麒麟は一途に恋をする2
あらすじ
母なる地球の意思を受け、人間が存在するに値する生物かどうかを見極めるため、星獣と人間との間に三百年ごとに生まれ落ちるという『星の子』――。
新進気鋭のイラストレーター春原麻由は、星獣《黒麒麟》の青年、国見遙に『伴侶』として選ばれ、『星の子』を産む宿命を背負ってしまった。
『星の子』が生まれなければ、人類に未来はない――。
滅びを願う星獣《蛟》の志摩に狙われた麻由の元に急ぐ遙の前に、もう一人の《麒麟》柊弥が立ち塞がる!
レビュー
守るべき伴侶に徹底的に嫌われようと、拒絶されようと、遙は一途に麻由を想う。
「麒麟は一途に恋をする」
この本のタイトルの意味が良くわかる一冊。
遙が一途すぎて感動すら覚える。
ストーカーみたいな押しつけではなく、心から麻由に幸せになって欲しいと願い行動する遙はあまりに男前。
だけどイマイチ麻由に気持ちが伝わってないのがもどかしい。
と思っていたらあとがきに「主人公とヒロインの関係を一気には進めない」のがコンセプトとの記述が。
長い目で見守っていく必要がありそう。
次々と襲い来る強力な敵たちの前に護る側の遙達はボロボロになっていく。
なんらかのテコ入れをしないと立ち行かないような展開になってきた。
次巻でどう話を膨らませてくるのか。楽しみである。
「恋」の話としては、前シリーズから続いていた直純と由花の間についに決着が。
決着というと物々しい言い方だが、直純の心情としては一つの決着と言っても過言ではなさそう。
直球しか投げられない直純の不器用さと、それをカバーするように包容力にあふれた由花。
うん、なんてお似合いの二人。
末永くお幸せに。
一応「麒麟」は新シリーズのはずだが、かなり「月と貴女に」成分が濃くなってきた。
前シリーズの知識が全く無いまま読むのは辛いのだろうか。
判断が難しい。
オオカミさんと 傘地蔵さんの恋
あらすじ
犯罪すれすれの熱い愛情♪ 地蔵さんの一途な恋の行方は……!?
凛々しくお堅い優等生の地蔵さん。 そんな彼女が恋してしまったのが、野球部のエース・花咲さん。
陰ながら花咲さんにつくすため、ピッキングで部屋に侵入し、お掃除やらお料理やらをする日々…… って、犯罪行為ですよ!
どこかズレているけど一途な地蔵さんを、オオカミさんたちは応援することになったのだが……!?
レビュー
おおかみさんが可愛すぎる件。
奇人変人が織り成す熱血人情ラブコメ第三弾。
「傘地蔵さんの恋」なんて書いてあるけれどもどうみてもおおかみさんメイン。
全4話あるうち2話がおおかみさん話とは…作者の愛が溢れてる。
ギャグ、シリアス、ラブコメ、ラブコメと全体感としてもナイスバランス。
天の声からのツッコミも冴え渡り、ギャグパートの切れも相変わらず良い。
今回は「恋」というタイトルの通り、恋の話に関するもの多数。
地蔵さんの恋話、とくに『うきゅー』は反則だと思うのだがどうか。
そして池に落ちてかわいくなるおおかみさんのお話。
突拍子もない原因だけど本当に可愛くなっちゃってるので問題なし。
ここ最近のおおかみさんの乙女具合の加速が著しい。
あと一押しってところまで来て亮士くんのヘタレが発動するのはお約束だが、少し残念。
もう一歩おおかみさんと亮士くんの仲が進展してくれると面白いんだけど。
今の距離感も絶妙ではあるので、今後の沖田先生の匙加減に期待しよう。
紅 ~ギロチン~
あらすじ
全てを切り裂く《斬島》の刃に立ち向かう!
