影≒光 シャドウ・ライト
あらすじ
陰陽術師、双子の姉弟の絆! 新人賞佳作受賞!
陰陽師の家系に生まれた星之宮光輝と御影という双子。姉の御影は陰陽術師としての呪力を人並み以上に持ち、弟の光輝は逆にまったく持たず、当主の父から『能無し』と罵られて育った。父を見返し姉と共に働くため光輝はイギリスに旅立ち、『精霊術』を身につけ帰国した。
レビュー
なんともラノベらしい傑作。
二年前のスーパーダッシュ文庫新人賞佳作作品。
どこかのレビューサイトさんで好評だったことは覚えていたものの手に取る機会を逸し、最近ふと気になり購入してみた。
結論。もっと早く手に取っておけばよかった・・・。
これは失策だった。だってこの本面白い。
路線的には異能バトルアクション。
あんまり陰陽師は関係なかったような。。。
コンプレックスを抱えた主人公、ブラコンな姉貴、ひたすら優しい母に、めがっさ厳しい父親。
キャラクターは王道というか基本に忠実な典型的な人達ばかり。
これといって飛び出した連中は居ないものの、いかにもラノベな雰囲気はかなり好き。
光輝は親から冷たくされてぐれちゃった一昔前の主人公タイプ。
親父と仲が悪くて、家族の女性陣にはかなり愛されてるとかどんだけー。
ステレオタイプと切って捨てられることもありそうだが、やはり王道には王道の良さもある。
光輝がそれほどに甘ちゃんではなく、ストイックな奴でもあるから尚良し。
個人的には第三話が悲しかったがぐっときた。
どうにも気になったのは御影さんの超ブラコンっぷり。駄目姉全開。
いや、別にいいんですが、血の繋がった親類に魅力を全く感じない私としては他のヒロイン希望。
最後に。
展開自体は盛り上がりも十分なんだが、締めのロジックというか台詞周りにいまいち説得力がない。
ビシッと締めようとしてるんだけど、一般論な答えが目に付いてしまった。
★五つ付けられない理由がそこにある。
あと、親父のツンデレっぷりは萌える。
生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1
あらすじ
碧陽学園生徒会室。そこは選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園。くり広げられるのは愛と戦いの日々…? 少年よいざ進まん、妄想という名の大海原を! ゆるくてポップな非日常系学園ストーリー登場!!
レビュー
ファンタジア文庫史上、まれに見る妄想!
って帯に書いてある。あながち間違いじゃない。
Alles ist im Wandelさんでのレビューが気になって読んでみた。
表紙を見て貰うと解るように、富士見ファンタジアとしてはかなり冒険してる。
コウさんのレビューが無かったら表紙で切ってたこと間違いなし。
しかし中身はもっと冒険していた。
初っぱなから飛び出す怒濤のパロネタ。パロというより思いっきり作品名挙げてるし…。
同じ角川グループだからいいかと思ってたら、平気で集英社の某忍者漫画とか出してるし。
やるな富士見書房…。いつからこんなにアグレッシブに。
内容は男1:女4な生徒会の面々による雑談、雑談、雑談な連作短編。
ほのぼのとしてます。雑談が唐突にそのベクトルを換えておかしな方面に向かっていくのが面白い。
作品としてのベクトルが「バカテスト」に近いが、ほのぼの成分はこちらの方が上。
「バカテスト」は馬鹿に特化してて、こっちはほんの少しシリアスな成分がまじっている。
笑いという観点だと「バカテスト」に軍配が上がるが、「生徒会」の方にも独自の魅力がしっかりある。
生徒会の面々は何だかんだと仲が良くて、5人の絆がしっかり読み取れる。
バカな会話の端々にも何か愛情みたいなのを感じることができるのが良い。
仲が良いからズバッと言いたいことが言える、みたいな。
最後に意外なギミックも用意されていて、一冊の本としての完成度も高かった。
二巻の刊行も決定してるらしい。
これは楽しみなシリーズが1つ増えた。
我が家のお稲荷さま。⑥(6)
あらすじ
美貌の霊狐・クーと高上家の面々が紡ぐ、ほのぼのドラマ!
冬休みのある日。 売れないケーキ屋さんを繁盛させるため、超ミニ丈のワンピースに身を包み、客引きをするクーとコウ。
一方、昇は見知らぬ黒ずくめの人物に出会い、鈴ノ瀬の町を案内していた……。
それぞれの関係なさそうな出来事が、意外な事件を呼ぶ!?
