだって!? 脱スランプのため、何故か街に出没する通り魔を退治しに行くと言い出す夏野、しかもその事件の陰に、俺の妹、春海円香の影がちらつき――。ミステリ系不条理コメディ、好評第2弾!!
レビュー
ドS作家と読書狂の犬の爆笑コメディ第2弾!
早々に出てきた第12回えんため大賞「優秀賞」受賞作の第2巻。
勢いはそのままに笑いのクオリティーは向上。
基本的にニヤニヤ笑いながら読む羽目になるのだが、定期的に空気を入れ過ぎた風船が爆発するかの如く吹き出す羽目に。
ニヤニヤニヤニヤ・・・バフッ!・・・ニヤニヤニヤニヤ・・・バフッ!・・・。明らかに変質者じゃないか。
読者を変質者たらしめるラノベとはなんてけしからん。
バカテスといい、犬ハサ(と略すらしい)といい、読む環境に気をつけねばいらぬ風評被害を被ることになる。
スランプ解決のために通り魔退治をすることになった一人と一匹。
ドM編集者や病んだ妹などの新キャラも笑いに幅を与えてくれる重要ファクター。
事件は思わぬ展開を見せ、想像の斜め上をいくオチが待っている?!
本さえ読めれば命は要らないという犬の一貫した想いに漢を感じざるを得ない。
バカだけど。
時折謎のデレ方をする夏野とのやりとりも抜群のキレを維持。夫婦漫才か。
ただ、1巻の時もそうだったけど、突飛なバトルシーンに違和感。
要るのかこのシーンは?
今後の改善して欲しい点といえばその位。
バカテスの如く今後も安定飛行を望む。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない(8)
あらすじ
「私と付き合ってください」
新たな局面を迎えた恋愛模様。
そして──
「きょうちゃん。──── おこるよ?」
「貴様等、そこに並んで正座しろ!」
「恋人ができたそうですね、お兄さん」
俺の全方位土下座外交が幕を開けた。
幼馴染みに三年ぶりのマジギレ予告をされたり、あやせに火あぶりにされかけたり──
「五更日向です。── こっちは末っ子の珠希」
新たな登場人物も加わって高校生活最後の夏休みは毎日が大騒動だ。
そんなある日、黒猫が 『運命の記述』 と題された予言書を見せてきて……?
予言書に秘められた少女の“願い”とは!?
兄妹の関係にも、一大転機が訪れる、人気シリーズ第8弾!
レビュー
俺の黒猫がこんなに京介にデレるわけがない!!!
黒猫様に私のピュア(?)なハートは刺激されまくり。
何この可愛い女の子。
萌え死があと一歩のところまで近づいてきていた。正直危なかった。
ああ、高校生の初心な恋愛が伝わってくる。
奴らの青春っぷりに自分の高校時代の気持ちを無理矢理喚起させられた。
『「俺の」彼女』って単語にウキウキする京介への共感度(シンクロ率)はもの凄かった。
未だにその単語にとてつもない憧憬の念がある駄目人間ならではなのだろうか。
とはいえ、色々と枯渇気味の駄目人間にも失われた青春自体の潤いを思い出させてくれる。
リアルに彼女に引くような場面とか、上手くいかない所とか、恋愛の難しい所の表現も絶妙。
読者のテンションは上げられ、落とされ、また上げられ。ストーリーの起伏が素晴らしい。
ここまで培ってきた京介・桐乃兄妹の関係にも決定的な展開があり、シリーズの節目となることは確実。
話の最終的なオチは、溢れんばかりのキャラへの愛から個人的には諸手を挙げて「良かった!」とは言えない。
落としどころとしては確かに「巧い」とは思えるところであるが、納得はできない。
ここまでストーリーに執着できる作品はもはや殆ど無い。
青い恋愛に胸が高鳴ったり、こっちまで凹まされたり、読むのにエネルギーが必要な本だった。
人類は衰退しました⑥(6)
あらすじ
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。季節は冬。祖父の趣味サークル「大砲倶楽部」の一員として南に向かったわたしは、「鳥人類コンテスト」の安全対策係として、岬に集まった各チームの機体をチェックすることに。思うに……みなさん、死にそうです。クスノキの里を同類誌のイベント会場にしてしまった友人Yと、白い部屋に密室監禁! さて、どちらが危ない!? ──記録、それは儚い。
レビュー
そらをじゆうにとびたいので?
うんと言った瞬間どんな飛ばされ方するかわからない妖精さんクオリティーは今回も健在。
鳥人間ならぬ「鳥人類コンテスト」の安全対策係を命じられたモノの、参加者全員死にそうな装備ばかり。
妖精さんの不思議アイテムを駆使してなんとか死人を出さずにコンテストを終わらせなければ!