商売敵の悪宇商会からスカウトされた真九郎。まだまだ半人前の自分を磨くチャンスと思い契約を考えるが、最初の依頼を聞いて破談にする。依頼内容が少女殺害だったからだ。真九郎は少女を守ろうと考えるが、悪宇商会の殺し屋・斬島切彦《ギロチン》が待ち構えていた。
レビュー
女性陣が魅力的すぎです。
我らが(?)ヒロイン・最強の7歳児・紫。
永遠のお姉さん。でもイマイチ強く押し切れないもどかしい夕乃さん。
ツンデレ幼なじみ、クールビューティーな銀子。
ブチ切れ二重人格、<ギロチン>斬島切彦。
他にも闇絵さんとか、環さんとか、紅香さんとかetc…
女性陣が相当幅をきかせてるな、この作品は。
というか、野郎は真九郎くらいしか思いつかない。他に男性キャラいたっけか…。
「一流になるために人を殺せ」と言われ、圧倒的な相手が敵に回り、悩み葛藤し、
果てには大切なモノを失いくたびれていく真九郎の心情の描き方がまた見事。
心の動きとか機微を表現するのが上手なのだろう、読み進めるうちにこちらの気分まで引きずられていった。
ラストの紫との仲直りシーンはググッと来ましたよ、ええ、来ましたとも。
そして最後に何故か出てきた銀子のデレ部分。どこまでも顧客満足に徹していただきありがたい。
一巻に負けず劣らずガッツリ引き込まれた。やはり独特の雰囲気がある作品だと思う。
読んで良かったと、良い時間が過ごせたと思えた。
紅シリーズ以外の他の著書にも手を出してみようかと思案中。
紅 kure-nai
あらすじ
紅真九郎、世界屈指の大財閥・日本の表御三家に挑む!
新人の揉め事処理屋である真九郎のもとに、少女を匿い守れという依頼がきた。大財閥である九鳳院の娘・紫との奇妙な共同生活慣れたころ、紫を狙う人物が二人を襲う。彼女を救えば自分の命はない、しかし真九郎が選んだ行動は……! 『電波』の世界観を引き継ぐ待望の新シリーズ!
レビュー
無性に引き込まれるこの雰囲気はなんだ。
本棚の肥やし消滅強化キャンペーン第二弾として手に取ってみた。
(第一弾は「麒麟は一途に恋をする」シリーズ)
またしても掘り出し物発見。
これは名作。
こんなこと書くとどこのロリーかと通報されるかもしれないけど、紫が兎に角素晴らしい。
どこまでも真っ直ぐで、屈託のない究極の7歳児・九鳳院紫。
超名家のお嬢様とは思えない素直さ、優しさ、7歳とは思えない包容力。でもちらほら見える年相応の幼さ。
真九郎を慕う姿や、夕乃さんと張り合う姿は微笑ましく、可愛らしい。
そんな彼女と、新人揉め事処理屋の真九郎との日常のやり取りがこの上なく好きだった。
お互いがお互いを必要とするまでの過程がとても緻密に描かれている。
二人の絆の深さが心に染み渡る。
過去の事件のトラウマに苦しみ、仕事の度に足が震えている真九郎。
そんな真九郎が死んでも退かない覚悟を決める。
敵に名乗りを上げる。絶対に紫を助けるのだと。
格好いいじゃないか!
痺れるじゃないか!
途中から吸い込まれるようにこの本を読みふけってしまった。
気が付けば読み終わっていた。
久々に自然と集中して一冊読み切った。
それくらいに惹きつけられる何かがある作品だと思う。
とりあえずすぐに紅の二巻を読むことにする。
麒麟は一途に恋をする
あらすじ
新進気鋭の女性イラストレーター春原麻由は、突然現れたトカゲのような怪物に襲われたところを、謎の黒髪の青年――国見遙に救われる。
その日を境に、平穏だった麻由の生活は一変した。
身に覚えのない災難に混乱する麻由の前に、新たな襲撃者が現れるが……。
消滅したはずの“桜の妖魔”が狙う麻由の秘密とは? 慈愛の“星獣”麒麟とは?
『月と貴女に花束を』から11年後を舞台に、人類の存亡を掛けた新たな闘いが始まる!