レビュー
これぞ「お稲荷さま」な一冊。
醸し出す空気感が絶妙なのほほんストーリー。
やっと帰ってきた本来の雰囲気。
高上家と愉快な仲間たちは今日も元気。
所々に挿入される高上家族の何気ないやりとりがとても良い。
ハーゲンダッツを巡る会話に思わずニヤリ。
日常のワンシーンの切り取り方が本当に上手い。
なにやら色々なことがあっても、「されど世は事も無し」。
何だかんだで鈴ノ瀬は平和なのだった。今回もそんなお話。
最初から最後までゆるーい流れ。
だからこそ心が癒される。
クーが「女の姿の方が何かと得をする」と悟ったらしい。
それは正解!だからずっと女の姿に変化しつづけて下さい。
コウちゃんがミニスカや家政婦姿になってみたりと、サービスカットも満載。
色んな方面から満足できた。
カレイドスコープのむこうがわ2
あらすじ
もっと早く、この気持ちに気づいていればよかったのに……。
幽霊や土地神など、普通の人には見えないモノが見える 『同調者』の神田道弘は、美人だけど乱暴な祓い師・淑乃さんにその能力を買われ、半ば無理矢理、アシスタントをやらされている高校生。
彼らのもとに持ち込まれるのは、物忘れの激しい老人の幽霊や、心霊写真しか撮れない写真部員など、おかしな事件ばかり。
やがてその能力をガールフレンドの井上志帆さんに隠している事に罪悪感を感じ始めた道弘くんは、全てを告白する決意を固めるのですが……。
レビュー
染みいる。
文に浸透力がある。
表現に技巧があるわけでも、独特な形をとっているわけでもない。
なのに登場人物達の心情が染みいってくる。
心を震わせてくれる。
死んだ人達の、家族への愛情、心残りの念、残してきた者への気持ち…
三木先生は切ない感情を書かせたら凄い。
シゴフミもこれくらいのクオリティーで書いてくれれば。。。
1巻よりも恋愛要素がふくらみ…というかこれは完全に恋愛小説。
道弘と井上さんのぎこちない関係にやきもきしつつ、可愛らしい井上さんに悶える。
「同調」という能力の立ち位置も最適といえる。
青春してるぞー!という青臭さがたまらない。
お互いを思い揺れ動く二人の心情は遙か昔に忘れてしまった何かを刺激してくる。
一気に読み進めてふと時計を見たら15分しか進んでなくてもの凄く驚いた。
それくらいに物語に集中していた。
最終話ではこれまでずっと迷ってきたことが裏目に出てしまう。
最後の最後でこの展開は悲しすぎる、とも思える。
だけどこれは二人の絆をより深くするための試練なんだ。そう考えることにする。
1巻のレビューでも書いたが、当初は期待しないで手に取った本だった。
こんな掘り出し物があるからラノベはやめられない。
正直なところこのシリーズの続きをまだまだ読みたい。
でも「これに続きを書くのは野暮」と判断した著者の判断もわかる。
物語は読者に委ねられて幕を閉じた。
だからこの作品で得られた気持ちを忘れずに居たい。
マリア様がみてる フレーム オブ マインド
あらすじ
思い出がいっぱいの短編集!
写真の整理をしていた蔦子。部室が手狭なため、祐巳と薔薇の館で写真を見ていると、由乃や志摩子も現れて…!? 雑誌『cobalt』に掲載された7つのストーリーと、書き下ろし2編を収録。
レビュー
もう慣れた。
謀ったかのようなタイミングの短編集。
このシリーズはありえないくらい安定した刊行ペースを維持してはいるが、
ありえないほど不安定な物語の進み方をする。
本棚の端に積んでたせいですっかり存在を忘れ、「薔薇の花かんむり」よりあとのレビューになってしまった。
一歩進んで下がらないまでも、一休み。
この作品のレビュー書くたびに同じようなことで文句言ってる気がする…
大人気シリーズを終わらせまいとする集英社の思惑が露骨に出ているのは間違いない。
さて、いい加減作品のレビューを。
表紙絵やフレームオブマインドのサブタイから解るように蔦子さんがメイン。
…という訳でも別段無かった。
しかし久々に「マリみて読んだ」と思えるエピソード集。
ダイレクトに少女たちの切ない感情が伝わってくる。
今は遠い記憶の中にあるマリみてという作品への想いが蘇ってきた。
最近足りなかったのは今回のようなちょっと切ない青春ストーリー。
うむ、これぞリリアン!
