中国が英国やニュージーランドの政治に介入している? これを観て判断するのはあなただ(抄訳)
2024/03/26のヌリ・ヴィタチ氏の解説動画の抄訳。多少補足した。
「◯◯国によるハッキング」と云う話がよくマスコミで流されるが、それらの主張が何等かの具体的な証拠に基付くものなのか、基本的にそれらの報道からは不明であることは、行間を読みさえすれば子供でも気が付くことだ(「TVが言ってたのだから本当だろう」と信じている人は少し頭を冷やして批判的に考えてみるべきだろう)。また多くの専門家達がこうした報道が為される度に、上手いハッカーがハッキングすればその国籍を特定することなど先ず不可能だと指摘している。そうした主張を行っている国々は国籍を特定する一般には知られていない何か特別な技術を持っているのだろうか? また世界で最もよく使われているハッキング・ツールが他ならぬCIAから流出したものであることは、WikiLeaksが明らかにしている。ヒラリー・クリントンのメールを公開したのはハッカーではなく内部関係者である可能性が高いと云う指摘も有る(何しろヒラリー自身が、自身の使用しているサーバーが外国のハッカーにハックされた可能性を完全に否定している)。ハッキングに関する報道は基本的に眉に唾して聞くべきものだと思う。
China is accused of political interference: watch this, then decide
中国はハッキングを行って他国の内政に干渉していると非難されている。近年こうした主張を行っている国は、英国、ニュージーンド、米国、カナダ、オーストラリアだ。
一体何が起こっているのか?
実はこうした話は何ひとつ真実ではない。これらの主張の出所はファイブ・アイズ、つまり米国を中心とする上記5ヵ国のスパイ達の国際クラブ。敵についての偽情報を作って流すのが彼等の仕事だ。
これは別に秘密ではない。引退したメンバーが自分達の手口について本を書いて自慢したりすらしている。
彼等の作戦のひとつは2018年の一連の会合から生まれたもので、2020年の大統領選挙に向けて中国が米国のシステムにハッキングを仕掛けている、と云う話を政治家やメディアの間に広めると云うものだ。
2020年には実際に多くの政治家やメディアがこの話を広め、スパイ・コミュニティの諜報報告書がこの事実を確認している、と主張した。
だが実際にこの調査報告書とやらが公表されてみると、それには中国は米国の選挙に介入していない、と云う完全に真逆の結論が書かれてあった。政治家達やメディアは報告書を実際に読んだ訳ではなく、こう言えと命じられたことを単に鸚鵡返しにしていただけだったのだ。
但し例外も居た。MSNBCのレイチェル・メドウは「彼等の言うことは何ひとつ真実ではありません。彼等もそれを承知しています」と笑顔で言い放った(但しメドウは、「中国は介入しなかったがロシアは2016年同様2020年にも介入した」と云う別の与太話を真顔で広めている。彼女もまた真正のジャーナリズムを遂行している訳ではなく、広める偽情報の派閥が違っていると云うだけの話だろう)。
Report Shows Exact Opposite Of Trump Officials' Claims On China Election Intrusion | Rachel Maddow
これと同じ恐怖物語が他のファイブ・アイズ諸国でも繰り返されたが、これは事実に基付いているのだろうか?
ほんの少し批判的思考を働かせて一般的背景を考えてみよう。
中国は世界人口の18%を占める巨大な国だ。中国が英国の選挙に介入することに関心を抱いていると云うのは本当だろうか? 英国は世界人口の1%以下のちっぽけな国だ。ニュージーランドはどうだろう。こちらは0.06%。———勿論、習近平はこれらの国々に介入することには興味は無い。何故中国がそんなことを気にしなければならないのだろう。世界は西洋を中心に回っている訳ではない。
それにファイブ・アイズ諸国を含め大抵の西洋諸国では、どの政党(二大政党制の場合はどちらの政党)であっても、大抵が中国恐怖症をこじらせている。従ってどの/どちらの政党が勝とうが中国にとっては大して違いは無い。中国がそんなことに気を揉んだところで何がどうなると云うのだろう?