レビュー
「月と貴女に花束を」のスピンオフ的新シリーズ。
新シリーズと言っても刊行は2004年で、全七巻にて完結している。
積み過ぎてずっと本棚の肥やしになっていたところをついに救出。
「月と貴女に」の世界観をそのまま引き継いでおり、前シリーズでのキャラクターもかなり普通に出てくる。
収録されている話の最後は「月と貴女に花束を remains」の内容そのもの。
「月と貴女に」を読んだことある人には、一冊で二度おいしい。
さすがに「月と貴女に」シリーズを読破したのが3年以上も前なので、中身の大半はうろ覚え。
「麒麟」を読み進めていくうちに色々と思い出してきた。
それでも「あーこれ誰だっけ…」等とかなりもどかしい思いもしていたり。。。
内容は古き良きラノベの王道たるバトル&ラブストーリー。
人類の運命を握る星獣・国見遙と、その「伴侶」に選ばれた春原麻由。
期せずして人類の存亡を担うことになってしまった二人の戦いの(恋?)物語。
世界観がしっかり固まっており、脇を固める人物たちも魅力的。
ロリッ娘率が高いような気がするのは気のせいか。
最近のラノベとは風潮が違うな、とも感じる。
世代的なモノなのか、私としてはかなりすんなりと話が頭に入ってきて良かった。
志村先生は「月と貴女に」から換算すれば8年も前からラノベを書いてるだけに、古豪なラノベとしての雰囲気が漂う。
昔のラノベってこうだったよな!と思いを巡らせる。
読みやすいけれどもバトルモノとしての熱さ、恋愛モノとしての深みの両方を備えている。
最近の新人さんの本にはない「ラノベとして」の深みを味わえる一冊。
EX!(エクス)3
あらすじ
「この学園を去れ、大和一哉」
生徒会長補佐・千路美尋は冷淡に言い放った――。
聖クレス学園に通う一哉は、同級生たちとのにぎやかな日常を過ごす一方で、学園トップクラスの実力者たちに訓練を受けるといった、充実した日々を過ごしていた。
だが、学園に通うすべての生徒が、無条件に一哉を受け入れているとはかぎらない。千路美尋の言葉は、それを再び思い出させることになる。
生徒会長・周防比夜に付き従っているだけだった美尋が、突然行動した理由は? 山中の戦いで見た、金色に輝くエクステンド状態の比夜と関係があるのか? 一哉を中心に、さまざまな思惑が動き始める!!
レビュー
なにやらキナ臭くなってきた。
これまでのヒーローモノよろしく涙あり熱血ありで悪を倒す!
っていう感じじゃなくなっている。
色々と次に繋がる要素を出してきたのは解るんだが、少し整理仕切れていないような。
一哉のブラック化とか比夜・美尋のハイパー化とか、熱いファクターは散りばめられていたのだが、盛り上がり切る前に収束しちゃっている。
序盤ではシリーズ最強クラスの悪役を思わせた蔵方だったが、なんだか最後までその威光が持たなかった。
登場時はやたら強くて、いざ戦うとあっけない。これも一つの王道ではあるけれど。。。
怪人とエクスターの力関係がよくわからなくなってきた。
エクスターってどれくらい強いんだろう。一哉が結構な頻度でぼこられてるから余計に未知数。
「神の視点」関係では大和一家もさらに絡んできそうなので、エクスターブレイズ、ミスラ・ゴッデスの今後の活躍(暗躍?)を期待したい。
最強のエクスターたるお父さん!是非一度戦って!
あと、相変わらず由良は良いキャラしてました。色んな意味で。
大変気になる締め方をしているので、4巻は素直に楽しみ。
願わくば小難しい設定はいらないから、明快なヒーローモノを展開してほしい。
2008年3月購入本
電撃文庫
・メグとセロンI 三三〇五年の夏休み<上>
・しにがみのバラッド。(11)
・輪環の魔導師2 旅の終わりの森
・シゴフミ4 ~Stories of Last Letter~
・リセット・ワールド 僕たちだけの戦争
・さよならピアノソナタ2
・モーフィアスの教室 楽園の扉
・旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。
GA文庫
・ライトノベルの楽しい書き方
スーパーダッシュ文庫
・パーフェクト・ブラッド2 恋する魔女と、シアワセの魔法
MF文庫J
・銃姫8
ファミ通文庫
・影≒光 シャドウ・ライト 陰陽編
・影≒光 シャドウ・ライト 激突編
・疾走する思春期のパラベラム 灰色領域の少女
・疾走する思春期のパラベラム デイドリーム
・疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃
今月も16冊の購入数。
春麗らかな陽気が眠気を誘い、期末はともかく期初も何故か忙しく。
読書へのテンションは下がる一方な今日この頃でございます。
こらーまずい。何とかせねば、と思いつつもどうにもこうにも。
暖かな陽気はぐだぐだ度合いに拍車をかける。
後輩も入ってきたり異動した人の仕事が降りかかってきたりとこれまでのペースは乱れまくり。
従来のペースが戻るのにはしばらくかかりそう。
一週間くらいドカンと休みたい・・・。
社会復帰できなくなること請け合いだけれども。。。
それも私の生きる道~。
皆さんも季節の変わり目、生活の変わり目で体調・心に変調をきたさないようにお気をつけください。
私は一年遅れの5月病に掛からないように気を張って行く次第。
オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White
あらすじ
「なんか世界とか救いてぇ――」。あらゆるテロや犯罪が多発し『ロケットの街』とまで渾名される国際都市ミリオポリスに、「黒犬」「紅犬」「白犬」と呼ばれる3人の少女がいた。彼女たちはこの街の治安を守る>遊撃小隊。飼い主たる警察組織MPBからの無線通信「全頭出撃!」を合図に、最強武器を呼び込み機械の手足を自由自在に操り、獲物たる凶悪犯罪者に襲いかかる!クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ”開幕!