そんなお話と、妖精さん謹製同人誌の世界に軟禁されてしまうお話の二本立て。
もはやいつも通り過ぎて語ることが無い。
安心のロミオクオリティー。妖精さんのキレは変わらず。
個人的には「キノの旅」と同じような扱いになってきた。
巻を重ねても何か変わるわけでもないので、頭からっぽのまま楽しめばいい。
脳みそに妖精さんが住み着かないようにだけ注意しつつ。
神さまのいない日曜日Ⅳ
あらすじ
神様は月曜日に世界を作り、日曜日に世界を捨てた。そして最後の奇跡と呼ばれる“墓守”が生まれた。それが、15年前。消えた傷持ちを追い、霧の街へ迷い込んだアイ。人っ子一人、死者一人いない奇妙な街で、アイは雲を突き抜けて鎮座する奇妙な塔に遭遇する。“世界塔”―人々の願いを、叶える場所。アイは、アリスやユリー、ディーらと共に、傷持ちの手がかりを追いながら、世界塔へと足を踏み入れるのだが―?死者を埋められない墓守。妹のために石を積む兄。願いが叶うという塔で“最後の奇跡”墓守アイが願う夢は―。
レビュー
育児放棄の傷持ちを追って辿り着いた先はなんと!?
学園生活から一転、育児放棄の母を地の果てまで追いかける話に。
まだ4巻だというのに場面の変遷が目まぐるしいことこの上ない。
傷持ちを追いかけるアイ達ご一行は、「人々の願いを叶える」という世界塔(ザ・タワー)に辿り着く。
入った者の願いを叶えるというこの塔では、墓守と死者が共存していたりと奇妙なことが起こっていた。
傷持ちを追って登る世界塔は不思議がいっぱい、夢(?)いっぱい。
どこまでいっても辿り着けないてっぺんと、階ごとに起こる事象は謎だらけ。
この塔の行き着く先は一体・・・。
シリアスな所にグサッとギャグを突っ込んでくるセンスは変わらず素晴らしい。
暗い話一辺倒にならないのはこのセンスのおかげ。凄いと思います、はい。
さて、塔での一騒動が終わった後はどうやらまた舞台が戻るらしい。
どこに戻るかは読んでみてのお楽しみ(?)
シリーズの向かう方向は未だ掴めず。
GOSICK VII(7)‐ゴシック・薔薇色の人生‐
あらすじ
クリスマス直前の気分に華やぐ聖マルグリット学園。だが、外の世界では「2度目の嵐」が迫りつつあった。父ブロワ侯爵によって首都ソヴレムに召喚されたヴィクトリカ、心配で後を追う一弥。ソヴュール王国最大のスキャンダルにして謎、王妃ココ=ローズの首なし死体事件に挑むふたりの侯爵に謀略が……。豪華劇場に過去と現在が交錯し、大いなる罪が暴かれたとき、世界はその様相を変える。ヴィクトリカと一弥の運命は!?
レビュー
ソヴュールの最大の闇に灰色狼は呑み込まれていく。
実に4年ぶりの新刊。正直もう出ないものと思っていた。
今後の刊行予定から推測するに、「とらドラ!」のようにアニメ・小説同時完結となったりするのだろうか。
ソヴュール王国最大の謎にして闇である王妃ココ・ローズ殺害事件。
ヴィクトリカはオカルト省長官である父・ブロア侯爵に王妃殺害事件の謎解きを命じられる。
王妃殺害という国家の暗部に挑むヴィクトリカ。
何故今になって24年前の王妃殺害の秘密を暴くことになったのか、その事件に隠された真実とは。
「2度目の嵐」が迫る中、いよいよきな臭い展開になってきた。
国家の闇に触れた灰色狼のヴィクトリカと、立場上は単なる留学生の九城。
二人は灰色狼の村でくだされた神託の通りの運命を辿ることになるのか。
本編はあと1冊で完結するらしい。注目せざるをえない。
アニメの進行と上手い具合にリンクしていた。忘れていた所をアニメで補完できたのが大きい。
アニメ15話まで見てから本巻を読めば理解度は一層上がることだろう。
GOSICKsIII(3) -ゴシックエス・秋の花の思い出-
あらすじ
今回は一弥とヴィクトリカの秋の物語が描かれる。一弥もヴィクトリカも、時の間に埋もれた人々の息吹や物語に思いをはせ、そして激動の時代にいきる自分たちの姿を重ね合わせる。二人に訪れるつかの間の安息。学園から連れ去られたヴィクトリカを、ようやく取り戻した少年・一弥の思い。歴史の中で、自らがある重要な役割を与えられていると知りながら、運命に抗おうとする少女・ヴィクトリカ。二人の秋のエピソードを、噛みしめるように味わって下さい。
レビュー
恐ろしい吸引力。
あまりに新刊が出ないので積んでいることすら忘れていた。
新刊読もうと思ってたら4年前の外伝が発掘されてしまったのでまずこっちから・・・
元の「富士見ミステリー文庫」はすでに廃刊。角川で発売されてるってことは・・・ラノベじゃないのか?もう・・・
いや、アニメ化されてるし、ラノベだ。うん。