閉じた楽園、乙女の園。純粋培養お嬢様製造工場フル稼働。
個人的には四月のデジャブ、不器用姫がより好み。
最後に笙子ちゃんにガッツリ持って行かれた感が強いが、全然問題ない。
というか妹軍団の中で笙子ちゃんが一番可愛いと思うのは私だけだろうか。
神様のメモ帳2
あらすじ
春休みのある日、NEET探偵事務所に駆け込んできた依頼主は、テンションの高い女の子だった。
失踪した彼女の父親が残したバッグに入っていたのは、二億円もの大金。
彼女の依頼は、「お父さんを、助けて」
ひきこもりパジャマ少女の《ニート探偵》ことアリスとその助手である僕は、ニート探偵団のテツ先輩、少佐、ヒロさんの力も借りて調査を始める。街の不良を束ねる四代目まで巻き込んで、やがて事件は思わぬ方向へと転がり始めるが――。
情けなくておかしくて、だけどほんの少し勇気がでる、青春ニートティーン・ストーリー第2弾。
レビュー
ニート探偵再び!
シリーズ化されて嬉しい限り。
そして期待を裏切らない見事な一品だった。
2億円を抱えてアリスの元へ飛び込んできた少女・メオ。
彼女の依頼を受けて動き出すニート探偵一味(?)の活躍やいかに?
兎に角キャラクターが魅力的な作品であると思う。
アリス、ラーメンはなまるに集うニート達、メオ、ハロー・コーポのお姉さん達。
どのキャラクターも存在感があって、一人一人に好感が持てる。
今回では特にメオが可愛い。ぶっちぎりの嫁にしたい候補No.1。
マリ見ての由乃さんに似てるのがちょっち気にはなるけど、そんなの些細なこと。
とりあえず二巻で輝いていたキャラランキング
四代目>少佐>ヒロさん>メオ>アリス>>>鳴海
うほっΣ('A`)我が嫁メオを差し置いてニートが上位独占!
死ぬほど悪い目つきの挿絵や、兄弟盃をかわすシーン。四代目が目白押しなのだから仕方ない。
少佐は使い所の間違った超絶技術力を発揮するし、ヒロさんは相変わらずヒモだし。
はなまるに集まるニートはホント凄い奴らばかりだ。上位独占も頷ける。
テツ先輩だけなんか影が薄かったような気がするが、まあいいか。
鳴海は卑屈になりすぎてるきらいが強すぎてちょっとマイナスポイントだった。
全体的な盛り上がりは一巻の方がよかったが、キャラが固まってきたからかより完成度は上がっていると思う。
とてもよく練られている作品である。リアルな描写でシーンがすんなり頭に入ってくる。
最近の電撃の中でもトップクラスの練度の作品ではなかろうか。
非常に満足な一冊だった。
マリア様がみてる 薔薇の花かんむり
あらすじ
祐巳と瞳子、ロザリオの授受!!
半日デートの翌日、祐巳と瞳子は祥子の立ち会いのもとロザリオの授受をする。ふたりが姉妹になったことは、りりあんかわら版にも載ることに。薔薇の館で山百合会の皆に発表するが、祥子の姿はなく…!?
レビュー
やっとくっついたー!
