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注目:ベラルーシ国境沿いにウクライナが軍を増強している

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024年6月末、ウクライナはベラルーシとの国境沿いに軍事増強を行っている。具体的な予測は時期尚早だが、これは単なる心理的な陽動作戦ではない様に思われる。
Keep An Eye On Ukraine’s Military Buildup Along The Belarusian Border
DraftUkraineCOT May 17, 2024



 2024年6月末、ベラルーシとロシアのメディアは、ウクライナとベラルーシ国境沿いにウクライナが軍が増強しているのに応じて新たな緊張が持ち上がって来ている報道で溢れ返っている(参照リンクの数が多いので興味の有る方は元記事を参照して下さい)。

 これはキエフの反攻が失敗に終わって以来、ベラルーシがウクライナやNATOからの直接攻撃に曝されるのではないかと云う過去1年間の懸念を受けての展開だ。
 
 ロシアは既にこの「兵站競争/消耗戦」に於て圧倒的にNATOを凌駕しており、前線を突破する準備が出来ている。ウクライナのハリコフ州への進軍もこれを促進するものと予想される。

 だがその場合、NATOがウクライナに正規介入するリスクが高まる。そうなると自国の新たな領土を侵略されることを警戒したロシア軍は自衛の為に戦術核の使用に訴えるかも知れず、これは容易に第3次世界大戦を引き起こしかねない。

 プーチンはそのシナリオを回避したいと望んでおり、その為にクリミアがテロ攻撃を受けた後でさえ停戦提案を繰り返している。ウクライナ側は予想通り新たな行政境界線から撤退することを拒否し、それどころかベラルーシの国境沿いに軍を展開して攻撃の可能性に備えている。

 プーチンは依然として妥協の余地を残しているが、ゼレンスキーの方では自分の政治的将来に対する懸念から、依然として交渉には消極的だ。

 ウクライナがベラルーシを攻撃するとしたら、その目的は2つ考えられる。

 1)攻撃によってロシアの過剰反応を引き出し、それによってNATOの正規介入を促す。

 2)既存の前線から新たな前線にロシア軍の注意を逸らして、攻撃の隙を作る(07/09〜11に予定されているNATOサミットの前にこれが実現すれば、大いに士気を高めることが出来る)。

 だがこの計算は裏目に出る可能性も有る。例えばベラルーシ方面に兵力を割き過ぎて、既存の前線でロシアの突破を許してしまう、とか。また仮にNATO軍がウクライナ入りしたとしても、彼等がドニエプル川の西側に留まれば、結果的にウクライナは東側の更に多くの土地を失うことになる。

 但し西洋の諜報機関がベラルーシ国境沿いの何処かに重大な弱点を発見して、ウクライナにそこを突くよう指示した可能性も有る。その場合はこの賭けは少なくとも部分的には報われるかも知れない。

 何れにせよその成否を予測するのは時期尚早だが、キエフの軍備増強は単なる「心理戦」の陽動作戦ではないと思われるので、観察者達はベラルーシとウクライナの国境を注意深く監視するのが良いだろう。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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