しかし、武田日向先生のイラスト引っこ抜いてどうするんだ!と声を大にして言いたい。
この本の発売後に桜庭先生が直木賞受賞したりして、一般の人にも名が通るようになられたので角川文庫になったのだろう。
妥当な判断かとも思いつつ、イラストも含めた初期からのGOSICKファンとしては残念。
(イラスト付きは角川ビーンズ文庫で発売されるようだか)
なのでレビュー画像だけは富士見ファンタジア版を掲載する。
さてさて本題のレビューに入ろう。
先が気になって本が置けなくなってしまった。
謎が明らかになるまでは読み止めることができない。
そんな本格ミステリーを読んだ時のような感覚に襲われた。
ゴシックエスは短編集で、1話が約40Pの全5話構成。
つまり40P毎に謎かけと謎解きが展開される。
この軽快なペースが心地よく、読書が止まらなくなった。
謎が解かれるまでと読んでいたら、次の謎が気になり、その謎が解かれるまで…という無限ループ。
ミステリー系の話でここまで引き込まれたのは久方ぶり。
大変有意義な読書タイムを過ごすことが出来た。時間を忘れるとはまさにこのこと。
2011年4月購入本
電撃文庫
・電波女と青春男(8)
・電波女と青春男 SF(すこしふしぎ)版
・ソードアート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ
・帰宅部のエースくん。
・なぞらえ屋秘匿文書 桃と鬼の轍
GA文庫
・這いよれ!ニャル子さん7
ファミ通文庫
・半熟作家と"文学少女"な編集者【ミューズ】
・犬とハサミは使いよう2
角川スニーカー文庫
・サクラダリセット5 ONE HAND EDEN
角川文庫
・GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生‐
2011年4月の購入本は10冊。
巡航速度を維持しつつGWで積本消化ちゅう。
GWも折り返しとなりましたが、宣言通りなんとか毎日更新続行中。
あと3日となりますが引き続きお楽しみにして頂ければ幸い。
ブログランキングを一押しして頂けるとモチベーション上がりますm(_ _)m
ソードアート・オンライン5 ファントム・バレット
あらすじ
《SAO》 事件から一年が経った。
ある日。キリトは、総務省 《仮想課》 の菊岡誠二郎から奇妙な依頼を受ける。
銃と鋼鉄のVRMMO 《ガンゲイル・オンライン》 で突如発生した怪現象 《死銃》 事件。漆黒の銃を持つ謎のアバターに撃たれたプレイヤーは、実際に現実世界でも 《死》 に至る……。
その不気味な事件の捜査を断り切れなかったキリトは、《仮想世界》 が 《現実世界》 へ物理的に影響を及ぼすことに疑いを抱きつつも、《GGO》 へとログインする。
《死銃》 の手懸かりを掴むべく、不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。そんな彼に救いの手をさしのべたのは、長大なライフル 《へカートII》 を愛用するスナイパーの少女・シノンだった。
彼女の力を借りたキリトは、自らが 《死銃》 のターゲットとなるべく、全ガンナーの頂点たる対人トーナメント 《バレットオブバレッツ》 に挑む……!!
レビュー
新たなVRMMOを舞台に新章突入!
銃火器が戦いを支配するVRMMO、唯一プロのプレイヤーが居るシビアなゲーム世界、ガンゲイル・オンライン(GGO)。
そのGGOで、謎のアバターに撃たれたプレイヤーが現実でも死亡する事象が発生。
果たしてこれは事件なのか事故なのか。真相を調査すべく、キリトがGGOの世界へ飛び込む。
さて・・・銃と鋼鉄の世界GGO。
剣と魔法のファンタジー世界だったSAOやALOとは全くことなる世界観。
しかもキリトは「銃は苦手」と来た。
どうなるものかと思いきや、銃の世界でもまさかのキリト無双発動。
銃弾飛び交うバトルフィールドなのに、剣を振り回して敵を屠るとか男前すぎ。
飛んできた銃弾はじくとか五右衛門以外の何者でもない。
しっかりニューヒロイン・シノンもたらし込んで・・・アスナを泣かせることだけはしないでおくれ。
自分には関係ないと他人事スタンスだったキリトだが、調査を進めるうちにSAO時代の暗い記憶が甦ることになる。
SAOで心に深い傷を負ったキリトと、現実世界で心に傷を負ったシノンが出会い、お互いにどんな影響を与えるのか。
見逃せないポイントは多い。
クロノ×セクス×コンプレックス(3)
あらすじ
ついに三村とミムラが対面!? 司書の正体とは── !?