長い、それはそれは長い戦いにようやく終止符が。
一体何冊分引っ張ったのかを数えようと思ったが、不毛なのでやめた。
くっつくのは随分前から分かり切っていたことだから、別段驚かず。
ただ、瞳子が祐巳のことを「お姉さま」ってよんだり、祐巳が瞳子を呼び捨てで呼んだり、そんな小さなことにグラリときた。
でも一番破壊力があったのは乃梨子のあのシーン。
ホント彼女はいい娘だ。
おかげで紅薔薇さん家のお話なのに、白薔薇妹に結構がっつり持って行かれた感が。。。
ともかくずっと持ち越しだった懸案がようやく解決。
あとは三年生の卒業話を待つのみか。
すでにシリーズ自体が惰性となりつつあるので、祥子様・令様ご卒業の折になにかテコ入れをしていただきたい。
最後に。
ドリル無し瞳子は良いと思うのだが、果たしてそれは瞳子と呼べるのか。
シゴフミ2~Stories of Last Letter~
あらすじ
心に灯る優しい光――。 亡き人の手紙を届ける小さな奇跡の物語。
言葉をしゃべる不思議な杖を持ち、レトロな郵便配達夫のような制服に身を包んだ少女・文伽が届けるのは、ささやかではあるけれど、かたちある、確かな奇跡―― 「シゴフミ」。
それは強い想いを残して逝った人が、その想いを伝えることのできる最後の手紙……。
レビュー
良くはなってるんだけど…。
どうにも歯切れがよくないレビューの始まりとなってしまった。
一巻よりは面白いと思う。
でも相変わらずインパクト不足が否めない。
死んだ者の未練、心残りといったものを感じ取ることができない。
残された者に焦点を当てているのはいいんだが、シゴフミの差出人の影が薄すぎる。
これではシゴフミに託された「想い」とやらは読者には伝わらないと思う。
今回の第1話と3話はシゴフミに振り回されて痛い目みてるだけなストーリーだし…。
第2話の猫の話はこれまでで一番良い出来だった。
これは軽く琴線に触れた。家族に対する猫の想いは確かに伝わってきた。
でもこの話ではシゴフミ使われてないんだよな…。どうしようもない。
「手紙」という手段の使い方を改善できたらもっと良い作品になるのではないだろうか。
死後「文」を上手く使いこなせてない印象。
さて、アニメ第二話を見てみたが小説からの乖離が甚だしい。
原作・湯澤友楼って誰なんだろう。。。
小説は微妙だけれど、アニメの独特の雰囲気は一見の価値あり。
作画も良いし、ストーリーも「死後文」という要素がしっかり活きている。
正直期待していなかっただけに、意外な当たりを引いて嬉しい。
キャストみたら副監督が桜美かつし氏。アニメ月姫でどえらい改変をしちゃった人。
かつて新ゲッターな伝説を作った人がシゴフミでリベンジしてくれるだろうか。
小説読むのが大変なようなら、アニメだけでも見てはどうだろう。
小説・秒速5センチメートル
あらすじ
気鋭の映像作家・新海誠が、最新作である連作短編アニメーションを自ら初の小説化!
“どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。”
【第一話】東京の小学校に通う遠野貴樹(たかき)と篠原明里(あかり)。二人は常に一緒にいたが、先に明里が転校し、その後貴樹も転校することに。遠く離れ離れになってしまう前に再会を願うふたり。彼らのうえで永遠と瞬間が交錯し、ふりそそぐ。
【第二話】種子島に暮らす高校三年生の澄田花苗(かなえ)の心を占めているのは、東京から転校して来た貴樹の存在。花苗にとって彼はいちばん身近で遠い憧れ。切なく揺れる思いを抱えながら、花苗にとっての夏が過ぎてゆく。
【第三話】貴樹は大学進学のため上京し、いくつかの恋をし、またそれらを失った。卒業後、ソフトウェア開発企業に就職した貴樹は、仕事で出会った水野理沙(りさ)に惹かれていくが……。
レビュー
あの感動を文章でもう一度。
連作短編アニメーションとして単館上映された「秒速5センチメートル」の監督・新海誠によるセルフノベライズ。
本編は全部あわせても1時間程と決して長くない。
その1時間程では語りきれなかった部分の補完的な内容とも言える。
多少原作ありきな内容ではある。
私は原作の印象が強く心に残ったままこの本を読んだ為、「原作を知らなくても楽しめる」かどうかの判断は出来ない。
しかし、原作も1時間程しかないのでレンタルでいいから一度は見て欲しい。
あそこまで綺麗な画像を見ることはそうそう出来ないと思う。
さて、内容はというと基本的には映像では語れない部分の描写が主。
それは心情であったり、とあるシーンにいたる背景であったり、原作では語られていない裏設定だったり。
一つ驚いたのは、文章表現が綺麗だということ。
多少事実の羅列っぽい書き方ではあるけれど、不思議と書かれている場面、情景が頭に浮かぶ。
プロじゃない方がこういうのを書くと素人臭さがにじみ出てしまうものだが、今作ではそういうのは皆無。
初小説作品なんて帯に書いてあったが、そうは思えない厚みを文に感じる。
一つ一つの文がとても丁寧で独特の味があるのだ。それは映像作品にも現れている。
小説版の第三話は原作とは少し乖離していて、内容的には小説版の方が好きだった。
また、小説版を読むことで原作のラストシーンの意味がわかることからも一読の価値あり。
原作を見たことがある人は必ず読むべき本。
見たことがない人は…原作を見てから必ず読みましょう。
人類は衰退しました
あらすじ
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は”妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の“調停官”となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なことだろうとこの職を選んだわたし。さっそく妖精さんたちのもとへ挨拶に出向いたのですが……。
田中ロミオが長年の経験と風聞を駆使して挑む、全方位対象の新境地。ご意見ご感想、お待ちしています!