レビュー
シュピーゲル・プロジェクトは凄い!
先日レビューした「スプライトシュピーゲル(以下、SS)」の姉妹作、シュピーゲルプロジェクトのもう一翼、角川スニーカー版。
イラストレーターに白亜右月先生を起用した、こちらもかなり豪華な一作。
舞台はSSと同じ、近未来ウィーン。
SSと同じく、過去に何かを背負い、全身機械化を施された三人の少女達の物語。
少女達を取り巻く状況は似通っているが、実のところかなり毛色の違った物語。
「オイレンシュピーゲル(悪ふざけの物語)」の名のごとく、色々な面でノリが軽い。
あと絵師の関係かこちらのほうがエロい。
SSの少女達が天然系で頭の緩い感じだとすると、こっちはネジが吹っ飛んじゃって頭が緩い感じ。
自分で書いておいてなんだが、一体どんなんだ…。
どっちにしても頭の回線が常人とは違う連中であることに変わりはない。
同じなのは、三人の信頼の厚さ。
SSもこちらも軽口を叩きつつ根底に揺るぎない情を共有している。
熱いアクション、時折見せる年相応の少女としての面、そして三人の目には見えないけど強く感じる繋がり。
見所はいっぱい。
SSと同じく構成の緻密さも凄い。独特の文体も共通。
二巻以降ではクロスオーバーもあるみたいだし、楽しみの尽きないシリーズだ。
スプライトシュピーゲルⅠ Butterfly&Dragonfly&Honeybee
富士見ファンタジア文庫
著作名:スプライトシュピーゲルⅠ Butterfly&Dragonfly&Honeybee
著者名:冲方丁(うぶかた とう)
イラストレーター:はいむら きよたか
発行日:2007/2/5
あらすじ
蒼い空を翔ける三色のライン
蒼の少女 ―/アゲハ。
紫の少女 ―/ツバメ。
黄の少女 ―/ヒビナ。
近未来のウィーン、ミリオポリスと呼ばれるその都には、あらゆる言葉が飛び交い、人々はさまざまな神を信じ、そして、くだらない争いに巻き込まれ命を落としていた。日常の間の中で―。
そんな、混沌の中で生きる三人の少女たちがいた。機械化された身体を持ち、最新の官給品として、敵を貫く弾丸。
《炎の妖精》たち。
地下深く静かに流れていた泥流・テロが顕在化した時、三人の弾丸に、命令が下る。敵を貫け!破砕せよと。
これは、天に唾をしながら、未来をあざけり、日々を生きる妖精と呼ばれた少女たちの物語。
レビュー
シュピーゲル・プロジェクト初弾・起爆。
小説ではマルドゥック・スクランブルやカオスレギオン、アニメ原作では蒼穹のファフナーで有名な冲方丁先生の新プロジェクト。
イラストレーターはとある魔術のインデックスやメイド刑事でおなじみのはいむらきよたか先生。
富士見ファンタジアと、角川スニーカーで「シュピーゲル」シリーズとして各々リリースされている作品の一翼。
この全体的な構成の緻密さに驚嘆する。
近未来ウィーンという世界観、主人公たる3人の少女達の生い立ち、性格、トラウマ、その周りの社会。
一つ一つの文に無駄がない。
非常に精巧に作られている。
使い方を間違えばエキセントリックで頭のネジが吹っ飛んでる連中、で終わってしまうトリッキーな少女達。
そんな彼女たちを突き動かす「過去」をしっかり描き、生きている「現在」を瑞々しく、生々しく表現している。
だから、彼女たちの一見おかしな行動にも不自然さを感じることはないし、納得もできる。
文体は軽く、変わった表現方法をつかって直感的に読ませようとしている。
一癖も二癖もあるキャラクター達が縦横無尽に動き回る様は非常に気持ちよい。
どんどん先が読みたくなる。
著者のレベルの高さをひしひしと感じた。
300P程の一冊にとても広い世界を見ることができる、とても満足度の高い一冊。
カレンダー&アーカイブ
<感動>最強ラノベ
<爆笑>最強ラノベ
<独特の世界>最強ラノベ
リンク(ラノベ感想系)