念願の現代日本に帰ったミムラ。だが幼なじみの小町は存在ごと消え、故郷の姿は変わり果てていた。意気消沈して学園に戻ったミムラのためにオリンピアが使った時間魔法で、学園に起こる大パニック。そしてミムラは、時間の改変がもたらす恐ろしい結果、そして 「小町を忘れるな」 という司書の言葉の意味を知ることになる。司書の正体とは──!
レビュー
三村とミムラが遂に邂逅。
故郷から泣きながら帰還したミムラに起こった出来事と、その後。
想像以上にハードな変貌を遂げてしまった故郷と、居なくなった幼なじみ。
クロックバードに戻ったミムラは小町を助ける糸口を探して奔走する。
ミムラの為にとオリンピアが張り切った結果、クロックバードも大変なことになって一騒動。
小町という自分を繋ぎ止めてくれる存在を失ったミムラの絶望が伝わってくる。
壁井先生らしい展開が全開になってきた。
いやー重い。だがそれが良い。
司書の正体とは?なんて思わせぶりなあらすじになっているが、結局明確にはされず。
とはいえ、皆さんの想像通りの人物なんだろう。予想外す方がありえないか。
さて、4巻以降どんな展開になるのかわからなくなってきた。
楽しみに待とう。
ブラック・ラグーン(2)罪深き魔術師の哀歌
あらすじ
月刊サンデーGX連載中のガンアクションコミック『ブラック・ラグーン』を、超人気シナリオライター・虚淵玄が完全オリジナルで小説化する、大ヒット企画の第二弾! 舞台は再び、無法者の街・ロアナプラ──その、世界的にも例を見ない悪の「緩衝地帯」で、CIAが、遂行しようとする秘密計画とは?さらに、中国マフィアはどう動き、 ラグーン商会は何を狙う? 一つの事件を様々なキャラクターの視点から描き出す、まさに外伝ならではの胸躍る構成。『ブラック・ラグーン』オールスターズのそろい踏みを堪能せよ!!
レビュー
ブラック・ラグーンの完璧なノベライズ。
「魔法少女まどか☆マギカ」で話題沸騰中の虚淵玄氏が手がける、ブラック・ラグーン外伝第二弾。
原作の雰囲気を120%再現。あれ、原作超えちゃってる。
外伝1巻のレビューと同じくなるが、文という媒体でしか表現できない独特の雰囲気がたまらない。
血と銃弾と陰謀に溢れかえったロアナプラという舞台を使いこなせるのは、虚淵玄しか居ないだろう。
いやはや見事な出来だった。
お話はロベルタが暴れ回ったメイド戦争の少し後。
ロアナプラを舞台にCIAとNSAの策謀がぶつかり合う。
サブタイトルにある「魔術師」。
魔術師を名乗るけったいな輩と言えばあのロットンさんなわけだが、もちろん大活躍。
…想像の斜め上方面で。
彼はブラック・ラグーン最大の謎かもしれない。ある意味凄い男だ。
いつも通り張の旦那は渋格好いいし、バラライカ姐さんは怖い。
この二人の底の知れ無さが語られてるのも小説ならでは。
ロックの若さというか危うさが語られていたが、原作も含めて彼になにか起こるのだろうか。
今回もおいしく癖のあるラグーン外伝を楽しめた。
とある飛空士への恋歌5
あらすじ
王道スカイ・オペラ、堂々完結!
イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで──」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……!? そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる! 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!
レビュー
この本に出会えて幸せだった。
こんなに満ち足りた気持ちになったのは、それこそ「追憶」以来かもしれない。
いや、「追憶」を含むストーリーを積み重ねてきた分、より威力は大きかったと言える。
読了後いつまで経っても飛空士の「恋歌」が止まない。
この本を読まないことは損だ、と言い切らせてもらおう。
それ程に、私はこの本に心を揺さぶられた、感動を与えてもらった。
具体的な言葉でレビューできない状況に陥っている。これではレビュアー失格だ…。
しかし最終巻は全てが見所であり、少しを語ることでこれから読む方に余計な印象を与えることは決して出来ない。
ここがいい、そこがいいという事じゃない。この1冊がこれまでの「飛空士シリーズ」の集大成。
散っていった命があった、護られ残された命があった。
響き渡った恋の歌があった、歌うことも出来ない恋の歌があった。
少年少女たちの旅がいかにして終わり、そして旅の後をどう生きていくのかを心に刻みつけて欲しい。
蒼穹の空を舞台にした物語は幕を閉じた。
だけれど、目を閉じるとカルエル達が飛んでいた空が綺麗に思い描ける。
未だ空に持って行かれた気持ちが帰ってこない。
この本から受けたトラウマの様なこの衝撃をどうして良いのかわからない。