レビュー
余す所無く楽しめる、最強の一冊。
ゲームのシナリオライターとして有名な田中ロミオ氏の初ライトノベル。
彼が手がけたゲームは未プレイなので、実質この作品が初ロミオ。
正直ロミオ嘗めてた。本当に申し訳ない。
これはものごっつい作品だ。
現在の人類として地球に君臨する“妖精さん”、旧人類と成り下がった人間。
・・・この設定別にどうでもいいな。
出てくる奴らの気の抜け方にこちらの気持ちは和みっぱなし。
とにかく会話のやりとりが楽しい。
ロミオさんは脳の回路の組まれ方が常人と違うのだと思い知らされた。
会話一つ一つに予想外の要素が紛れ込んでくる。
その度に笑いが止まらなくなる。
可愛くて、時折ニヒルで、いじめがいのある妖精さん達が色々とたまらない。
発言の中に地雷の様に含まれるおかしな内容がとても危険。
脈絡が無さ過ぎる為に疑問フィルターにかからず直に脳天に直撃してくる。
総じて荒唐無稽な物語。色々根も葉もない。
でも気が付いたらロミオレールに乗せられ全速力で読んでいる。
凄く力を持った一冊。
ちなみに、あとがきまでしっかりとお笑い成分が含有されていた。
頭からしっぽまで全部食べられる。なんてお買い得。
灼眼のシャナXIII(13)
あらすじ
学園祭に参加していた坂井悠二は、紅世の王 “彩飄(さいひょう)” フィレスの襲撃を受ける。
生命の危機に直面した瞬間、悠二の身の内から異様な腕が出現!
シャナは紅蓮の炎を噴き上げ、一心不乱に悠二の許へと向かうが……。
それは恐るべき “徒” が顕現する予兆だった!!
レビュー
巻数間違えたかと思った。
12巻の次に14巻を読んでしまった!と錯覚し、一時読むのをストップしてしまった。
だってあまりに話がつながらない。
いきなりやってきた中だるみ。
12巻と間をあけて13巻に取りかかったら誰もがこう感じるのではなかろうか。
前巻のどんでん返しな急展開はいったい何の布石だったのだろう。
唐突に悠二は双子だった話が飛び出し、弟(妹?)誕生のカミングアウト。
吉田さん消滅のフラグが立ち、池君は何やら悟りの境地。
池君の悟った内容がなんとも悲しいというか…
「好きな男を見て輝く女の子」に惚れたなんて、メガネマン不憫すぎる。
田中と佐藤の道が分かたれたのは興味深いが、田中はいったいどうなるんだろう。
どうみても物語からフェードアウトしていく路線な気がする。
読み終えてみると一呼吸置くための一冊だったように思える。
いわゆるインタールード(幕間)。
山もなければ谷もなし。
ここぞとばかりにいろんな種を蒔きまくってるが、どんな花が咲くのか見当がつかない。
縦横無尽に花開かせすぎてゴチャゴチャにならなければいいが。
シリーズ13巻目にして息切れムードが漂ってきた。
そろそろテコ入れで何か大きな出来事が起こるのだろうか。
キノの旅Ⅹ(10)the Beautiful World
あらすじ
いっしょに旅立とう。 どこか遠く知らない場所へ――。
旅人のキノと言葉を話す二輪車エルメスが訪れたのは、歌姫が住む国。
街の広場で彼女の歌声に耳をかたむけていたキノは、中年の女性から感想を求められるが……。
『歌姫のいる国』 を含む11の物語を収録。 短編連作で綴られる大人気ロードノベル!