それに仮に中国が他国の内政に干渉したいと思っているなら、真っ先に考えられる候補は遠くて小さい異国よりも近隣の大国だろう。インドは中国同様、世界人口の18%を占めている。3.5%のインドネシアは東南アジアで最も人口の多い国だ。
そして「中国に狙われた」と主張しているのが何れもファイブ・アイズ諸国であることを繰り返しておこう。
「◯◯国によるハッキング」と云う話がよくマスコミで流されるが、それらの主張が何等かの具体的な証拠に基付くものなのか、基本的にそれらの報道からは不明であることは、行間を読みさえすれば子供でも気が付くことだ(「TVが言ってたのだから本当だろう」と信じている人は少し頭を冷やして批判的に考えてみるべきだろう)。また多くの専門家達がこうした報道が為される度に、上手いハッカーがハッキングすればその国籍を特定することなど先ず不可能だと指摘している。そうした主張を行っている国々は国籍を特定する一般には知られていない何か特別な技術を持っているのだろうか? また世界で最もよく使われているハッキング・ツールが他ならぬCIAから流出したものであることは、WikiLeaksが明らかにしている。ヒラリー・クリントンのメールを公開したのはハッカーではなく内部関係者である可能性が高いと云う指摘も有る(何しろヒラリー自身が、自身の使用しているサーバーが外国のハッカーにハックされた可能性を完全に否定している)。ハッキングに関する報道は基本的に眉に唾して聞くべきものだと思う。
China is accused of political interference: watch this, then decide
中国はハッキングを行って他国の内政に干渉していると非難されている。近年こうした主張を行っている国は、英国、ニュージーンド、米国、カナダ、オーストラリアだ。
一体何が起こっているのか?
実はこうした話は何ひとつ真実ではない。これらの主張の出所はファイブ・アイズ、つまり米国を中心とする上記5ヵ国のスパイ達の国際クラブ。敵についての偽情報を作って流すのが彼等の仕事だ。
これは別に秘密ではない。引退したメンバーが自分達の手口について本を書いて自慢したりすらしている。
彼等の作戦のひとつは2018年の一連の会合から生まれたもので、2020年の大統領選挙に向けて中国が米国のシステムにハッキングを仕掛けている、と云う話を政治家やメディアの間に広めると云うものだ。
2020年には実際に多くの政治家やメディアがこの話を広め、スパイ・コミュニティの諜報報告書がこの事実を確認している、と主張した。
だが実際にこの調査報告書とやらが公表されてみると、それには中国は米国の選挙に介入していない、と云う完全に真逆の結論が書かれてあった。政治家達やメディアは報告書を実際に読んだ訳ではなく、こう言えと命じられたことを単に鸚鵡返しにしていただけだったのだ。
但し例外も居た。MSNBCのレイチェル・メドウは「彼等の言うことは何ひとつ真実ではありません。彼等もそれを承知しています」と笑顔で言い放った(但しメドウは、「中国は介入しなかったがロシアは2016年同様2020年にも介入した」と云う別の与太話を真顔で広めている。彼女もまた真正のジャーナリズムを遂行している訳ではなく、広める偽情報の派閥が違っていると云うだけの話だろう)。
Report Shows Exact Opposite Of Trump Officials' Claims On China Election Intrusion | Rachel Maddow
これと同じ恐怖物語が他のファイブ・アイズ諸国でも繰り返されたが、これは事実に基付いているのだろうか?
ほんの少し批判的思考を働かせて一般的背景を考えてみよう。
中国は世界人口の18%を占める巨大な国だ。中国が英国の選挙に介入することに関心を抱いていると云うのは本当だろうか? 英国は世界人口の1%以下のちっぽけな国だ。ニュージーランドはどうだろう。こちらは0.06%。———勿論、習近平はこれらの国々に介入することには興味は無い。何故中国がそんなことを気にしなければならないのだろう。世界は西洋を中心に回っている訳ではない。
それにファイブ・アイズ諸国を含め大抵の西洋諸国では、どの政党(二大政党制の場合はどちらの政党)であっても、大抵が中国恐怖症をこじらせている。従ってどの/どちらの政党が勝とうが中国にとっては大して違いは無い。中国がそんなことに気を揉んだところで何がどうなると云うのだろう?
それに仮に中国が他国の内政に干渉したいと思っているなら、真っ先に考えられる候補は遠くて小さい異国よりも近隣の大国だろう。インドは中国同様、世界人口の18%を占めている。3.5%のインドネシアは東南アジアで最も人口の多い国だ。
そして「中国に狙われた」と主張しているのが何れもファイブ・アイズ諸国であることを繰り返しておこう。
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