レビュー
息切れしない名作シリーズ。
キノの旅のレビューをするのは実は初めてであることに気が付いた。
とはいってもはや7年目に突入し、今も尚電撃文庫を支えている看板シリーズ。
今ほどにラノベが隆盛しておらず、電撃文庫の月当たりの新刊数が3~4冊だった時代から続く長寿作品。
(ちなみに現在は月当たり10冊以上の新刊が電撃文庫から発行されている。)
ブギーポップ等と電撃の黎明期を盛り上げてきた。
昔は少ない発行数の中でもラノベ史に名を刻むような名作が多かったことを思い出す。
発行タイトル数に対して名作の数は明らかに減ってきたと思う今日この頃。
ラノベが粗製濫造になっていることは強く感じては来たが、市場規模が大きくなるということはそういうことなのだろう。
なんて、少し回顧してみた。
相変わらず、ほのぼのあり、シリアスあり、シュールありのごちゃ混ぜ旅人物語。
童話のような雰囲気で語られる物語はラノベを象徴するような読みやすさがあり、それでいて軽くない。
読みやすさと内容の軽さは同じモノではないと、キノを読めばわかると思う。
10巻という大台に乗せたこのシリーズではあるが、その読み応えは変わらない。
基本的に短編の詰め合わせというスタンスを貫き通しているからか、シリーズものには必ずと言っていいほど存在する中弛みがない。
このぶれることのない軸が長く愛されている一つのポイントなのだろう。
しかし、よくも毎度毎度これほどに面白い国々のネタが思いつくものだと関心する。
そろそろネタも尽きてくる頃合いか、なんて心配してたらあとがきでセルフツッコミが発動してた。
読者の心理を先取りするとは、やるな時雨沢先生…(ぉ
巻を重ねるごとに遊び心の反映のされ方がエスカレートしてる。
ある意味電撃で一番自由な作品なのかもしれない。
2007年12月購入本
電撃文庫
・狼と香辛料VI
・とらドラ6!
・断章のグリムVI 赤ずきん・下
・アスラクライン(9) KLEIN Re-MIX
・嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3 死の礎は生
・れじみる。Junk
・ミステリクロノII
・きみと歩くひだまりを
ファミ通文庫
・“文学少女”と月花を孕く水妖【ウンディーネ】
コバルト文庫
・マリア様がみてる キラキラまわる
MF文庫J
・ゼロの使い魔13 聖国の世界扉
富士見ファンタジア文庫
・Dクラッカーズ プラス
富士見ミステリー文庫
・魔女よ蜜なき天火に眠れ 夜想譚グリモアリスIII
ガガガ文庫
・人類は衰退しました②
スーパーダッシュ文庫
・電波的な彼女
講談社BOX
・ひぐらしのなく頃に 第三話~祟殺し編~(上)
その他
・フェイト/ゼロ4「煉獄の炎」
2007年最後の月はバラエティに富んだ17冊。
角川スニーカーとGA文庫以外の(大体の)ラノベレーベルが揃った。珍しい。
新年一発目に積読消化について長々と語っておきながら購入数が減ってない件。
実際は在庫整理が少しずつ進んでいて質の向上は成っているんですが、如何せん絶対数がまだまだ多い。
何げに毎月買ってるひぐらしが実は要らないんじゃないかなんて思えてきた…
講談社BOXって読むのに時間かかるんだもの。携帯にも向かないし。単価高いし。
購入見直し銘柄入りかな。
ゆとりある読書ライフへの道のりは未だ遠く。
なんだか去年は新刊を購入してからひと月以内に読むことが極端に少なかった気がする。
シリーズモノを積んでた弊害もあるだろうけど、今年は流行に乗り遅れない程度に新刊を早めに紹介していきたい。
…と、あくまで目標的に思っております。
シゴフミ~Stories of Last Letter~
あらすじ
少女が届けるのは、もう届かないはずの言葉と優しさ……。
想いを残して逝ったひとが、大切なひとへ宛てて書いた手紙―― 死後文(シゴフミ)。
死後文配達人の少女・文伽(フミカ)は杖のマヤマを相棒に、家族へ、友人へ、恋人へ、最後の大切な言葉を届けます。
無口だけと仕事熱心な少女とおしゃべり好きな相棒が贈る、小さな奇跡の物語。
レビュー
既視感が拭えない。
アニメの30秒スポットCMの出来が良かったので手に取ってみた。
監督が佐藤竜雄だし。シリーズ構成は大河内一楼だし。オープニングはALI PROJECTだし!
期待はいやがおうにも膨らむ。
さて、原作はというと。
「キノの旅」と「しにがみのバラッド。」を足して3で割ったような感じ。
色々と混ざって希薄化しちゃってる。
既存の作品との重複部分が多く、オリジナリティーが出ていない。
文伽は「しにがみ」のモモみたいだし、相棒のマヤマは「キノ」のエルメスみたいだし…。
キャラデザ原作は黒星紅白だし。(これは直接関係無いのか)
「死後文」という主題からして、扱うのは「死」というテーマ。
これも「しにがみのバラッド。」に被ってしまってる。
しかし、偉大な(?)先達を超えるにはパンチ力が足りていない。
死後を扱っているわりには、「しにがみ」ほどにズシンと来ない。
「しにがみ」は短い文でも相応に感じ入ることができる話が多い、感情に直接訴えかけてくる。
しかし、シゴフミにはそういった部分が無かった。
目の付け所は良い。だから改善の余地はいっぱいあるはず。
ちなみにアニメの第一話は個人的にはかなり良い出来。
マヤマがカナカになってた。声がちゅるやさんだった。
それは置いておくにしても、原作とは随分違ったテイストであることは間違いない。
「しにがみ」のアニメ版よりは絶対名作。
なんだか「しにがみ」との比較みたいなレビューになってしまった。
不思議取り扱います 付喪堂骨董店2
あらすじ
今日も閑古鳥が鳴く、付喪堂骨董店。
ごくまれにやって来る客も、無愛想な少女のあやしい接客に回れ右をしてしまうのだ。
だが、奇妙な事件だけはほっといても舞い込んでくる。
不思議な力を宿した 『アンティーク』 を求める人たちは後を絶たないのだ。
映した世界の音を消し去ってしまう鏡 『明鏡』、被せるとまったく同じもう一人の自分が作れる仮面 『マスカレード』 などなど──。
あなたならこの不思議な品々をどう使いますか?
レビュー
不思議な品々より咲が魅力的過ぎる件。
不思議で便利な力を有した『アンティーク』と、それに魅せられた者の末路を描く物語。
ただし所詮アンティークはものでしかなく、それに関わる人間達が話の主軸。
何とかとハサミは使いよう。
アンティークも使い方で悲劇を生めば喜劇も生む。
アンティークはただ在るだけ。それをどうするかは人次第。
そんな少し(?)強力な力を持った品々に出会ってしまった人達を描く。
物語としても一巻より完成度が上がって、短編として各話が上手くまとまっている。
しかし二巻の最大の見所は…咲。彼女が異様なまでに輝いていた。
というかどこのコスプレ大会なのか、各話で様々な格好をする咲。
とりあえず咲づくし。
特に第四話の咲の破壊力は尋常ではない。
このシリーズはいつから咲を楽しむ為のものに変貌してしまったのだろうか。
全話通して咲にニソニソしている自分がいた。
久々に惹きつけられる可愛らしいヒロインを見つけた。
ああなんて愛らしい。
感情が顔に出ないだけで、中身は結構普通の女の子だという咲のギャップがまた堪らない。
この数行でいったい何回「咲」と書いただろう。それくらい彼女にやられてしまった。
いいね、うん、いいよ。
短編の最終話は咲のツンデレストーリーというテンプレートが固まったようだ。
三巻も同様に咲の話がメインディッシュとして待っているかと思うと…。
話の面白さに加え、咲のツンデレ効果で★5つとしたい。
謹賀新年&積読について思うところ
あけましておめでとうございます。
といっても、もう元旦は明けてしまいました。
さて、2007年は個人的に色々節目な年でした。
要は親のすねかじり脱却。社会デビュー。そして挫折(ぉ
いや今もきっちりサラリーマンやってるんで辞めたりとかはないですよ?
新年明けたところで色々思ったところとかを書いてみようかと思います。
近年まれに見る長文です。(去年の総括と積読について語ってます。)
といっても、もう元旦は明けてしまいました。
さて、2007年は個人的に色々節目な年でした。
要は親のすねかじり脱却。社会デビュー。そして挫折(ぉ
いや今もきっちりサラリーマンやってるんで辞めたりとかはないですよ?
新年明けたところで色々思ったところとかを書いてみようかと思います。
近年まれに見る長文です。(去年の総括と積読について語ってます。)
カレンダー&アーカイブ
<感動>最強ラノベ
<爆笑>最強ラノベ
<独特の世界>最強ラノベ
リンク(ラノベ感想系)